【オーシャン・カレント】田中瑛子さん(森の読書会)

JR吉祥寺駅から徒歩10分ほど、井の頭公園に隣接する素晴らしい場所にコミュニティスペース「森の食卓」はあります。ここでは様々なイベント、ワークショップ、セミナー等が開催されていますが、その一つが「森の読書会」です。

主催者は田中瑛子さん。
 もともと読書が好きだった瑛子さんは、社会人になって「もっと色んなジャンルの本について勉強したい」「会社以外の人間関係を大切にしたい」との思いから、各地の読書会に足を運ばれるようになりました。そして、その面白さを実感するうち「もっと近くで読書会開催している場所があればいいのに」と思うようになられたそうです。
 その思いを実現するため、自分で読書会を主催されるようになったのが2016年3月のことでした。以後、現在までほぼ月1回のペースで続けられています。

「立場や年齢層も様々な参加者同士、本を通して会話が生まれ、他の参加者がどのような方かを知ることもできる。同じ会は2度とありません。読書の好きな方なら、誰でも気軽に来られる場所でありたい」等と、瑛子さんは語っておられます。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】市川英樹さん(福島田んぼアートプロジェクト)

市川英樹さん(福島田んぼアートプロジェクト実行委員長)は愛知県のご出身。東京電力・福島第一原子力発電所の事故後、廃炉作業員として初めて福島に来られました。
 毎日、現場に向かう車中から市川さんが見たものは、事故により避難が強いられるなどして管理ができなくなり、雑草に覆い尽くされた田んぼの風景でした。事故前は地元の、さらには首都圏の食を支えていた田んぼの無残な姿に、市川さんの胸は痛みました。

その一方で、市川さんは地元の方たちの暖かさに触れるうちに、次第に福島の地に魅かれていきました。そして2015年に移住を決心し、いわき市四倉町で農業を始められたのです。
 回りには、まだまだ荒れた田んぼがありました。市川さんは、地域の田んぼを再生し、農と食の元気な姿を発信することで、福島・浜通りの復興に貢献したいという思いを強く抱くようになりました。

その思いをどのように形にするか模索していた市川さんは、隣の田村市常葉地区で「田んぼアート」の取組みが行われていることを知り、足を運びました。田んぼアートとは、古代米など色の異なる稲で田んぼに絵柄を描くというものです。さらに、発祥地とされる青森・田舎館村も視察されました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】改元と食糧、農業

元号は古代中国の発祥で、やがて東アジアのいくつかの国で採用されるようになりました。日本においては、大化の改新(645年)の際に『大化』が用いられたのが最初とされ、平成までで246回の改元が行われてきました。
 なお、現在も元号を用いているのは日本だけです(「本家」の中国では1911年の辛亥革命により元号は廃止され、現在は西暦(「公元」と称されます。)のみが用いられています)。

改元の理由は様々ですが、大きく分けて、天皇の交代による代始改元、吉兆とされる現象を賀して行われる祥瑞改元、天災地変など凶兆とみられる現象を理由にした災異改元、革命の年とされる三革(甲子、足辰、辛酉の年)に行われる革年改元の4タイプ(あるいはこれらの組合せ)があります。

ところで改元は、2つの意味で、食糧(注)や農業と大きな関連を有しています。
 1つは、「豆知識」欄でもみたように、改元のうち半数近くが災異改元であることです。 … 続きを読む

【オーシャン・カレント】ふたばいんふぉ

福島・双葉郡のインフォメーションセンター「ふたばいんふぉ」は、双葉8町村の現状を共有するとともに広く伝えるために、昨(2018)年秋にオープンしました。
 運営主体は、震災後に郡内の連携を生み出すために誕生した民間団体「双葉郡未来会議」です。

双葉郡を構成するのは、広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村の8町村。
 事故を起こした東京電力福島第一原発が立地し、2011年の事故後には広い範囲に避難指示が出され、多くの住民が避難を強いられるという、歴史上、未曽有の事態に見舞われた地域です。
 現在、避難指示区域は段階的に縮小され帰還する人も増えていますが、居住者数は原発事故前の水準を現在も大きく下回っています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】谷 咲月(さつき)さん

谷さんは静岡県の出身。東京で会社員をしていた2011年4月、目にした悲惨なニュースに大きな衝撃を受けました。原発事故により立入りが禁止された区域内で、置き去りにされた馬や牛が次々に餓死している様子が報じられていたのです。

何とか助けたいと思った谷さんは、情報を収集し発信する活動を始めたところ、現地の方から「助けに来て欲しい」という要請が来たのです。谷さんは、東京から福島・浜通りに足を運びました。
 一時立入りの許可を得て警戒区域内に入った谷さんは、馬やポニーは救出された一方、牛の多くは牛舎につながれたまま死亡するなか、自力で山に逃げて生き延びている牛がいることを知りました。

しかし、立入禁止区域内に十分な飼料を継続的に届けることは困難です。
 一方、区域内には多くの農地もあります。農家の方たちは、先祖代々守り抜いてきた田畑を自分の代で荒らしてしまうことに、大きな罪悪感を持っていました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】山田みきさん(笑むすび∞)

おむすびのケータリング事業等を行う「笑むすび∞」(わらいむすび、笑むすび合同会社)代表の山田みきさんは、福島・会津喜多方市の米農家のご出身。
 かつて地球一周を目指したこともある山田さん。現在はバックパックに「コメ」と「ユメ」を詰めた「ライスパッカー」として、おむすびを通して人と人、笑いと笑いをむすぶ活動を展開されています。

山田さんがおむすびのケータリング事業を始められたきっかけは、2011年3月の東日本大震災と原発事故でした。
 故郷・福島が元気を失ってしまったなか、「今の私にできることはなんだろう」と考え抜いた末、その答は日本人の食の基本「お米」にあることを発見。福島のお米が安心で美味しいことを、おむすびを作って伝える取組みを始められたのです。

山田さんのおむすびは、実家である農業法人(有)やまだズ。の特別栽培米のご飯に、東北各地の具材を細かく刻んで混ぜるというスタイル。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】逢坂 泰精さん

シンガー・ソングライターの逢坂泰精(おおさか やすきよ)さんは、大坂・枚方市の出身。
 1999年BMGJAPANよりデビュー。 ラジオ音楽番組の司会等としても活躍した後、2006年にはインド放浪の旅の体験も踏まえて構想を練ったフルアルバム「もののあはれ」をリリース。
 現在、ワンマンライブ、作詞等で活躍中です(SMAPに詩を提供されたこともあるそうです)。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】八幡名子さん


 八幡名子(やはた・めいこ)さんは大阪府の出身で現在は八王子市在住。
 美術大学を卒業し映像の制作・編集に携わる一方、「食べる通信」や「ポケットマルシェ」を通じて全国の農家や漁師さんと出会い、あるいは地元の伝統野菜等の生産者の方たちと交流する中で、「食」の大切さや楽しさに改めて気付いたそうです。

名子さんは、それを単なる個人的な「気付き」で終わらせず、多くの人たちに広めていくための様々な具体的な実践につなげられています。
 例えば昨年12月26日(水)に開催された「車座座談会・大忘年会」の際には率先して料理を担当して下さったり、山梨で新規就農した女性のところに手伝いに行ったり。

また、2018年度巻寿司大使、JSIA(寿司インストラクター協会)認定の飾り巻き寿司1級インストラクターとして、首都圏を中心に巻き寿司教室を開催されています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】2018年の振り返り(index)

2018年も、食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックスなど24事例を紹介してきました。
 拙ウェブサイトにまとめて掲載してあります。個別の記事は、それぞれのリンクをご覧下さい。
 http://food-mileage.jp/category/pr/

(たんたんぺろぺろ(福島・広野町)、No.141 掲載)… 続きを読む

【オーシャン・カレント】浪江まち物語つたえ隊

福島県浪江町(なみえまち)は、2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故により、全ての町民が避難を強いられました。

翌2012年、避難先の仮設住宅で暮らしていた町民の方たちが立ち上げられたのが、浪江まち物語つたえ隊です。
 帰れない故郷の記憶、地域に伝わる昔話、東日本大震災や原発事故の体験等を、風化させないように紙芝居を通して伝えるという活動を始められたのです。

仮設住宅から始まった活動は、賛同した避難先の住民の方たちも加わるなどして次第に広がっていきました。
 紙芝居に加えてアニメーションも制作し、日本国内各地のみならず、海外においても上演・上映が行われています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】新嘗祭(勤労感謝の日)


 明日(11月23日)は勤労感謝の日。戦後(1948年)制定された祝日法では「勤労をたっとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう」国民の祝日とされています。

この日は、もともと宮中行事である新嘗祭(にいなめさい、しんじょうさい)が行われる日でした。
 新嘗祭とは、天皇が米を始めとする新穀を神に捧げ、自らも食することで、収穫に感謝するとともに、毎年の稲作豊穣を祈るというもので、宮中行事の中でも最も重要な儀礼とされています。
 また、新たな天皇が即位して最初に行う新嘗祭は、特に大嘗祭(だいじょうさい)と呼ばれ、天皇の代替わりに伴う国家最高の儀式とされています。

新嘗祭・大嘗祭は、天武天皇(在位673~686年)の頃に始まりました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】小松理虔さん

小松理虔(こまつ・りけん)さんは1979年福島・いわき市小名浜生まれ。
 東京の大学(文学部)を卒業後、地元テレビ局の社会部記者、中国・上海での日本語雑誌の編集や通訳等を経た後、東日本震災後の2012年からは地元のかまぼこメーカーの広報担当として、SNSも駆使し、福島の食に関する情報を全国に向けて積極的に発信されてきた方です。

現在はフリーランスの立場から、ローカル・アクティビスト(地域活動家)として、地域の食、福祉、観光、アートなど、様々な分野における企画や情報発信に取り組んでおられます。
『新復興論』(2018.9、ゲンロン叢書)(「ほんのさわり」欄参照)、『常磐線中心主義-ジョーバンセントリズム』(2015.3、共著、河出書房新社)等の著書もあります。

小松さんの多彩な活動の拠点となっているのが、小名浜中心部の商店街の一画にあるオルタナティブスペース「UDOK.」。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】霞ヶ関ばたけ


 隔週水曜日の出勤前の時間、東京・千代田区霞ヶ関で食や農林水産業をテーマに開催されている勉強会です。
 参加者は若い方が中心ですが、ビジネスパーソン、大学生、公務員など、食や農、あるいは地域づくり等に関心がある人なら誰でも参加できます。
 毎回1人、様々な分野のゲストの方をお招きして話を聞き、参加者とともに議論を深めることで、ゲストと参加者あるいは参加者同士の交流をつくる場にもなっています。

代表をされているのが松尾真奈さん。
 農林水産省の若手女性職員で、1歳の子どものお母さんでもあります。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】清水農園・清水茂さん(東京・武蔵野市)

桜橋というバス停の近く、玉川上水の流れのほとりに国木田独歩『武蔵野』の文学碑があります。もっとも独歩が描いた風景の面影はなく、現在はほとんどが市街地になっています。
 徒歩で10分ほど進むと、住宅やこども園に囲まれた20アールほどの畑が見えてきます。市街地の中では防災等の観点からも貴重なオープンスペースでもあります。
 ここが清水茂さんの農場・清水農園です。

去る9月16日(日)に訪ねた時には、子どもを含む10数人の方たちの姿がありました。こだわりのたくわん作りをされているグループの方たちで、この日は清水さんの指導の下、たくわん用の大根の種まきをされていたのです。
 中心になっておられる方は、以前、近隣の幼稚園に通い、在園時は清水農園で農業体験もしていたという子どものお母さんで、活動は今年で9年目になるそうです。… 続きを読む