【オーシャン・カレント】「一揆」とはなにか

【ポイント】
 一揆の本来の意味は「意識や行動をともにするグループ・組織」のことであり、武力による階級闘争や革命というイメージが付加されたのは近年(1960~70年代)のことです。

(画像は下記の「参考文献」より。)

「揆」という字にはもともと「はかる」という意味があり、派生して「教え」「方法」等の意味を含むようになりました。「一揆」という熟語は平安時代には単に「同一である」、鎌倉時代になると「心を一つにして」「一致団結して」という意味で使われるようになったそうです。つまり一揆とは、本来、意識や行動をともにするグループ・組織のことを意味していました。
 また、構成員の平等性主義が貫かれていることも特徴で、有名な傘連判状という署名形式も、首謀者が特定されないようにとの配慮だけではなく、参加者同士の対等性を表したものだそうです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】令和の百姓一揆

【ポイント】
 本年2~3月に計画されている「令和の百姓一揆」の成否は、いかに多くの市民・消費者が賛同し参加するかにかかっています。

本年2月から3月、東京都心において「令和の百姓一揆」が挙行されます。農業生産の現場の窮状を広く都会の市民に訴えようと、全国の農業者たちが立ち上がろうとしているのです。

まず、2月18日(火)には衆議院議員会館(東京・千代田区永田町)で院内集会が開催され、各地の生産者からの状況報告、国会議員等との意見交換等が予定されています。
 また、3月30日(日)には、青山公園南地区(港区六本木)をスタート地点とするトラクター行進が予定されています。これは昨年、欧州の多くの国で行われた農民デモを参考にしたもののようです。パリやベルリンでは道路が封鎖されるなど一般市民の社会生活にも大きな影響がありましたが、大きな批判等がなかったのは、一般市民の農業に対する理解(シンパシー)が高いためと考えられます。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】2024年の振り返り

年初の号[No.283]では「能登はやさしや土までも」という言葉を紹介しました。また、「稲は人の足音を聞いて育つ」[No.292]、「同じ釜の飯を食う」[No.299]という言葉も紹介しました。
 被災地関連では「廃炉」の完了時期についてはますます不透明感が増している[No.288]なか、図図倉庫(ずっとそうこ、福島・飯舘村)[No.304]、二本松営農ソーラー(福島・二本松市)[No.305]という新しい取組みを紹介させて頂きました。

 2023年度の食料自給率[No.298]、米在庫量が過去最低水準にあること[No.297]、ご飯一杯の値段[No.296]を紹介するとともに、「合理的な価格」について考察しました[No.301]。
 また、お肉の情報館(東京・港区芝浦)[No.284]も紹介しました。

 農業政策をめぐっては、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案[No.287]、同法に規定された消費者の役割[No.293]、開始された次期基本計画についての議論[No.300]を紹介しました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】故・吉田恵美子さん(福島・いわき市)

【ポイント】
 福島・いわき市で「古着を燃やさないまち」を実現するなど様々な市民活動に取り組んで来られた吉田恵美子さんは、本年11月、逝去されました。慎んで哀悼の意を表させて頂きます。

吉田さんのクラウドファンディングより。

本欄で吉田恵美子さんを紹介させて頂くのは、No.27(2013年.9月5日配信)以来、2回目です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】二本松営農ソーラー(福島・二本松市)

【ポイント】
 原発事故で一時は農業をあきらめた近藤 恵さんは「怒りではなく感謝と喜びの汗をかきたい。私たちの新しいスタイルの農場を見て、未来の地図を想像してほしい」と語っておられます。

見学させて頂いた時の様子(2024.11/2)

二本松営農ソーラー株式会社は、2019年、市民電力(ゴチカン)、生協(みやぎ生活協同組合・コープふくしま)、NPO環境エネルギー政策研究所(ISEP)の3者により設立され、2021年3月に竣工しました。現在、約6500枚のモジュールにより約600世帯分の発電を行っている日本最大級の営農型発電(ソーラーシェアリング)施設です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】図図倉庫(ずっとそうこ、福島・飯舘村)

【ポイント】
 原発事故により全村避難を余儀なくされた飯舘村では、閉鎖されたホームセンターの建物が「つながりを再生する秘密基地」に生まれ変わっています。

図図倉庫HPより。

2011年3月の東電福島第一原発の事故により、飯舘村は全村避難を強いられ、村内で営業していた多くの商業施設も閉鎖を余儀なくされました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】「合理的な価格」とは

【ポイント】
 持続的な食料供給のためには、コストが合理的に価格に反映(転嫁)されることが必要です。このことについて私たち消費者も理解し、実践していく必要があります。

農林水産省「適正な価格形成に関する協議会」第2回資料より

本年6月に改正・施行された食料・農業・農村基本法において、基本理念の最初に位置付けられた「食料安全保障の確保」とは「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、・・・」と定義されています(第2条1項)。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】審議会でも開始された次期基本計画についての議論

【ポイント】
 国の食料・農業・農村政策審議会で、次期の食料・農業・農村基本計画についての議論が始まっています。

農林水産省HPより

食料・農業・農村政策審議会とは、食料・農業・農村に関する重要事項について調査審議する機関として、食料・農業・農村基本法(改正後の法では第52条)に基づいて設置されている審議会です(「農政審」と略して呼ばれることもあります)。学識経験者、各種団体(生産、流通、消費等)、マスコミ等の代表22名の委員から構成され、現在の会長は大橋 … 続きを読む