【オーシャン・カレント281】「神の見えざる手」

【ポイント】
 アダム・スミスは、このよく知られた言葉を一度も使ってはいません。

『国富論』とアダム・スミス像(英・エジンバラ市)

「豆知識」欄では、価格と量は市場メカニズムによって決定され、その均衡点において社会的余剰は最大となることを説明しました。
 しかし、実は生産者も消費者も、社会的余剰が最大になることを目指して行動している訳ではありません。企業も消費者も、自分自身の「利益」を最大にするという「利己心」に基づいて自由に行動するだけで、「見えざる手」によって社会全体の利益が最大になるのです。 
 このメカニズムを発見したことで、アダム・スミスは「経済学の父」と呼ばれています。

1988年のベルリンの壁崩壊は、共産主義に対する資本主義(市場経済)の勝利を意味しました。スミスの後継者を自称する経済学者たちは自己を過信し、国家の関与はなるべく減らした「自由放任」が望ましいとする新自由主義、市場原理主義を提唱しました。この理論が世界を席巻した結果、2007年のグローバル金融危機を招き、気候危機や戦争もあって、改めて現代にふさわしい新しい経済学が求められているのです。

実は、スミスは著作の中で「神の見えざる手」「自由放任」という言葉は一度も使っていません(「見えざる手」という言葉は『国富論』には一度だけ出てきます)。スミスは決して「自由放任主義の元祖」ではないのです。

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.281、2023年12月13日(水)[和暦 霜月朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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