消費者が近くにいることは日本農業の最大の強みである一方で、特に大都市近郊における日本農業の歴史は、都市化との闘争・せめぎあいの歴史でもありました。
鈴木 亨(とおる)さんは1954年のお生まれ。「牧場のおっさん」と自称されています。
1960年代、多摩丘陵に日本最大規模のニュータウンを開発する構想が明らかになったとき、八王子市堀之内地区(旧 由木村)で酪農を営んでいた鈴木さんの父親達は反対運動に立ち上がりました。そして「国策」として開発を推進する東京都や公団との長く困難な交渉を経て、ついに自分たちの暮らす地区を計画区域から除外することに成功したのです。
その後も、鈴木さんは違法残土対策や里山保全活動等の活動を続けて来られました。
これらの長い年月をかけた粘り強い取組みの結果、大規模住宅団地に隣接しながら、この地区には現在も豊かな農地や里山、自然が残されています。
鈴木さんの活動は、非常に多彩な分野に及んでいます。
1980年代には通所訓練施設を開設し、「農福連携」の先駆けともいえる取組みを始められました(2005年には「社会福祉法人 由木かたくりの会」を設立)。
また、(株)FIOの設立など、新規就農者の受け入れ・支援を積極的に行ってこられるとともに、堆肥舎の屋上にはソーラーパネルを設置し、(一社)八王子協同エネルギーの最初の市民発電施設として現在も稼働しています。
ここで重要なことは、鈴木さんは、移住してきた新住民を敵視するようなことは決してなかったことです。農家と都市住民が交流を通じて共生することにより、農のある豊かな地域の実現を目指してこられたのです。
大病をされて酪農は廃業された鈴木さんですが、現在も積極的に情報発信や交流活動を続けておられます。
とてもこの短い文章では、巨人・鈴木さんを紹介し切れません。ぜひ、鈴木さんのブログやフェイスブックをご覧いただければと思います。
(参考)
ブログ「多摩丘陵の牧場のおっさんの環境福祉」
https://ossan2.tamaliver.jp/
鈴木 亨さん フェイスブック
https://www.facebook.com/ossan.suzuki
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.276、2023年9月29日(金)[和暦 葉月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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