日本農業の最大の強みは、故・山下惣一さんによると「消費者が近くにいること」とのこと。その通りだと思います。
生産者からみて消費者と連携するための一つの方法が、生産物の消費者への直接販売です。リンク先の棒グラフは、売上1位の農産物について、その出荷先別の経営体の割合を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/09/276_chokuhan.pdf
左端の棒グラフが全体(平均)です。
2020年における売上1位の農産物の出荷先は、農協が64.3%と最も多く、消費者への直接販売は9.0%に留まっています。
グラフは販売金額別にも表示してありますが、1億円以上の大規模経営体を除いて、どの規模でも農協が最大の出荷先であることに変わりはありません。
一方、上の折れ線グラフは、売上1位の農産物の出荷先が「消費者への直接販売」であるとする経営体の割合です。
これをみると、販売額50万円未満の層では12.2%、50〜100万円の層では9.3%と平均より高く、規模が拡大するにつれてその割合は低下しています(1億円以上の規模では上昇に転じており、大規模直売所やインターネット販売に力を入れている状況が伺えます)。つまり、小規模経営体(「小農」)ほど、消費者に直接販売している経営体が多いのです。
農協などの出荷団体や卸売市場、スーパー等に出荷するためには、規格を満たす一定量の農産物を継続的に供給する必要があり、これは大規模経営体が得意とする分野です。一方、小農では、少量多品種生産を行い地元の直売所等で対面で販売することで、地域の消費者と「顔の見える関係」で直接つながる可能性が高いことも示していると考えられるのです。
データの出所:資料:農林水産省「2020年農林業センサス」第3巻
https://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afc/2020/030628.html
(参考)
NHK「日本人は農なき国を望むのか〜農民作家・山下惣一の生涯〜」
https://www.nhk.jp/p/ts/M71N156RVY/
(9/30(土) 午前6:53までNHK+で無料配信されています。NHKでも農業関連の番組は少なくなりました。もしご覧になられたらご感想などNHKにお寄せいただければ幸いです。)
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.276、2023年9月29日(金)[和暦 葉月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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