【オーシャン・カレント】「廃炉」が完了するのはいつか

【ポイント】
 仮に当初の計画通りに進んでも「廃炉」が完了するまで今後30年程度を要します。さらに、核燃料デブリの取り出しは着手すらできていないなど、不透明さを増しています。

「中長期ロードマップの進捗状況」(2024.2/29、廃炉・汚染水・処理水対策チーム会合資料)より。

「廃炉」とは、原子力発電所の原子炉の運転を終了させ、施設を解体し、放射性廃棄物も処分してリスクのない状態に戻すことを指します。
 3つの原子炉がメルトダウンするという世界最悪レベルの事故を起こした東京電力福島第一原子力発電所については、2011年12月、廃炉作業の基本的な考え方や主要な工程ごとの目標等が「中長期ロードマップ」として、東京電力と政府により決定・公表されています(直近の改定は2019年12月)。

廃炉のためには、使用済み核燃料の取り出し、汚染水対策、原子炉施設の解体など様々な工程が必要ですが、特に溶け落ちて周囲の構造物と混ざって冷え固まり、高い放射線を出し続けている「核燃料デブリ」の取り出しは、世界でも前例のない極めて難易度が高い作業です。
 当初は10年以内(2021年まで)に取り出しを開始するという計画でしたが、何度も延期され、いまだに着手できていません(技術や手法も確立していません)。

東京電力と政府は、長くても40年後(2051年)までに廃炉を完了させるという当初の目標を現在も堅持していますが、その実現性については不透明さが増しています。いずれにしても、少なくとも今後30年程度(あるいはそれ以上の期間)は、私たちは廃炉作業と共存していかなければならないのです。これはむろん、福島だけの問題ではありません。
 なお、現在も福島第一原発では、毎日4千人の作業員の方が廃炉作業に従事されています。

[参考]
 中長期ロードマップ等について(経済産業省ホームページ)
 https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/decommissioning.html

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.288、2024年3月24日(日)[和暦 如月十五日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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