【オーシャン・カレント】農業・農村の多面的機能

農林水産省パンフレットより。https://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/nougyo_kinou/pdf/adult_zentai.pdf

農業・農村は、食料の供給だけではない様々な重要な役割を果たしています。
 例えば、水田には雨水を一時的に貯留することで洪水や土砂崩れを防ぐ機能があります。全国の水田に貯留できる水の量は約50億立米(東京ドームの約4千杯)とも言われています。
 さらに、河川の流量安定と地下水の涵養、生物多様性の維持、農村景観の保全、伝統文化の継承、体験学習や教育の場の提供など、様々な役割を果たしているのです。

これらの機能は基本的に貨幣換算できるものではなく、お金で買うこともできないものですが、2001年の日本学術会議の答申によると、洪水防止機能が3兆5千億円、河川流況安定機能が1超5千億円、土砂崩壊防止機能が約5千円、保健休養・やすらぎ機能が2兆4千億円等と試算されています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】福島ひまわり里親プロジェクト

2011年3月11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故は、福島県の産業や暮らしに大きな打撃を与えました。
 福島県産の農林水産物については、現在は野生の山菜・きのこや鳥獣、川魚など一部を除いて安全が確認されていますが、当時はいわゆる「風評被害」により、例えば福祉作業所でお菓子を詰めていた障がい者の方まで仕事を失ってしまうなど、深刻な状況となりました。
 そこで、全国の人々に“里親”になってもらって、復興のシンボル“ひまわり”を育て、採れた種を返送してもらうことで、福島県における雇用創出、絆づくり(交流イベント「ひまわり甲子園」の開催や絵本の作成など)、搾った油のバスの燃料としての利用、防災教育等につなげる「福島ひまわり里親プロジェクト」が開始されたのです。

これまでのプロジェクトへの参加者は55万人以上、学校は5,900校を超えるとのこと。大震災から11年を経て、プロジェクトは広く全国に浸透しています。

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【オーシャン・カレント】ウクライナの農業と日本

ウクライナの人口は4,159万人と日本の約3分の1であるのに対して、60.4万平方キロメートルと日本の約1.6倍の国土面積を有しており、しかもその約7割が農用地です(日本は約1割)。
 気候が温暖なこともあり、ウクライナは古くから「ヨーロッパの穀倉」「ヨーロッパのパンかご」と呼ばれるほど農業の盛んな国です。主要農産物は小麦、とうもろこし、ばれいしょ、ひまわりの種、てん菜などで、二色からなるウクライナの国旗は青い空と黄金の麦畑を表しているともされています。
 なお、国内総生産(GDP) に占める農林水産業のシェアは約10%と、日本の1%と比べて大きなものとなっています。

2021年における日本のウクライナからの輸入額は798億円ですが、その半分以上をたばこが占めています。ウクライナにはJT(日本たばこ産業)の工場があり日本向けの製品等を生産していますが、現在は操業が停止されているようです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】農業をはじめる.JP

「農業をはじめる.JP」は、新規就農を目指す人のためのポータルサイトで、農林水産省の補助事業により(一社)全国農業会議所が運営しています。
 https://www.be-farmer.jp/

全国農業会議所とは、全国の市町村で農地の権利移動や転用の許認可等の業務を担っている農業委員会の全国系統組織で、全国新規就農支援センター(相談窓口など)の運営も担っています。

「農業をはじめる.JP」では、職業としての農業に興味を持たれた方や農業を仕事にしたいと考え始めた方が、就農に向けて具体的なアクションを起こしていくために役立つ情報を、分かりやすく、一元的に提供しています。[就農を知る][体験する][相談する][研修/学ぶ][求人情報][支援情報]に分類され、必要な情報にアクセスしやすいように工夫されています。
 また、全国及び各県の新規就農相談センターで行われている相談会や個別の相談業務(対面、オンライン、メール、電話等)、就農イベント(新・農業人フェア)に関する情報も掲載されています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】伝統工芸品・亀田縞(新潟)

もんぺ製作所HPより https://monpeseisakusho.com/

亀田縞は、新潟・亀田郷において300年以上にわたり育まれてきた伝統織物です。
 現在の新潟市中央部に位置する亀田郷は、越後平野を流れる信濃川や阿賀野川に囲まれた広大な低湿地帯で、第二次世界大戦後に土地改良事業(排水事業)が実施される以前は、舟を使って腰まで水に浸かりながらという過酷な稲作が営まれていました。その様子は司馬遼太郎『潟のみち』にも描かれています。

その亀田郷での農作業や暮らしの中で、泥や水に強い綿織物として生み出された亀田縞ですが、戦後、海外からの安価な繊維製品の輸入が増加するなかで、いったんほとんど姿を消してしまいました。しかし平成の時代に入り、技術を守り続けてきた地元の方たちの尽力によって復活したのです。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】上堰米のお酒−

福島・喜多方市山都にある本木上堰(もときうわぜき)とは、江戸中期に12年の歳月をかけて山腹に造成された素掘りの用水路で、300年近くの間、地域の棚田に水を供給してきました。
 維持管理には大変な手間がかかり、地元農家の減少・高齢化等のため、存続の危機に瀕するようになってきました。堰がなくなると地域での米作りは不可能となり、水源涵養や国土保全の役割も担っている棚田も維持できなくなります。
 そこで、地元の有志の方たちによる「基樹・早稲谷 堰と里山を守る会」は、毎年5月、首都圏を中心に毎年50年ほどのボランティアを募集し、協力して堰さらいや水路の補修などを行ってきました。

この棚田のお米(コシヒカリ)を使って作られた純米酒が「上堰米のお酒」です。1本あたり200円が「守る会」に寄付されます。棚田や水路を守るために「飲んで応援」しませんか。… 続きを読む

【オーシャン・カレント】「食と農の市民談話会」Season2

食と農の課題を「自分ゴト」とすることで「食と農の間の距離」を縮めるきっかけとすることをねらいに、2021年6〜11月にかけて「食と農の市民談話会」を開催しました(全6回。別に番外編として「放談会」も開催)。各回、ユニークで先進的な活動をされている方から話題提供を頂き、毎回20名以上の参加者を交えて談話(意見交換など)を行うことができました。
 本年1〜3月にかけで、以下によりSeason2 を開催します。
 ざっくばらんな会ですので、「食べものや一次産業のことに何となく関心はあるけど、よく知らないな〜」といった方を含め、多くの方の参加をお待ちしています。

・第7回 … 続きを読む

【オーシャン・カレント No.231】大江正章さんを偲ぶ会

2020年12月15日、出版社コモンズやNPOアジア太平洋資料センタ−等で活躍された大江正章(おおえ・ただあき)さんが逝去されました。地域、農と食、アジアと日本の関わりなど幅広いテーマについて、編集者・ジャーナリストとして多くの現場に足を運んで取材し、深い考察を重ねてこられました。

 大江さんが亡くなった後、多くの友人・知人たちが「呼びかけ人」となって計画・準備してきた「偲ぶ会」が、大江さんが亡くなってから約1年後の12月18日(土)に、以下により開催される運びとなりました。
 多くの方のご参加、あるいはご賛同をお待ちしています。

日時:2021年12月18日(土)13:00〜17:30(予定)
 開催方法:基本的にオンライン(申し込み不要)… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.230】COP26と石炭火力発電

(外務省HPより。)

COPとは国連気候変動枠組み条約(1992年採択)の締約国会議(Conference of the Parties)のことで、1995年以降ほぼ毎年開催されてきました。26回目に当たる今年の会議は10月31日からイギリスのグラスゴーで開催され、会期を1日延長した11月13日に合意文書(「グラスゴー気候合意」)が採択されました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.229】食品ロス削減の日(10月30日)

(消費者庁HPより)

「豆知識」欄でも紹介したように、食料関連産業(食品製造業、流通業、外食産業等)が発展し食品流通が広域化するなかで、年間600万トンという膨大な食品ロスが発生しています。
 このようななか、農林水産省は去る10月30日の「食品ロス削減の日」に合わせて、食品ロス削減や食品リサイクルなど商慣習見直しに取り組む事業者の取組を募集し公表しました。このなかでは、いわゆる「3分の1ルール」(賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例)の見直しや賞味期限表示の大括り化に取り組む事業者が増えている状況がみられます。

 一方、食品ロス削減のためには事業者のみならず消費者の取組みも重要です。例えば、消費者庁が中心となって、商品棚の手前にある商品を選ぶ「てまえどり」を呼びかけるキャンペーン等を行っています。

 ちなみにゴミ清掃員でお笑い芸人である滝沢秀一さんは、「消費者は100円の大根を買う時には1円でも安くと気にする一方で、腐らせて半分(50円分)捨てたりしている」等と話しています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.228】石川敏之さん(ゆっくり農縁、東京・あきるの市)

石川敏之さんは神奈川県のご出身。
 生協で食品関係の業務に携わられているうち、次第にスローライフに魅了されるようになり、ブータン旅行をきっかけに早期退職され、当時住んでおられた東京・八王子市を中心に、様々な市民活動に参画されるようになりました。
 活動内容は、伝統野菜の普及、映画の自主上映、市民エネルギーなど幅広いものでした。

そのうちに石川さんは自らも農業生産者になりたいとの思いが強くなり、多摩地方を中心に農地を探した結果、4年ほど前、東京・あきる野市に「ゆっくり農縁」を開園されたのです。
 JR武蔵増戸駅から徒歩10分弱、住宅に囲まれた400坪ほどの農園では、農薬や化学肥料は使用しない、極力、人の手を加えないという「自然農法」で、野菜やハーブを栽培されています。多くは固定種(伝統的に継承されてきた種)です。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.227】国連食料システムサミット

写真は国連HPより。https://www.un.org/en/food-systems-summit/about

去る2021年9月23日(木)〜24日(金)の2日間、国連食料システムサミットがオンラインで開催されました。これは、SDGsの達成に向けて、グテーレス国連事務総長の呼びかけにより初めて開催されたもので、世界の150か国以上の首脳・閣僚のほか、趣旨に賛同した多くの民間企業・団体等が参加しました。
 日本の菅首相からは、「みどりの食料システム戦略」を通じて持続可能な食料システムの構築を進めていく等のコミットメントがなされました。

これらを踏まえて議長から発出された「共同宣言」では、飢餓の撲滅と栄養の確保、環境と調和した農業の推進、透明性のある貿易ルール、パンデミック下でのサプライチェーンの強靭化等が強調されています。
 これらの課題について多くの関係国・関係者の間で合意形成がなされたことには大きな意義がありますが、一方で、今回のサミットには大企業の関与が強くなっていること等を理由として、GNOや市民団体の多くが参加をボイコットしました。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.226】森 歩(もり・あゆみ)さん

(写真は森さんのフェイスブックより)

森さんは東京都のご出身。
 外国人相手の日本語教師をしながら、『東北食べる通信』の縁で知り合った岩手の漁師さんのお手伝いに通ったり、わかめを東京・高円寺のマルシェで販売したり、という活動をされていましたが、本年4月、兵庫・但馬(たじま)の豊岡市に移住されました。
 但馬は兵庫県北部の日本海側に位置し、豊岡市はコウノトリや2019年に劇作家の平田オリザさんが主宰する劇団とともに移転された地として有名です。

森さんが就職したのは但馬漁協(JF但馬)。漁協とは漁業者からなる協同組合で、森さんは新製品の企画やオンラインショップの運営等を担当されています。… 続きを読む

【オーシャン・カレント No.225】ポケマル「産直アプリを通じた関係人口創出に関する調査」

((株)ポケットマルシェ プレスリリース(2021.8)より)

2016年9月にスタートしたポケットマルシェ(ポケマル)は、生産者と消費者をつなぐ産直アプリ。メッセンジャー機能等を使った直接的なコミュニケーションも可能で、現在、約5,700名の生産者と35万名の消費者が登録しているとのこと。

このアプリを運営する(株)ポケットマルシェ(岩手・花巻市、高橋博之代表)は、ポケマル登録ユーザのうち5,600名を対象として、関係人口創出に関する実態調査を実施・公表しました。

調査結果によると、生産者と仲の良い(販売・発送以外のやりとりをしている)ユーザの71%が生産者のいる地域を訪れたいと回答しており、実際に100名以上が生産の現場を訪問しているとのこと。… 続きを読む