(写真は福島・広野町での植樹の様子(2016.7/24))
日本は世界有数の森林大国でありながら、過疎化や林業従事者の高齢化・減少により適切に管理できない森林が増えています。森林が荒廃すると、山崩れなど災害の防止、水資源のかん養、二酸化炭素の吸収等の機能が失われることになります。
そうした課題に向き合っているユニークな活動の一つが「Present Tree」(プレゼントツリー)です。合い言葉は「人生の記念日に樹を植えよう!」。
結婚、出産、入学など人生の節目に、大切な人や自分自身の記念樹を荒廃が進んでいる里山林や被災跡地などに植え、その里親になってもらうことで森林を再生していこうという取組みです。実施主体は認定NPO法人環境リレーションズ研究所です。
記念樹には1本ずつシリアル番号のプレートがつけられ、その番号を記した植林証明書が発行されます。里親となることが森林に関心をもつきっかけとなり、さらに自分の樹に会いにいくことで森のある地域との交流が生まれ、地域振興や活性化に貢献することにもなります。
活動がスタートした2005年1月から2017年9月末までの間に、北海道から九州まで、さらにインドネシアなど海外を含む27カ所に約16万本の植樹を行ってきました。 100社以上の企業・団体ともコラボレーションし、支援者は延べ約472万人に上っています。
植林地の管理は、森林所有者、森林組合等、行政(市町村)、環境リレーションズ研究所の4者による10年間の協定に基づき、地元の林家や森林組合が行う仕組みになっています。
このため、最低10年間にわたって森林の適切な管理が担保されるとともに、地元の雇用確保等にも貢献するのです。
福島・双葉郡広野町は、東日本大震災による津波で大きな被害を受け、一時は原発事故により全町民が避難を余儀なくされました。昨年、整備された「ひろの防災緑地」の一画をPresent Treeの植栽地とし、地域の里山由来のコナラ、クヌギなど5種類の広葉樹が植えられました。
今後、町内外の人びとの交流の場となることで町の賑わいを取り戻し、さらには双葉郡の復興のモデルとなることが期待されています。
人生の節目に大切な人のために記念樹を植えることが、人やすべての生き物にとって大切な森林を整備し、地域の活性化等にも大きく貢献することにつながるのです。
[参考]
Present Tree(プレゼントツリー)
http://www.presenttree.jp/
ウェブサイト「フード・マイレージ資料室-オーシャン・カレント」
http://food-mileage.jp/category/pr/