自給率が日本一低い東京都は、農業と縁が薄い地域のようにもみえますが、多数の消費者が近隣にいるという特性も活かしつつ、多くの地域においてユニークな取組みが行われています。
その一つが、今回紹介する「こくベジプロジェクト」です。
東京・国分寺市はJR 中央線で新宿から 20 分ほど。湧水など豊かな自然環境に恵まれ、奈良時代には武蔵国分寺が置かれ歴史的には政治・文化の中心でもありました。
現在、国分寺市は全域が市街化区域に指定されており、生産緑地など農地面積はここ15 年間で2割近く減少していますが、野菜等を中心とした少量多品目生産の農業が意欲的に 営まれており、6割近くの農家では後継者も確保されているとのこと。
そのような国分寺市で、2015 年、「国分寺三百年野菜・こくベジプロジェクト」がスタートしました。江戸時代の新田開発以来300年以上続く畑で作られる国分寺野菜の魅力を 発信し、農と食をつなぐことで、まちの賑わいを作り出していこうという取組みです。
具体的には、国分寺農業の歴史や生産者の思いを前面に押し出したポスターや冊子を制 作し鉄道駅等で掲示や配布、市内飲食店におけるオリジナルの「こくベジメニュー」の提供など。これらの情報はインターネット上のウェブサイトをでも発信されています。
さる2月25日(日)に「史跡の駅 おたカフェ」で開催された“Edible City”の上映会後の懇親会では、こくベジの取組みに関わっておられる生産者や飲食店関係の方達と懇談させて頂きました。
これら都市部での取組みは、消費者の農業や産地に対する消費者の関心を高めることにより、ひいては都市から離れた産地や生産者のことも意識するきっかけとなる効果があるものと期待されます。
[参考]
国分寺三百年野菜 こくベジ
http://www.kokuvege.jp/
『エディブルシティ』上映と交流会(おたカフェ@国分寺、拙ブログより)(2018.2/18)
http://food-mileage.jp/2018/02/18/blog-82/
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【F.M.Letter No.138、2018.3/2[和暦 睦月十五日]掲載】
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