これまで3回にわたり、日本の輸入食料のフード・マイレージを紹介するなかで、近年は縮小していることを紹介しました(ただし輸入量は減、平均輸送距離はやや長距離化)。
(総量)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/01/89_FM.pdf
(1人当たり)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/01/90_FM2.pdf
(輸送量と平均輸送距離)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/02/91_FM3.pdf
今回は、日本の輸入食料のフード・マイレージの長期的な動向をみます。
もっとも全品目について計測することは困難であるため、ここでは小麦、とうもろこし、大豆及び菜種の4品目を取り上げます。これらで近年におけるフード・マイレージの約6割を占めています。
これら主要輸入品(4品目)のフード・マイレージの推移をみたものが、リンク先の図 92 です。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/03/92_FMlt.pdf
1960 年には4品目合計で958億t・km(トン・キロメートル)であったフード・マイレージは、2010年には 5,157 億 t・km へと、 5.3倍と大きく増大しています。
品目別にみると、とうもろこしの増加の度合いが最も大きく、同期間における増加分の約7割(寄与率)を占めています。
これらはほとんどが飼料用のもので、経済の高度成長と所得増大の過程において日本人 の食生活パターンが大きく変わり、畜産物に対する需要が急増したことを反映したものです。
また、輸入相手国別にみると、増加分に占めるアメリカの寄与率は約8割を占めており、アメリカへの依存度を高めている状況もみられます。
以上のように、経済の高度成長等の過程で、長距離輸送された大量の輸入食料(特に飼料、油糧種子)に大きく依存するという現在の食料供給構造が形成されてきたのです。
[参考]
中田哲也『フード・マイレージ-あなたの食が地球を変える』([新版]2018.1、日本評論社)pp.127~130
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7625.html
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【F.M.Letter No.138、2018.3/2[和暦 睦月十五日]掲載】
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