これまで数回にわたって紹介してきた日本の輸入食料のフード・マイレージの大きさに表れているとおり、私たちの食は、遠隔地から輸入した大量の食料により成り立っています。
(例:輸入食料のフード・マイレージ(総量)の国際比較)
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/01/89_FM.pdf
遠隔地からの大量の食料輸入は、その輸送の過程で二酸化炭素を排出し、地球環境に負荷を与えています。今回は、その大きさの定量的な把握を試みます。
まず、日本国内における食料輸送(輸入食料の国内輸送分を含む。)に伴い排出される二酸化炭素の量は、部門別の二酸化炭素排出量、国内の貨物流動量に占める食料のシェア等から試算すると、約900万トンと試算されます(リンク先の図 93 参照)。
http://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2018/03/93_CO2.pdf
一方、輸入の過程(輸出国の産地から輸出港を経て、輸入港(東京港)まで)で排出される二酸化炭素の量を、輸送手段ごとの二酸化炭素排出係数(1トンの貨物を1km運ぶ際に排出される二酸化炭素の量)等から試算すると、約1700万トンとなりました。これは、上記の国内における食料輸送に伴う排出量の1.9倍に相当します。
様々な仮定に基づく以上の試算は、おおまかな傾向を把握できたに過ぎませんが、日本が行っている大量かつ長距離の食料輸入が地球環境に対して相当程度の負荷を与えているという事実は、確認できたといえます。
[参考]
中田哲也『フード・マイレージ-あなたの食が地球を変える』([新版]2018.1、日本評論社)pp.120~127
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/7625.html
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【F.M.Letter No.139、2018.3/17[和暦 如月朔日]掲載】
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