【オーシャン・カレント】浪江まち物語つたえ隊

福島県浪江町(なみえまち)は、2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故により、全ての町民が避難を強いられました。

翌2012年、避難先の仮設住宅で暮らしていた町民の方たちが立ち上げられたのが、浪江まち物語つたえ隊です。
 帰れない故郷の記憶、地域に伝わる昔話、東日本大震災や原発事故の体験等を、風化させないように紙芝居を通して伝えるという活動を始められたのです。

仮設住宅から始まった活動は、賛同した避難先の住民の方たちも加わるなどして次第に広がっていきました。
 紙芝居に加えてアニメーションも制作し、日本国内各地のみならず、海外においても上演・上映が行われています。

浪江町に出されていた避難指示は、2017年3月、一部の区域(帰還困難区域)を除いて解除されました。しかし、現在のところ、帰還された方は多くはありません。
浪江まち物語つたえ隊のメンバーのお1人・おか洋子さんのご自宅も、長い避難生活の間に野生鳥獣が侵入するなどして荒れ果ててしまいました。
 おかさんは母屋の解体を決意される一方、納屋だった建物を改装し、本年(2018)7月、「O Cafe」(オカフェ)をオープンさせました。住民が交流し、ボランティア等でこの場を訪れる方たちも憩える場をつくられたのです。

去る12月2日(日)、福島県有機農業ネットワークのスタディツアーの一環としてO Cafeにお邪魔し、おかさんと石井絹江さんのお2人による紙芝居を観る機会がありました。
 上演して下さった作品の一つである「浪江ちち牛物語」は、酪農を営んでおられた石井さんが、原発事故のために家族同然の牛を殺処分せざるを得なかったという実話に基づくものです。
 お2人は「読むのも辛いが、故郷でおこったことを伝えていかなければならない」としつつ、「夢の実現のために挑戦を続けていきたい。後悔はしたくない」と力強く語っておられました。

浪江まち物語つたえ隊は、40本以上の紙芝居、3本のアニメーションの上演・上映活動を続けられています。ぜひ多くの方に観て頂きたいと思います。

[参考]
 浪江まち物語つたえ隊
 https://www.facebook.com/namie.machimonogatari/
 浪江まち物語コンサート
 http://matimonogatari.iinaa.net/eotoshibai/
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出典:F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
 https://archives.mag2.com/0001579997/
   No.157