ついに2019年2月17日(日)が来ました。主催イベント「空が青いからお寿司を巻くんです」の当日です。
幸い、好天に恵まれました。
自宅のプリンタが不調で、わずか30部ほどのパンフレット等の準備が終わったのが当日の午前4時過ぎ。
8時過ぎに起き出して荷物等(お釣りの500円玉、千円札等も)を確認し、慌ただしく朝昼兼用の食事をして、14時40負頃にJR神田駅へ。
ほぼ同時刻に到着した共催者の八幡名子さんと落ち合うことができました。
第1部の巻寿司教室の講師だけではなく、食材の調達等も一手に引き受けて下さった名子さん。大きなバッグとキャスター付きのトランクを抱えておられます。
パンフレット等しか入っていない私の軽いリュックとは大違い(!)。
徒歩10分弱で会場の全国うまいもの交流サロン・なみへいへ。
店長の川野元基さんは、出張先の福島・いわき(NICe・頭脳交流会)から帰って来られたばかり。
受け取り損ねた宅配便(巻き簾等)を配送センターまで取りに行ってくれました。
間もなく、同じく出張帰りのオーナー・真理子さんも到着。
会場のレイアウトを決定。配付資料のセット。
名子さんが印刷・持参してくれた生産者紹介の資料、知人に頼まれていた埼玉・小川町での映画上映会(「未来の収穫」、3/30)のチラシも。
食事の準備は、名子さんがほとんど一人で対応して下さいました。
ご飯を炊いて寿司飯を作り、野菜を切って大皿に並べていきます。自宅で下ごしらえし持参された食材も。
巻き簀と紙おしぼり、紙コップ、それに資料をテーブルに配置しているうち、13時過ぎにはギターを抱えた田中あさひさん、続いて逢坂靖精(おおさか やすきよ)さんが到着。
元基さんと音響機器を確認した後、リハーサルを始められました。リハでも素晴らしい歌声です。
寿司飯の小分けをお手伝い。
200グラムずつ計量してサランラップに包むように言われたのですが、なかなかうまくいきません。これも、人数分の具材を入れた皿とともに、各テーブルに配っておきます。
気がつくと14時近く。お客様が姿が見え始めました。
受付は名子さんの義理の妹さんが請け負って下さいました(助かりました!)。
何とか軽食の大皿も並べ終わり、おおむね参加者も揃った14時10分頃からスタート。
25名の方達に参加頂きました。会場のスペースを考えると、ちょうど良い人数でした。
主催者(私)から開会の挨拶(お礼)と、配布した資料を用いて今日のイベントに寄せる思いを説明(以前にブログでにも書かせて頂きました)。
前半は、食の生産者と消費者との間の分断を克服するために、顔の見える生産者の食材を使った巻寿司教室。後半は逢坂さんのライブを通じて、一般社会と物理的に分断されている塀の中の少年少女達の気持ちに思いを馳せようという内容です。
(私の写真は、入江杏さん(後出)から提供頂いたものです)。
14時30分頃からの第1部は「巻寿司大使・八幡名子さんの巻寿司教室~顔の見える生産者さんの食材で巻寿司を作ってみよう!」
まずはこの日の食材の説明。
全て名子さんが「ポケマル」等を通じて調達して下さったものて、実際に顔を合わせたことのある生産者の方も多いそうです。
愛媛・西条市の首藤元嘉さんのお米(イセヒカリ玄米)、浦山幹弥さん(熊本市)の海苔。
福島・相馬市の菊地将兵さんの鶏卵(ミルキーエッグ)。菊地さんは1パックごとに30円を母子家庭等に寄付されているそうです。
青森・外ヶ浜町の高森優さんのクロメバルは、オーブンで焼いてほぐし、おぼろにしてあります(味付けは少量の塩のみ)。
ちなみにクロメバルは、ほとんど捨てられてしまう未利用魚とのこと。
色も鮮やかな野菜(紅しぐれダイコンの甘酢漬け、ほうれん草とかつお菜の蒸し煮)は、八幡さんの地元でもある東京・八王子市のFIOのもの。
続いて名子先生から作り方(巻き方)の説明。最初は巻き簾の表裏から。
分かりやすく手本を示して下さいました。
各テーブルでは、周りの人とわいわい言いながら、女性も男性も各自1本、生産者の思いや産地のことを想像しながらお寿司を巻いていきます。
できあがった巻寿司は、名子さんに切ってもらってその場で食べる方も、パックに入れて持って帰る方も。
ちなみに巻き簾もお土産にお持ち帰り頂きました。
野菜中心の軽食の大皿には、石井邦彦さん(群馬・昭和村)の生芋こんにゃく、中村みずきさん(長崎・南島原市)のトマトも使われています。
大皿は、みるみる空になっていきます。
生産者の方のことを丁寧に紹介したためか、いっそう美味しく頂いてもらったのかも知れません。
ちなみにこの日、食べ残しはほとんどありませんでした。
お互いに初対面という方も多かったのですが、巻き寿司を作るという経験を共有したためか、各テーブルでの話も弾みます。
15時45分頃から第2部のライブに。
歌って下さるのはシンガーソングライターの逢坂泰精さん。ギター伴奏は田中あさひさんです。
逢坂さんは大阪府出身で現在は東京・新宿区在住。各地でのライブや作詞等で活躍されている方。
最初に手にして紹介されたのは、奈良少年刑務所の更正教育から生まれた寮美千子さん編『空が青いから白をえらんだのです-奈良少年刑務所詩集-』。
(ちなみにこの本は川野元基店長のもの。今回のイベントをお願いした後、さっそく買って読んで下さったそうです)。
この日は、この詩集を基にした曲を中心に歌って下さいました(何曲かは逢坂さんのオフィシャルウェブサイトで聴くことができます)。
1曲目は『誕生日』。
「きっとわたしが、あなたを親に選んで生まれてきたんだよね。お母さん、産んでくれてありがとう」
続いて『クリスマスプレゼント』。
「世界のどっかに余っているママがいるなら、僕にちょうだい。僕もいい子にするからさ」
歌の合い間には、詩集からの朗読も。
季節に合わせてカバー曲『なごり雪』等も披露して下さいました。
オリジナルの『はんぶんこ』を歌う前には、食べものも分けて食べれば美味しいですよね、と。
そして、今回のイベントのタイトルにもなった『くも』。
「今年でおかあさんの七回忌です。おかあさんは病院で僕にこう言った。辛いことがあったら空を見て、そこに私が居るから。それが最後の言葉。空が青いから白をえらんだのです」
皆さん、集中して聴いて下さっていました。俯いてそっと目頭を抑える方も。
終演後には大きな拍手。
そしてアンコールは、東日本大震災時の心情を歌った『うれし泣きをしようよ「2011.3.東京にて」』。
「うれし泣きをしようよ、僕らいつの日か。流した涙も無駄じゃなかったと笑える場所まで、心で手を繋いで。みんなで生きていこう」
予定の終了時間が迫ってきました。
最後に、寮さんとも親交がある入江杏さん(ミシュカの森)と、故郷・福島の復興や新宿のまちづくりに取り組んでおられる根本二郎さん(新宿社交料理飲食業連合会会長、元新宿区議)から、感想を含めて「締め」の言葉を頂きました。
突然の「無茶振り」ながら、暖かく、元気になる言葉を頂き、有難うございました。
逢坂さんと田中さん、八幡さん、なみへいの川野さん母子、それに参加して下さった皆さま、本当に有難うございました。
食材を提供して下さった皆様にも感謝申し上げます。
後片付けをして、有志(?)数名で新宿・歌舞伎町に移動。
本年1月に逢坂さんがオープンされた「ヒナタバー」は、10名も入れば満員となる小さなバーですが、明るい内装で暖かい雰囲気です。
美味しいハイボールを頂いているうち、無事にイベントが終了した安堵感からか、突然の睡魔が。
夢なら醒めないようにと、心の中で祈っていました。