【ほんのさわり】勝俣 誠(監修)『世界から飢餓を終わらせるための30の方法』

-勝俣 誠(監修)、特定非営利活動法人ハンガー・フリー・ワールド(編集)『世界から飢餓を終わらせるための30の方法』(2012/4、合同出版)-
 http://www.godo-shuppan.co.jp/products/detail.php?product_id=322 

 監修者は1946年東京生まれの明治学院大学教授・国際平和研究所(PRIME)所長(刊行当時。現在は同大学名誉教授)。開発経済学、アフリカ地域研究の第一人者の方。
 また、ハンガー・フリー・ワールド(HFW)は、飢餓のない世界を作ることを目的に活動する国際協力NGOです。
  「飢餓を終わらせるために、何かしたいけど自分が何をできるかよく分からない」という人に、自分でできることを見つけてもらうことが本書のねらいです。

 現在、世界には平等に分配すれば十分な食料があるにもかかわらず、6人に1人(本書刊行時)が飢えています。
 この背景には、植民地時代の負の遺産(商品作物生産に特化してしまったため基礎的な食料が自給できなっていること)、農産物のバイオ燃料仕向けが増加し、投機マネーにも翻弄されて世界の食料価格が上昇していること等、複雑な事情があることが解説されています。

 その上で、「食」という基本的人権が守られるために、私たちに何ができるのかについての方法(ヒント)が整理されています。
 例えば、私たちの食の現状を知ること(低い自給率等)、生産者の顔が見える食品を買うこと(産直、フェアトレード等)、生態系を損なわないなど持続的な方法で生産された食べものを選ぶこと、食教育の充実、食品ロスの削減等が掲げられています(私も「フード・マイレージ」について紹介させて頂いています)。
 最後に「本書にはたった30 のヒントしか書き切れていませんが、この本を手にとってくれた一人ひとりが行動することによって、世界を変えていく力になります」と、読者に訴えています。

 世界の飢餓という問題の深刻さに、ともすれば私たちは立ちすくんでしまいがちです。
 しかし本書を読めば、自分にもできることがあることが分かり勇気付けられます。そして、一人ひとりの気付きとささやかな実践が、社会を変えていく力になるのです。

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出所:F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-No.168
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html 
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 https://food-mileage.jp/category/br/