【ブログ】奥沢ブッククラブのことなど

2019年6月10日 (月)は気温も低く、冷たい雨が落ちる1日。 終業後、東京・自由が丘のシェア奥沢

この日18 時 30 分から開催されたのは、第45回 奥沢ブッククラブ
 まだ出会っていない本や人との出会いを大切に、原則として毎月開催されている軽食付きの美味しい読書会です。
 私は2年半ぶり(!)の参加になりました。

19時頃に到着。
 10名ほどでテーブルを囲んで食事中。この日は、世話人のシゲさんが関西風お好み焼きとや焼きそばを準備して下さっていました。
 外が寒かっただけに格別です(ご馳走様でした)。

食事が一段落したところで、順番にオススメ本の紹介(1人1冊以上、3分以内)。

 常連の男性からは、フェルディナント・フォン・シーラッハの『罪悪』『犯罪』。弁護士に よる連作短編集だそうで、法制度の不合理性を感じさせる本とのこと。
 それに小林秀雄『モオツァルト』

 鎌倉在住の男性からは、三島由紀夫『豊穣の海』 。
 現在、薔薇がきれいな鎌倉文学館で特別展実施中とのこと。

 シゲさんからは、田辺聖子『人生の甘美なしたたり』。読んでいて偶然、訃報に接したとのこと。多くの人生訓に学びがあるそうです。
 もう1冊は栗原康『死してなお踊れ』。「踊り念仏」で有名な一遍上人の評伝とのこと。

Uさんからは、寮美千子さん『あふれでたのはやさしさだった』『空が青いから白を選んだ のです』。私も大好きな本です。
 少年刑務所における「詩の教室」という内容の紹介から、最近起こった悲惨な事件に関連した発言(引きこもりについては関係性を作ることが重要等)が相次ぎました。

出版関係の仕事をされている男性からは、フェルナンド・ペソア『不穏の書、断章』 。
 ポルトガル人の作者は、それぞれに異なる人格を与えている70~80のペンネームを使っ ているそうです。

 前回(初めて)参加して仕事の本しか読んでいないことを痛感したという男性は、さだまさし『ちゃんぽん食べたかっ!』を紹介して下さいました。
 九州での長い列車旅の時、偶然、隣にいた高齢の女性が読んでいるのをみて興味を持ったとのこと。

私からは、碧野圭先生の『書店ガール7』を紹介させて頂きました。
 人気シリーズの完結編で、書店をめぐる厳しい状況のなか新しく旅立つ人たちが描かれています。
 さらには、記念すべき私の「小説デビュー」でもあることも紹介(主人公の敵役として同姓同名の人物が登場(p.237~)。碧野先生、有り難うございました)。

木村衣有子『銀座ウェストの秘密』を紹介して下さった女性は、青山の店にはよく行かれるそうで、長時間でも落ち着ける快適なティールームだそうです。
 シゲさんからは「銀座店は卵サンドも有名」との補足(ツッコミ)。

 中村文則『悪意の手記』を紹介した下さった女性は、少年が親友を殺害する等の、最後まで希望のないストーリーに落ち込んでしまったそうです。

須賀敦子『塩一トンの読書』 (1トンの塩を舐めるように読んだ本の書評集とのこと)を紹介して 下さった女性からは、最近、友人の福田淑子さんが『文学は教育を変えられるか』という 本を出版されたことも紹介して下さいました。

 最後に紹介された本は、テッド・チャン『あなたの人生の物語』
 簡潔できれいな文章で書かれたSFで、映画化された『メッセージ』も面白かったそうです 。

後半は、この日の課題図書であるロアルド・ダール『あなたに似た人』について。1950年代に発表された名作ミステリ短編集を読んだ感想等を語り合います。

 推薦されたシゲさんは、『南から来た男』を高校時代に読んだことが読書の習慣のきっかけになったとのこと。『味』もそうだが、賭けは人間の本質とも。

 映像から入ったが、『南から来た男』のラストシーンの奥さんの指の映像はショッキングだったとの感想。
  『首』の執事が面白かったとする感想。
  『おとなしい凶器』は、松本清張にも似たトリックがあると指摘する方も。

一方、自分の指や娘の結婚を賭けにするようなストーリーにはついていけなかった、時代感(古びている感じ)がするなど、様々な感想が出されました。
 同じ本を読んでも、感じるところは人によって様々です(読書会の醍醐味です)。

この日は、オススメ本でも犯罪に関係する本が多かったこともあり、最近の凶悪事件の 話に戻りました。

シゲさんは、「川崎の児童殺傷事件など、現実はテキストを越えている。3年前のやまゆり園事件の犯人は、全然反省していないらしい。読書どころではないという感覚もある」と発言。
 これに対しては、 「サイコパスなど、私たちの想像を遙かに超えた悪が厳存するのも事実」等の指摘も。

最後は、恒例のUさんによる絵本の朗読。
 この日読んで下さったのは、北村直子『オオイシさん』。大きな石の主人公が、映画に出演(大石内蔵助の家の石の役)するなど楽しい話でした。

なお、次回(7月)の課題本は、小林秀雄『学生との対話』に決まりました(これもこの日、みんなで話し合って決めたものです)。

翌11日(火)も雨。
 老舗レストラン・銀座イタリー亭で開催された琴平メイさんのハープ演奏会へ。

 琴平さんは、青年海外協力隊員(女性の自立支援プログラム)として赴任していた南米・パラグアイでアルパ(インディアンハープ)と出会い、帰国してからも演奏活動を続けられています。

この日は南米の名曲のほか、フラメンコ、イギリス民謡、日本の演歌など10曲ほどを披露して下さいました。

 食事の方は、色鮮やかな前菜(レバーパテ、スモークサーモンのテリーヌなど)、クリームスープ、霧島豚のアッロースト等のコース。
 ちなみにソテーなど、ビールやワインは飲み放題。美味しく頂きました。ご馳走様でした。

琴平さんは、イタリー亭での定期的な演奏会の他、各種の式典、各国大使公邸等でも演奏されているそうです。
 ますますのご活躍を期待したいと思います。

14 日(金)は、北品川の炭火焼居酒屋「裏馬場」へ。
  東京・檜原村でのゴマ作りや品川でのマルシェでご一緒した懐かしい仲間が、久しぶりに集ま りました。

ここの名物はジビエ料理。和歌山・古座川町から仕入れているとのこと。
 野生鳥獣害が全国的に深刻化する中、ジビエ肉の消費は重要な課題でもあります。

他にも串焼き、出汁まき卵などを頂きました。あっという間に時間が過ぎ、気がつくと終電の時間!
 慌てて京急・新馬場駅へ。
 けんちゃんさん、ご馳走様でした! また伺います。