【豆知識】産業連関とGDPの概念図

去る6月27日(木)、2015年産業連関表が公表されました(オーシャン・カレント欄参照)。
 リンク先の図172は、これに基づき2015年における国内生産や産業間の取引、最終消費の状況等について概念的に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/07/172_IO.pdf

 これによると、2015年においては国内の農林漁業により12.9兆円の農林水産物が生産されています(他に、図示していませんが2.8兆円の輸入もあります)。
 これらのうち8.1兆円は食品工業等の原材料等として製造業に投入され、3.2兆円は外食産業の食材等としてサービス産業などに投入されています。
 また、4.3兆円の農林水産物は家計等において最終消費されています。

 製造業は、他の原材料やエネルギーも合わせて302.8兆円の生産を行い、98.6兆円が最終消費されています。なお、差額は他産業や二次加工に回される分で、農林漁業にも3.0兆円(肥料や農薬等)が投入されています。
 同様に、サービス産業などは715兆円の生産を行い、460.8兆円が最終消費に仕向けられています。
 国内最終消費のトータルは563.6兆円となり、これが国内総生産(GDP)の額に相当します(厳密には、産業連関表と国民経済計算とでは、一部定義の違い等があります)。

 このように、GDPに比べると農林漁業の生産額は小さなものですが、全ての財(富)の源泉は第一次産業にあることが分かります(18世紀にケネーが『経済表』で指摘した通りです)。
 さて、農林漁業は何もないところから生産しているのでしょうか。
 そうではなく、図にあるように自然や環境の恩恵を受けて生産が行われているのです。

 これら自然や環境の恩恵は、貨幣価値に換算することができないために、産業連関表には(他の経済統計にも)記録できないことに留意する必要があります。

[出典等]
 総務省「平成27年(2015年)産業連関表 結果の概要」
 http://www.soumu.go.jp/toukei_toukatsu/data/io/2015/io15_00001.html

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-No.172
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
(過去の記事はこちらにも掲載)
 https://food-mileage.jp/category/mame/