【豆知識】戦時下の米穀需給実績

第二次世界大戦は、国民生活に食糧不足という深刻な影響を及ぼしました。
 リンク先の図174は、1939(昭和14)年度から45(昭和20)年度にかけての米穀(米を始めとした穀物)の需給実績を表したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/08/174_daijobu.pdf  

 なお、年度は米穀年度(米の収穫をもとに立てた年度で、前年の11月からその年の10月まで)で表されています。
 横軸から上が供給量、下が需要量で、需給はほぼバランスしていることが分かります。

 1939年度における供給量についてみると、前年産米の収穫量が985万トン(ここでは前年度内に消費された量を除き、当該年度の新米の消費量を含んでいます。)であるのに対して、輸移入量が147万トンと、供給の1割強は輸移入に依存していたことが分かります。
 ちなみに輸移入米の約6割は朝鮮半島から、約4割は台湾からの移入米でした。  輸移入米は1942年には240万トンにまで増加しますが、その後は激減します。これは、戦況の悪化に伴って海外からの輸送に支障が生じてきたことを表しています(多くの民間商船と乗組員が失われました)。

 一方で需要量については大きな変化はなく、輸移入の減少分を補うために1943年度頃から大きく増加してきたのが「代替食糧」です。これは国内産麦、満州産雑穀等です。
 さらに1945年には、空襲など非常時用に備蓄されていた防空備蓄米22万トンも放出されています。
 これらのほか、食糧管理法に基づく供出促進、配給量の削減による消費抑制策等により米穀の需給安定が図られたものの、戦後は深刻な食糧不足を招く事態に至ったのです。

[出典等]
 海野洋『食糧も大丈夫也』(2016.5、農林統計出版)p.159の資料5-1を基に筆者作成。
 http://shop.ruralnet.or.jp/b_no=05_89732343/

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-No.174
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
 (過去の記事はこちらにも掲載)
  https://food-mileage.jp/category/mame/