【ブログ】東京・世田谷のワイン

2019年10月31日(木)の午後は、休暇をもらって東京・世田谷へ。
 お世話になっている農業ジャーナリストの方々に、「世田谷メルロー(ワイン)を飲む会」 に誘って頂いたのです。

 16時、東急田園都市線・用賀駅から徒歩5分ほどのイタリアン・レストラン(マルデナポリ)前に6名ほどが集合。

 ブドウ農家の飯田勝弘さん(JA世田谷目黒 経営管理委員会会長)が待っていて下さり、住宅地のなかを5分ほど歩いて、農場に案内して下さいました。
 ワインを頂く前に、原料のブドウを生産している農場を見学させて頂くのです。

(以下、文責は中田。聞き間違いなどあるかもしれません。)
 住宅地に囲まれた農場は、全体で70 アールほどとのこと。

 入り口に近いハウスでは、生食用の欧州系品種(ハイベリー、天山、瀬戸ジャイアンツ)を栽培。いずれも種なしで皮ごと食べられるそうです。

収穫と販売は、観光農園とは異なる「スーパーマーケット方式」。

 入園料や試食はなく、来た人が自分で収穫し、重さを計って買い上げてもらう方式だそうです。
 毎年、ダイレクトメールで案内すると、早い人は朝5時から列をつくるなど、1500 人ほどが来られるとのこと。

 「消費者の需要に応じた生産等と言うが、美味しいブドウは自分が一番よく知っている。きちんとしたものを作れば、高価でも買ってもらえる」と飯田会長は話されました。

隣接する露地のブドウ畑には、堆肥を入れるための大きな穴が何カ所か開けられていました。場所は毎年変えるそうですが、動物系のものは使わないそうです。

 ここの品種は、高妻と安芸クイーン。

ネギ、大根、小松菜等の野菜も栽培されています。

 近隣住民から土ぼこりについてクレームが来たり、盗難の被害もあるなど、都市農業ならではのご苦労もおありの様子です。 

2 練めのハウスでは、60本ほどのワイン用ブドウ(メルロー種)が栽培されています。
 棚作りで、ピンポイントでかん水するためのパイプが渡されています。

 飯田会長がブドウ栽培を始められたのは、大学を卒業して就農された40年ほど前とのこと。
 お父様は有名な篤農家(野菜作)で、同じ作物では一生頭が上がらないと果樹を始められたそうです。

 こんな火山灰土壌でブドウができるはずないと言われたそうですが、挑戦を続け、やがて収穫・販売できるように。
すると一緒にやりたいという農家が現れ、研究会を作って現在に至っているそうです(現在14戸)。 

さらに15年ほど前からは、ワイン専用種の栽培に着手。

 醸造の委託先については、山梨や長野の何十軒もの醸造所に自ら足を運んで探されたそうです(ほとんどは「東京で趣味で作っているブドウなんか」等と門前払いだったとのこと)。
 将来はスパ ークリングの製造にも挑戦してみたいそうです。

 「楽しくやらないと続かない」と仰る飯田さんのチャレンジは、まだまだ続くようです。

薄暗くなる中、最初のレストランに戻りました。
 明るくておしゃれな内装は、まるでナポリ(?)です。

 早速、「Act one 世田谷メルロー」を頂きました。
 毎年600本ほどを製造し、年内に売り切れるほどの人気だそうです。

 この日、頂いた昨年(2018年)産は特に出来が良かったとのこと。色は軽めですが香りは芳醇、口に含むとしっかりと存在感があります。

バーニャカウダやピザなど美味しい食事を頂きながら、さらに飯田会長から様々なお話を伺いました。
 「都市部のJAに求められる役割は、税制を含め営 農環境を整えること」「ワインは加工品ではなく農産物。土壌によって全く味は異なる」等々。

 他の参加者の方の話も面白く、気がつくと23時を回って終電間近!
 時間を忘れるほどの、美味しくて楽しくて、刺激的な会合でした。

日本の中で最も「農」から遠いと考えられている大都会・東京。特に世田谷は、都市農業の先端として多くの苦労も重ねられてきました。

 そのようななかで醸し出されたワインの香りと味が、心と腹に沁み渡りました。
 ご馳走様でした!