【メルマガ】F.M.Letter No.179

◇フード・マイレージ資料室 通信 No.179◇
 2019年10月28日(月)[和暦 神無月朔日]発行
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◆ F.M.豆知識  「中堅人口」の増加が著しい市区町村
◆ O.カレント  にっぽんA級グルメのまち連合
◆ ほんのさわり 映画『そらのレストラン』
◆ 情報ひろば  ブログ更新、イベント情報等
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 神無月に入りました。新穀で酒を醸造する「醸成月」(かみなしづき)ともされます。穏やかな季節に移ることを祈りたいと思います。
 時の流れを体感するため、和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今号は地域とグルメの特集となりました。

◆ F.M.豆知識
 食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/mame/

-「中堅人口」の増加が著しい市区町村-

前号では、直近5年間の「中堅人口」の増減率(2019年1月1日現在における30~49歳人口の、2014年1月1日時点における25~45歳人口(同コホート)との比較)を都道府県別に見たところ、東京圏(東京、埼玉、千葉)及び地方中核県(石川、香川、福岡)で増加しているほか、沖縄、島根、長野では「田園回帰」の動きがみられることが明らかとなりました。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/10/178_cohort.pdf

 今号では、同様のコホート分析を市区町村別に行った結果、中堅人口の増加が著しい市区町村があることが明らかになりました。
 リンク先の図179は、その上位20市区町村です。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2019/10/179_cohort2.pdf

 これによると、千代田区や中央区といった東京都心、福岡・福津市や千葉・印西市等の都市近郊のほか、地方の島しょ部や山間部において、著しく増加している町村があることが分かります。
 これら町村はもともと人口が少ないために増加率としては大きく現れる傾向はありますが、例えば1位の島根・知夫村(ちぶむら)では、5年前の67人から113人へと、50名近い純転入者がいるのです。

 これら町村において中堅人口が大きく増加している理由については明らかにはできていませんが、これら町村のホームページを拝見すると、総じて移住希望者向けのコンテンツが充実しているなど、移住者受入れの施策を積極的に行っている状況が伺えます。
 さらには、美味しい食があること(例えば島根・知夫村のアワビ、和歌山・北川村のじゃばら(柑橘の一種)等)も、中堅人口増加の背景にあるものと思われます。

[出典等]
 総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」
 http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html 

◆ オーシャン・カレント-潮目を変える-
 食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/pr/

-にっぽんA級グルメのまち連合-

2018年11月、「にっぽんA級グルメのまち連合」が発足しました。
 東京・千代田区で行われた調印式に参加したのは、島根・邑南町(おおなんちょう)、 同・西ノ島町、福井・小浜市、宮崎・都農町(つのちょう)、北海道鹿部町の5市町です。

 A級(永久)グルメとは、「ここでしか味わえない食や体験」のこと。
 邑南町では、2011年頃から、町外から一流料理人などを呼ぶなどしてA級グルメ構想を推進してきました。地元の名産である石見和牛や自然放牧の牛乳などを使ったイタリアンレストランの開業、ジャムやバターの製造販売など、食と農を通じた雇用創出、人材育成と起業支援等に取り組んできたのです。

 その邑南町が先駆的に取り組んできたノウハウを、全国の自治体と共有し、全国的に展開するために立ち上げられたのが「にっぽんA級グルメのまち連合」で、今後、食に関わる人材の育成やA 級グルメの理念を広げるための情報発信等に共同して取り組んでいくこととしています。

 情報発信の一環として、東京でも様々なイベントが開催されます。
 例えば11月7日(木)には、千代田区神田錦町で、邑南町の寺本英仁氏を迎えて「地域ビジネスの最前線」と題するイベントが開催されます。
 また、明年4月には、地域で起業を目指す「食の学校・A級グルメアカデミー」が開講する予定です。

 「連合」の設立趣意には、以下のように記されています。  「本当に美味しいものは地域にあって、その美味しさを本当に知っているのは地域に暮らす人びとで、彼らが誇りをもってつくる食はA級と呼ぶべきではないだろうか。
 そして、それは永久に残していくべきではないだろうか」

[参考]
 にっぽんA級グルメのまち連合
 https://a-gourmet.jp/

◆ ほんのさわり
 食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
 (過去の記事はこちらにも掲載)
 http://food-mileage.jp/category/br/

-映画『そらのレストラン』(2019.1)-
 https://sorares-movie.jp/

今回は「ほん」ではなく、2019年1月に公開された日本映画『そらのレストラン』(監督・脚本:深川栄洋)を紹介します。

 舞台は北海道南部にあるせたな町。
 主人公の設楽亘理(大泉洋)は、海のみえる牧場で酪農を営みながら、チーズ職人の大谷(小日向文世)に弟子入りしてチーズ作りに取り組んでいます。
 妻(本上まなみ)と娘との三人家族の1日は、声を揃えての2度の「いただきます」からスタート。1度目は窓の外(食を恵んでくれる空、大地、海)に向かって、2度目は食卓の上の朝食のお皿に手を合わせて。

 ある日、農業や漁業を営む仲間達と定期的に開催している朝市に、道ばたの草でも何でも口に入れるヘンな男性客が現れ、設楽たちの食材が美味しいと激賞。しかもその男性が札幌の有名レストランのカリスマシェフだと知り、亘理たちは自分たちの食材を使った1日限りのレストランを開くことを夢見ます。
 ところが、頼りにしていた大谷が病気で急逝したことをきっかけに仲間との間に亀裂が入り、理想のチーズ作りに絶望した亘理は、一時は酪農を廃業することまで思い詰めます。

 その後のストーリーはここでは紹介しませんが、印象的なのは、何と言っても豊かな自然。その中で育まれる最高の食材が、シェフの手で見事な料理に生まれ変わります。
 その料理を頂いた人達の笑顔、笑顔。亘理達もシェフも、みんな笑顔、そして涙も。

 この映画は、実在の生産者グループをモデルにしているそうです。
 本当に美味しいものはそれぞれ地域にあることが、この映画からも伝わってきます。

◆ 情報ひろば
 拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。

▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○ A級グルメちょい飲み(鹿部、邑南)[10/22]
 https://food-mileage.jp/2019/10/22/blog-224/

○『かがり火』復刊10周年記念フォーラム[10/25]
 https://food-mileage.jp/2019/10/25/blog-225/

○ 新しいマルシェ ~ポケマル収穫祭~[10/26]
 https://food-mileage.jp/2019/10/26/blog-226/

▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
 既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。

○ 巻寿司お楽しみ会♪ロング巻寿司にオリジナル巻寿司
 日時:11月4日(月・祝)12:00~20:00
 場所:箕と環(東京・日本橋本石町4)
 主催:八幡名子さん
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/3036457436427669/

○「地域ビジネスの最前線」A級グルメイベント
 日時:11月7日(金)18:30~21:00
 場所:錦町ブンカイサン(東京・神田錦町3)
 講師:寺本英仁さん(島根・邑南町)
 主催:にっぽんA級(永久)グルメのまち連合
 (詳細、お問合せ先等↓)
 https://a-gourmet.jp/archives/485

○ 奥沢ブッククラブ第48回「我輩は猫である」
 日時:11月11日(月)18:30~21:00
 場所:シェア奥沢(東京・世田谷区奥沢2)
 主催:奥沢ブッククラブ
(詳細、お問合せ先等↓)
 https://www.facebook.com/events/2976254302401906/

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*舞麗児忽々のコツコツ小咄。
「確かに今まで観たこともなかったけど、もうラグビーから離れないよ」
「そうなんですか」
「にかわ(にわか)ファンですから」

 コツコツ小咄(まとめ)は拙ウェブサイトにも掲載してあります。
 http://food-mileage.jp/category/iki/

* 次号No.180は11月11日(月)[和暦 神無月十五日]の配信予定です。
 より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。

* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています。
 いつもありがとうございます。
 http://www.lunaworks.jp/

* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。

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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
 発行者:中田哲也 (購読(無料)登録はこちらから)
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 発行システム:『まぐまぐ!』
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