【豆知識】企業の価格転嫁の動向

新型コロナウイルスによるパンデミック、ロシアによるウクライナ侵攻に加え円安の進行もあり、食品等の価格値上げが毎日のようにニュースで取り上げられています。しかし前号でも紹介した通り、企業物価指数(企業間の取引価格、9月は前年同月比9.7%)に比べて消費者物価指数(生鮮食品を除いて3.0%)の上昇率は低いものにとどまっています。
 コスト上昇分の価格への転嫁が十分なものとはなっていないことは、民間の信用調査会社のアンケートからも明らかです。

リンク先のグラフは、(株)帝国データバンクサービスの「企業の価格転嫁の動向アンケート」結果から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/11/254_tenka.pdf

これによると、本年6月時点では、仕入れコストの上昇分を販売価格やサービス料金に「すべて転嫁できている」とする企業は6.4%、「8割以上転嫁できている」は15.3%となっているのに対して、「全く転嫁できていない」とする企業が15.3%となっていました。… 続きを読む

【豆知識】家計における米の消費額の地位

先日、公表された9月の米の相対取引価格(2022年産)は3年ぶりに上昇に転じました(前年同月比5%、前年産平均比9%)。
 また、21日に発表された9月の消費者物価指数は前年同月比で3.0%(生鮮食品を除く。)と31年ぶりの上昇率となりましたが、企業物価指数(企業間の取引価格)は同月に9.7%上昇していることに比べると、米や食品に限らず、多くの品目において、コスト上昇分の価格への転嫁は十分なものとはなっていないようです。

前号で紹介したように、日本の物価が上がらない原因は、デフレの長期化で賃金が上がらず、その結果、消費も増えないという悪循環に陥っているためです。
 それでは、現代の日本の消費者の家計において、米の価格上昇を受け入れる余地は全くないのでしょうか。
 リンク先のグラフは、本年8月の品目別の家計消費支出額を示したものです。… 続きを読む

【豆知識】低所得層で大きい物価上昇の影響

パンデミック、ウクライナ情勢、円安により様々な商品の価格が上昇しており、家計を直撃しています。これら値上げの影響は所得階層によって異なることを示したものが、リンク先のグラフです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/10/252_kakei.pdf

縦軸は、総務省が9月20日に発表した2022年8月の消費者物価指数の対前年同月比です。総合では3.0%(注:生鮮食品を除くと2.7%)上昇しており、特に光熱・水道は15.6%、食料は4.7%と特に大きく上昇しています。

横軸は、10月7日に総務省が発表した8月の家計消費支出について、各費目についての低所得層(年間収入五分位階級の第一階級)の特化係数です。例えば、支出総額に占める食料消費の割合(エンゲル係数)は低所得層では31.9%で、平均(27.5%)に対する比率は1.16となります。
 これが特化係数で、右に位置する費目ほど、低所得層における消費のシェアが相対的に大きい(必需財的な性格が強い)ことを示しています。… 続きを読む

【豆知識】日本食と死亡リスクとの関連

戦後、日本人の食生活パターンは急速かつ大幅に洋風化が進みましたが(米の消費量の4割への減、畜産物・油脂等の3〜4倍の増加)、一方で、日本食は健康面でも優れていることも知られています。
 (国研)国立がん研究センターは、全国11地点の男女約9万人について食事アンケート調査を実施し、約19年にわたって追跡調査(多目的コホート研究)を行いました。

リンク先のグラフは、この研究結果から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/09/251_washoku.pdf

左のグラフは、8項目の食品の摂取量をもとに日本食パターンについてスコア化し、「低い」〜「高い」の4グループに分類して全死亡リスクとの関連を示したものです。これによると、日本食パターンのスコアが高いグループほど、死亡リスクが小さくなっていることが分かります。… 続きを読む

【豆知識】ここ3ヶ月で節約した費目

日本生活協同組合連合会(生協連)は、本年8月、「節約・値上げについてのアンケート」調査結果を公表しました。
 長引く新型コロナウィルス流行や値上げが続くなか、「節約」の実態等について組合員を対象にWEBアンケートを行ったものです(有効回答数 4,689)。
 リンク先のグラフは、この調査結果から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/09/250_setuyaku.pdf続きを読む

【豆知識】世界の飢餓人口の推移

本年7月、国連は「世界の食料安全保障と栄養の現状」と題するレポートの最新版(2022年販)を公表しました。
 リンク先のグラフは、この報告書(英文)のデータから作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/08/249_NoU.pdf

これによると、世界全体で飢餓の影響を受けている人の数(慢性的な栄養不足人口)は、2021年には最大で8億2,800万人と推定され、これは世界の全人口の約1割を占めています。
 飢餓人口の推移をみると、2005年には約8億人だったのが2010年には約6億人、2017年には約5.7億人へと減少していましたが、2019年以降、大きく増加に転じています。… 続きを読む

【豆知識】終戦直後の栄養摂取状況

昭和20(1945)年8月、終戦を迎えた日本は深刻な食料不足に見舞われていました。
 農民の出征により国内の農業生産基盤がぜい弱化していたなか、大陸や台湾等からの食料供給は途絶え、さらに戦地から多くの兵士が復員してきたためです。

リンク先のグラフは、現在、厚生労働省のホームページで入手できる最も古い国民栄養調査(現在は国民健康・栄養調査)から作成したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/08/248_sengo.pdf

これによると、昭和21(1946)年の熱量摂取量(棒グラフ)は、都市では1,721kcal(単純平均)であるのに対して農村では2,084kcal。翌年はそれぞれ1,772kcal、2,136kcalへと増加しているものの、顕著な改善は見られません。また、都市は2年間を通じて農村の8割強の水準に留まっています。… 続きを読む

【豆知識】東村山市、東京都の農業の特色

去る7月22日(金)、榊田みどりさん(農業ジャーナリスト、明治大学客員教授)のご依頼を受けて、地域農政未来塾(「オーシャン・カレント欄」参照)において「農林水産統計の調べ方、使い方」について説明させて頂きました。
 その際、せっかくの機会でしたので、私も自分が住んでいる東京・東村山市の農業について調べてみました。

市町村の農林水産業について調べる時に役に立つのが、農林水産省・統計情報のホームページで公開されている「わがマチ・わがムラ(市町村データ)」です。
 このサイトでは、日本地図から調べたい市町村を選択すると、その市町村の土地面積や人口、農林水産業に関するデータの一覧が表示されます(ランキングや週択単位のデータを見ることもできます)。
 また、データは、所在する都道府県及び全国のデータと同時にCVS形式でダウンロードすることができます。… 続きを読む

【豆知識】品目別の食料価格の推移と自給率

2022年に入ってからもエネルギーや食料の価格上昇が止まりません。上昇率は欧米に比べれば低いとはいえ、日本にとって近年なかった状況です。
 リンク先の図246は、品目別にみた最近の食料価格の推移とその自給率を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/07/246_kakaku.pdf

縦軸は、品目別の消費者物価指数の推移(2020年(100)、21年、22年1〜5月)を図示したものです。各品目の折れ線グラフの横幅の中心は、横軸の自給率(2020年、重量ベース)です。
 これによると、自給率が低い油脂類、小麦の価格が最も大きく上昇しており、これと対照的に、ほぼ国内で自給している米の価格は逆に低下している状況がみられます。なお、肉類の自給率は飼料価格を考慮すると7%となり、今後、飼料原料価格高騰の影響が肉類の価格に影響を及ぼしてくる可能性があります。… 続きを読む

【豆知識】世界の人口大国と穀物自給率

パンデミックやウクライナ情勢により、世界的に食料安全保障に対する懸念・関心が高まっています。ここで改めて、世界の中で日本がどのような状況にあるかを確認しておきます。
 リンク先の図245は、世界各国の穀物自給率を人口の大きな国の順に並べたものです。

 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/07/245_2_kokumotu2.pdf
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国連統計によると2018年の世界の人口は76.3億人。… 続きを読む

【豆知識】作付規模別にみた米生産費

一般的に生産コストは規模が拡大するに伴って低減します。このスケールメリット(規模の経済)は、米についても明らかに観察されます。
 リンク先の図244は、米の60kg当たり生産費(費用合計)を作付規模別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/06/244_kibo.pdf
 
 2020年産米の60kg当たり生産費(費用合計)は平均で1万3104円ですが、棒グラフにある通り、作付面積0.5ha未満では平均の1.9倍、0.5〜1ha層では1.5倍となっているのに対し、10〜15ha層では71%、50ha以上層では56%と、作付規模が大きい経営体ほど生産費は低減しています。
 費目別にみると、特に農機具費、賃借料及び料金(作業委託料等)、労働費が大きく低減していることが分かります。… 続きを読む

【豆知識】農産物価格と生産資材価格の推移

輸入食料(及び輸入食料を原料とした加工品)の値上げが続くなか、国内農産物の価格は総じて低迷が続いていますが、一方で、国内の農業生産に必要な資材の価格は上昇しています。
 リンク先の図243は、国内の農産物価格指数と農業生産資材価格指数の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/05/243_kakakusuii.pdf
 
 これによると、2022年3月の農産物価格指数(2015年=100)は総合で111.3と、近年ほぼ横ばいで推移しています。
 しかし米については、2019年頃に比べると20%以上低下しており、逆に野菜価格については、最近、上昇がみられます(次の「オーシャン・カレント欄」参照)。… 続きを読む

【豆知識】沖縄の耕地面積の長期推移

先の大戦は日本の農業生産にも甚大な影響を及ぼしました。農業従事者の多くが出征・戦病死し、復員できた方も直ちに農業生産を再開することはできず、国民の多くが「餓死」の危機に直面しました。
 リンク先の図242は、1925年以降の全国、北海道及び都府県、そして沖縄県の耕地面積の推移を表したものです(注)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/05/242_kotisuii.pdf

太平洋戦争が始まった1941年における全国の経営耕地面積は568万ha。これが終戦直後の47年には501万haへと一気に86万ha(14.6%)減少しました。なお、これは混乱期で把握し切れなかった農地もあったと考えられます。
 その後、1970年頃まではほぼ横ばいで推移していましたが、70年代に入って以降は経済が高度成長する中で減少傾向を強め、2020年では戦前から約半減(1941年比 … 続きを読む

【豆知識】米の在庫量と小麦輸入量

コロナ禍、ウクライナ危機により世界的に食料安全保障に対する関心・懸念が高まるなか、日本においては主食である米が自給できていることが大きな強みとされています。
 リンク先の図241の棒グラフは、各年・各月末時点の米の民間在庫量(出荷段階+販売段階)の推移等を示したものです。収穫期(出来秋)には新米の在庫(青い部分)が増加し、その後、消費に伴って徐々に減少していることが分かります。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/05/241_zaiko.png

棒グラフの赤い部分が古米(前年以前に生産された米)です(なお、在庫量の把握は毎年7月に年産が切り替わります)。
 また、折れ線グラフは古米在庫量の対前年同月末比を示したものですが、2020年以降、前年を20〜60%と大きく上回って推移していることが分かります。これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って外食を中心に米の需要が減少したためで、古米在庫の増大が新米の取引価格の下落につながっているとして、農業関係者の間には危機感が高まっているのです。… 続きを読む

【豆知識】米の購入先の変化

ウクライナ危機により世界的に食料安全保障に対する関心・懸念が高まっていますが、日本の場合、主食である米が国内自給できていることは大きな強みです。
 その日本の消費者の精米の購入先をみると、スーパーマーケットが49.8%(2020年度、以下同じ。)と約半分を占めており、ドラッグストア5.7%、ディスカウントストア3.9%、生協7.0%、米穀専門店2.4%等となっています。また、生産者からの直接購入が5.0%、インターネットショップが9.7%あります。

リンク先の図240の横軸は、購入先のシェアの2017年度から2022年度への変化を示しています。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/04/240_nyushu.pdf
 
 最もシェアが大きいスーパーマーケットのシェアは49.7%から50.5%へとほぼ横ばいで、ドラッグストアは1.8倍(3.7%→6.6%)、ディスカウントストアは1.3倍(2.8%→3.8%)とシェアを高めており、逆に生協は0.8倍(8.1%→6.4%)、米穀専門店等は0.9倍(2.7%→2.4%)とシェアを落としています。… 続きを読む