【豆知識 No.231】「地域主義」について

大江正章さんが一貫して取り組んでおられたテーマの一つが、「地域主義」でした。
 現在、地域主義というと、グローバル化に対抗するEU統合など政治的な動きを指す言葉としても用いられますが、ここで言う地域主義は、それとは若干意味合いが異なります。

玉野井芳郎(元東京大名誉教授、沖縄国際大教授)は、地域主義を「地域に生きる生活者たちが、その自然・歴史・風土を背景に、その地域の共同体にたいして一体感をもち、経済的自立性、政治的自律性(自治)、文化的独自性を追求すること」と定義しています。

この言葉から40年以上が経過した現在、経済や情報(思想や哲学も)のグローバル化が進むなか、人々は拠って立つところ(地域や場)を喪失し、ふわふわと浮遊しているかのようです。情報等には容易にアクセスできるものの自分の血肉とはならず、モヤモヤは募るばかり。コロナ禍もあって人と人との直接的なコミュニケーションも困難になっています(リンク先の図(マンガ?)231参照)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/12/231_tiiki.pdf続きを読む

【豆知識 No.230】世界の経済部門別の温室効果ガス排出量

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2021年8月に発行した第6次評価報告書(AR6 WG1)では、「人為的な温室効果ガス排出量の増加が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」とされています。
 リンク先の図230は、世界の経済部門別の温室効果ガス(GHG)排出量の構成比を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/11/230_GHG.pdf

これによると、世界のGHG排出量は全体で520億トン(二酸化炭素換算)となっており、うち一次産業(「農業」及び「林業その他の土地利用」)のシェアは23%と、全体の約4分の1を占めています。… 続きを読む

【豆知識】農業・食料関連産業のシェアの推移

リンク先の図229は、農業・食料関連産業の国内総生産の、全経済活動(GDP)に占めるシェアの推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/11/229_share.pdf 

 国内農林漁業のシェアは、1970年には5.5%でしたが2019年に1.0%へと低下しています。また、食品製造業や外食産業を含む関連産業全体では、同期間に15.6%から9.6%へと同様に低下していますが、それでもGDP全体の約1割を占めています(なお、これには輸入原料を用いた加工品等も含んでいます)。
 一次産業以外の関連産業のシェアが相対的に大きくなっていることが分かります。

 国内農林漁業のシェアが低下傾向にあり、現在は1%という低い水準となっていることについて、悲観的に(あるいは批判的に)捉える見解もありますが、それは必ずしも妥当とは言えません。… 続きを読む

【豆知識】年齢別にみた投票と社会変革に関する価値観

シンクタンク株式会社・山猫総合研究所(三浦瑠麗代表)は、2017年衆院選および2019年参院選の結果について、18歳以上の男女を対象にインターネットによる価値観調査を行いました(回答者2060人)。
 その結果を分析したレポートでは、有権者の投票行動に最も影響したのは安保・憲法に関わるイデオロギーであり、成長重視か分配重視かはそれほど大きな影響を与えなかったこと、日本国民のなかには党派を超えた幅広いコンセンサス(自由貿易、女性問題等)が存在すること等が明らかとされています。

リンク先の図228は、本調査結果の一部を抜すいしたものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/10/228_katikan.pdf

これによると、「選挙で投票しても何も変わらない」という考えには、全体で56.4%が賛成し38.2%が反対していますが、年齢別にみると、年長者よりも若い世代にそう感じる人が多くなっています。… 続きを読む

【豆知識】すし(外食と弁当)の消費額の推移

日本の伝統食であるすしは、外食や持ち帰りでも人気のメニューです。
 リンク先の図227は、家計における2017年から20年にかけてのすし(外食及び弁当)への消費額の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/10/227_sushi.pdf

これによると、2020年のすし(外食)に対する支出額は、全国平均で2017〜19年平均に比べて14.3%減少しているのに対し、すし(弁当)に対する支出額は同6.4%増加しています。この結果、すしへの支出額については、外食と弁当(持ち帰り)が逆転しているのです。
 この傾向は、もともと外食志向が高い東海地方、逆に箱寿司や柿の葉寿司など持ち帰りが多い近畿地方でも、同様となっています。… 続きを読む

【豆知識】輸入物価指数が過去最大の上昇

日本銀行が9月13日(月)に発表した2021年8月の企業物価指数(速報)によると、円ベースの輸入物価指数は前年同月比29.2%上昇と、比較可能な1981年以降で最大の上昇率となりました。
 なお、輸出物価指数は伸びが鈍化しており、輸出物価を輸入物価で割った交易条件は低迷しています。

リンク先の図226は、2000年代に入って以降の輸入物価指数(円ベース)の推移(折れ線グラフ)と、21年8月の品目別の上昇率(速報、棒グラフ)を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/09/226_yunyu.pdf

21年8月の上昇率を品目別にみると、石油・石炭・天然ガスが73.8%、金属・同製品が56.3%と特に大きく上昇しています。… 続きを読む

【豆知識】関係人口と移住

総人口が減少し東京圏への一極集中が進むなかで、「関係人口」が注目されています。
 「関係人口」とは、観光(交流)以上、移住(定住)未満の、地域と様々なかたちで関わる人々のことで、地域の人と交流するイベントや体験プログラムの企画・運営・参加、地域の企業等での就労、副業・テレワーク、ボランティアなど、そのかたちは多様です。

リンク先の図225は、人口1万人当たりの関係人口の人数と、2012年から2019年までの8カ年の田園回帰の状況(三大都市圏からの転入超過回数)について図示したものです(出典は国土交通省資料)。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/09/225_kankei.pdf

これによると、その地域を訪問している関係人口の人数が多い市町村ほど、三大都市圏からの転入超過回数が多いことが見て取れます。つまり、様々なかたちでの関係人口が増加することが、移住・定住の促進にもつなかっていることが伺えるのです。… 続きを読む

【豆知識】2021年8月の豪雨について

今回の豪雨については、追って専門家により総合的な評価と要因分析等が行われると思いますが、ここでは8月20日までに気象庁が公表しているデータにより、その特徴を探ってみました。

リンク先の図224は、今回、特に被害が大きかった佐賀市及び広島市について、2000年代に入って以降の年間降水量(計)と1日当たりの最大降水量の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/08/224_gouu.pdf

これによると、両地点とも、降水量が傾向的に増加しているという状況は必ずしも明らかではありません。
 しかし、2021年に入ってからの降水量については、8月(20日まで)の降水量が佐賀市では55%、広島市では36%を占めており、雨が20日間に集中して降ったことが分かります。… 続きを読む

【豆知識】人口、農業生産における東京都のシェア

この国の最大の問題は、バランスを欠いていること−すなわち、東京一極集中ではないでしょうか。
 わずか0.6%の面積しかない東京都に、人口の11%、経済活動(GDP)の20%が集中しており、遠隔地から輸送されてきた大量の食料、工業製品、エネルギー等が消費されています。

 リンク先の図223は、人口と農業生産について、全国に占める東京都のシェアの推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/08/223_Tokyo.pdf

全人口に占める東京都のシェアは、1970年代から90年代にかけて10%を下回るまで緩やかに低下しました。経済が高度成長を続ける中で、人口の地方分散が進みかけていたのです。… 続きを読む

【豆知識】都道府県別にみたGAP認証数

2020東京オリンピック・パラリンピックは、日本の食や農業生産にも一つの転機を与えました。選手村で提供される料理等について、持続可能性に配慮した農産物の調達基準としてGAPが取り入れられたのです。
 GAP(ギャップ、Good Agricultural Practices、農業生産工程管理)とは、農業生産の適正な手順等を定め、その基準を順守している生産者や作物を認証することで、食品安全や労働安全、環境保全等を確保しようという取組みです。

(一財)日本GAP協会によると、2021年3月末時点のASIAGAP及びJGAPの認証数は2121となっています。これには海外の11を含み、また、これらとは別にGLOBALGAPの認証が2020年12月末時点で692あります(それぞれの違い等は資料をご覧下さい)。… 続きを読む

【豆知識】畜産物の自給率の推移

2018年度の畜産物の品目別自給率 (重量ベース) は、牛肉35%、豚肉49%、鶏肉64%、鶏卵96%、牛乳・乳製品59%等と比較的高くなっていますが、飼料自給率を考慮すると、それぞれ9%、6%、8%、12%、25%という非常に低い数値となります。
 これは日本の畜産が輸入飼料によって支えられているためで、飼料自給率(可消化養分ベース)は25%に留まっています。
 リンク先の図221は、畜産物等の自給率の推移を示したものです。… 続きを読む

【豆知識】最近の東京都の人口の動き

戦後における日本の人口は、時期によって若干の波はあるものの一貫して大都市圏に集中しており、特に1990年代後半以降は東京圏への一極集中が続いてきました。
 ところが、最近の新型コロナウイルス感染症の拡大は、この状況にも構造変化を及ぼしています。

リンク先の図220は、最近の東京都の人口の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/06/220_tokyo.pdf

2019年まで増加を続けてきた東京都の人口は、2020年5月頃をピークに減少に転じています。… 続きを読む

【豆知識】日本の漁獲量の推移と新たな不漁

魚は自然資源であるため、漁獲量は海洋環境等によって大きく変動します。ところが近年のサケ、イカ、サンマの3魚種のように、これまでにもあった短期的な不漁とは異なる状況が生まれています。
 リンク先の図219は、日本の漁獲量全体及び3魚種の漁獲量の推移を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/06/219_gyokaku.pdf

日本の漁業量は、資源量の変動に加え、200海里時代の到来による遠洋漁業からの撤退もあり、1980年代後半の約 1,100 … 続きを読む

【豆知識】農業体験学習の教育的効果

体験活動が食べものや農業に対する意識の変化につながることについては、様々な研究成果があります。
 リンク先の図218は、農業体験学習の教育的効果について、全国の公立小学校を対象としたアンケート調査結果を示したものです。回答者は農業体験学習を担当した経験のある教員で、有効回答数は210です。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/05/218_taiken.pdf

これによると、農業体験学習が有する教育的効果として、「作物を収穫する喜びや充実感を味わう」について「そう思う」「ややそう思う」との回答割合は95%、「自然や生き物を大切にする気持ちが育つ」については同90%、「食べ物を大切にする気持ちが育つ」は同82%となっています。
 また、食べ物(同78%)、農業(同68%)、地域(同51%)についての「知識・理解が深まる」効果も高いものとなっています。… 続きを読む