【豆知識271】農業用水路の長さ(延長)など

「瑞穂の国」とも称される日本は、温暖湿潤な気候風土に恵まれ、豊かな農業生産が展開されてきました。その農業生産を支えてきたのが、全国に網の目のように張り巡らされた農業用水路です。
 添付先のグラフは、農業用水路の長さ(延長)等を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/07/271_suiro.pdf

日本の農業用水路全体の長さ(総延長)は約40万kmとされ、これは実に地球10周分に当たるそうです。また、農業用水路のうち受益面積が100ha以上ある基幹的農業用水路の長さは約4万9千kmとなっています。
 これを一級河川の国による直轄管理区間、一般国道の指定区間、JRの線路と比較すると、いずれも農業用水路の方が長く、農業用水路は公共的な施設として大きな量(ストック)を有していることが分かります。
 また、農業用水路は、水田や畑への水の供給だけではなく、水系全体の流量調整(洪水の防止等)への貢献、景観や生物多様性の保全等の面でも大きな役割を果たしています。
 さらに歴史的にみると、農業用水路の開削・整備事業は、日本の国土づくりそのままだったという面もあります。

その農業用水路は、現在、老朽化が進みつつあり、転落事故の頻発も問題となっています。農業用水路を管理している水利組合の構成員(農業者)も減少・高齢化が進んでおり、都市住民も含めて適切に整備・維持管理していくことが求められています。

データの出所:以下の資料から筆者が作成。
  農林水産省「基幹的農業水利施設の施設数、水路延長(平成20年、推計値)」
  https://www.maff.go.jp/j/nousin/sekkei/suidozu/s_zyokyo/pdf/02_sisetu.pdf
  国土交通省「一級河川の河川延長等調(令和4年4月30日現在)」
  https://www.mlit.go.jp/statistics/details/content/001594706.pdf
  同「道路統計年報2022」
  https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-data/tokei-nen/2022/nenpo02.html
  同「鉄道統計年報(令和2年度)」
  https://www.mlit.go.jp/tetudo/tetudo_tk2_000057.html

出典:
 F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
 No.271、2023年7月18日(火)[和暦 水無月朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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