前号で紹介したとおり、企業や家庭は大量の食品ロスを発生させています(2021年で523万トン)。食べものを捨てることがエシカル(倫理的)でないことは自明ですが、同時に、大量の食品ロスは経済(経営)面でも大きな負担となっています。
リンク先のグラフは、2020年に公正取引委員会が実施した大手コンビニエンスストアチェーンの全ての加盟店を対象としたアンケート調査結果から作成したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/10/278_conveni.pdf
直近の会計年度におけるコンビニの1店舗当たりの収支状況をみると、売上高1億8,600万円に対して売上原価は1億2,887万円、うち営業費は2,299万円となっています。
この営業費の内訳(円グラフ)をみると、従業員給与が1,500万円と全体の65%を占めており最も多くなっていますが、次いで多いのが廃棄ロス(468万円)で20%を占めています。
代表的なデイリー商品であるおにぎりと弁当についてみると、おにぎりは1店舗1日当たり198.6個を仕入れ、うち18.9個が廃棄されており、廃棄金額は2.3千円(原価ベース)となっています。また、弁当については39個の仕入れに対して5.2個が廃棄(金額は2.2千円)されています。
廃棄物の発生抑制は、次の「オーシャンカレント」欄で紹介するエシカル基準においても重要な項目となっています。家庭を含め、それぞれの主体が食品ロスの削減に取り組むことが、エシカルな社会づくりに向けての重要な課題となっています。
(資料)
公正取引委員会「コンビニエンスストア本部と加盟店との取引等に関する実態調査報告書」(2020年9月)から筆者作成。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2020/sep/200902_1.html
(この報告書は、前号「ほんのさわり」欄で紹介した食品ロス問題ジャーナリスト・井出留美さんの別のご著作で知りました。貴重な情報を有難うございました。)
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.278、2023年10月29日(日)[和暦 長月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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