近年、農福連携の取組み(障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組み)が広がっています。
農作業は、障がい者等のストレスを減らす効果がある(「農の福祉力」)とされていますが、順天堂大学大学院 緩和医療学研究室、NPO法人ユメソダテ、都城三股農福連携協議会は、そのことを実証するため、「農作業によるストレス軽減テスト」を実施しました(2023年3月)。
添付先のグラフは、その結果を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2023/08/272_noufuku.pdf
実証テストの対象は、ユメソダテ(注:オーシャン・カレント欄参照)が主催する「人を育てる畑コース」第1期生の6名(知的・発達障がいを抱えている方)で、体操、座学、農作業から構成されているプログラムの開始前と終了後に採取した唾液を分析した結果です(αアミラーゼについては途中(座学終了後)でも分析)。
これによると、αアミラーゼ(総合的な不快感の指標となる消化酵素)の数値は低下しており、活動により不快感が取り除かれ情緒が安定していることが分かります。また、コルチゾール(心理的緊張、やる気の指標となるホルモン)の数値はやや上昇しており、全体として活動による活力の向上が見られます。さらに、分泌型免疫グロブリンA(免疫や身体的緊張の指標となる抗体)の数値は低下しており、活動が情緒を安定させ不快感を払拭させている可能性が示唆されています。
以上のように、ユメソダテのプログラムは全体的に有効であることが示唆されています。また、受講生それぞれの自発を促すには、不快を感じにくく、かつ参加できるプログラムが重要ですが、農作業はこの両面を満たす可能性があると分析されています。
データの出所(グラフは以下の資料から筆者作成)。
順天堂大学大学院 緩和医療学研究室、NPO法人ユメソダテ、都城三股農福連携協議会
「農作業によるストレス軽減テスト」(2023年3月16日(木)実施、ノウフクマガジン#68より)
https://noufuku.jp/magazine/post-20230518/
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.272、2023年8月1日(火)[和暦 水無月十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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