【ブログ】2023年の集落総出の草刈り(新潟・大賀)

2023年8月5日(土)は、新潟・上越市大賀集落の総出の草刈りの日。私は2016年7月以来、久しぶりに参加させて頂くことに。

 始発に乗り、5時半頃に西武新宿線・井荻駅前でたかった氏に拾ってもらいました。もう1名と3人で関越道へ。いつもより時間が早いこともあるのか空いています。
 7時前に赤城高原SAでいったん休憩。やがて関越トンネルを抜け、越後湯沢ICで降りて森の駅大島青空市場に立ち寄り。8時30分の開店直後でしたが、すでに多くの地場野菜などが運ばれ並べられています。

大賀地区に入ったのは9時20分頃。集落に向かう坂道の途中で、草刈り作業中の一行に出会いました。
 集落の一番上にある浅間社の脇から、地区の入り口に当たる吉川に掛かる橋までの道路が草刈りのコース。すでに、かなりの範囲が終了しています。

 挨拶をして、まずは泊まらせて頂く集会施設(「庵寺」と呼んでいます。)へ。今回もお地蔵さまが迎えて下さいました。晴天。気温も東京と変わらないような。
 急いで着替えて、ちょうど休憩されていた一行に合流。

 いつもお世話になっている中村昭一さんの姿も。体調不良で恒例の田植え体験ができず、内心、心配していたのですが、お元気そうな姿に安心しました。
 
 この日は8時頃から、集落の方たち(他出されているご家族の方や移住者の方も含め)10名ほどで始められていたようです。東京から別に早い時間に来られていた1名の方は最初から参加されていたそうで、顔が真っ赤です。

私たちの分も、草刈り機を準備して下さっていました。
 エンジンをかけて(久しぶりでちょっと手間取りましたが)、背中に背負います。心なしか以前より重く感じられます。

 適宜、道路の両脇に分かれて、せり出している草や灌木を刈り取りながら坂道を下っていきます。
 金属製の歯が高速で回転し、軽快に刈り取っていきます。振動と切断する時の感覚が、両手両肩に伝わってきます。

葛のツタが多く、これが回転歯に絡みついてくると厄介です。
 各自、休憩して水分を補給しながら、ゆっくりと下っていきます。それにしても暑い。

終点に到着したのは、10時40分頃。
 3時間弱(東京から遅れて参加した私たちは、わずか1時間ほど)で、作業は終了。背中の草刈り機を下ろし、木陰に腰を下ろして休憩です。風が涼しく感じられます。

 集落の方がスポーツドリンクを配って下さいましたが、手が震えてペットボトルがうまく持てないことに驚きました。何とか両手で口に運び、たちまち1本、飲み干してしまいました。
 ムギワラトンボも翅を休めています(田んぼの近くではシオカラトンボもたくさん見られました)。

あれれ、途中で外した手袋が見当たりません。坂道を戻っていくと、路上にしっかりと落ちていました。それにしても忘れ物や落し物など、うっかりが多くなりました(涙)。

東京組は集会施設に戻り、車で20分ほどのスカイトピア遊ランドで温泉入浴したのは12時30分過ぎ。早い時間だったからか、他に入浴客はいません。
 たくさんの燕が飛び交っていました。

いったん集会施設に戻って一休み。
 15時前に迎えに来てくれたバスに集落の皆さんと一緒に乗って、再び遊ランドへ。
 15時過ぎからの直会(なおらい)は、生憎と地域の他の行事と重なってしまったこともあり、ちょっと寂しい少人数です。
 中村さんから挨拶を頂き、たかった氏の音頭で乾杯。豪華な焼き肉を準備して下さっていました。中村さんの奥様が持参して下さったミニトマトも美味です。
 もちろん、日本酒も(この辺りは「杜氏の郷」と呼ばれています)。

17時過ぎに散会。バスで集落に戻ります。
 集会施設の下にある、いつも体験させて頂いている田んぼまで歩いてみました。
 私たちは来られませんでしたが、いつもの田んぼにも中村さんがちゃんと田植えをされていて、すくすくと育っていました。そろそろ穂が出始めています。
 いつもの、心の和む棚田の光景です。

ところが周辺には、作付けされていない田んぼが目立つようになっていました。
 大賀に通わせてもらうようになってから10年弱になりますが、棚田の光景も変化してきました。もとより田んぼは私有財産であり、それぞれのご家族の事情などもあるようですが、正直、寂しさを禁じえません。

パイプからは、豊かに水が流れ出していました。
 このところ大賀もほとんど雨が降っていないそうですが、それでも冬の間に蓄えられた雪解け水は豊富で、触れてみると冷たく、タオルを濡らして首に回すと至福です。

 やがて、山の端に夕日が沈んでいきました。向こう側は日本海です。
 夜になって地域の方たちが集まって下さり、二次会の開催。かぼちゃの煮物や、限定品の日本酒などを持ち寄って下さいました。色々なお話も伺うことができました。
 お忙しい中、有難うございました。ご馳走様でした。

 懇談は深夜(未明?)まで続いたようですが、私は12時過ぎには早々にダウン。

集落施設にはエアコンはないのですが、夜から朝にかけては涼しくて快適、ぐっすりと眠れました。扇風機や布団は、集落の方たちが準備して下さっていました。

 朝の6時過ぎ、田んぼの見回りに来られた中村さんが顔を出して下さいました。この日も朝から地域の行事で出かけられるそうです。

 食器などを片付けて掃除。ごみは持ち帰ります。
 7時半に出発。中村さん宅に立ち寄り、奥様にお願いして、昨日美味しく頂いたものと同じトマトを収穫させて頂きました。

 尾神岳(パラグライダーの名所)のふもとにある大出口泉水で水汲み。冷たくて美味。ペットボトルに入れて持ち帰ることに。
 振り返ると、広大な田んぼと日本海の見事な眺望です。

十日町市の星峠の棚田を見学し(見事です)、松之山温泉の食堂で天丼と冷たいお蕎麦のセット。美味。
 テレビでは、開幕した夏の甲子園(暑いだろうな~)と、広島の平和記念式典のニュース映像。
 多くの尊い命が奪われてから78年、核兵器や和平をめぐる世界の情勢の厳しさは、さらに増しつつあります。食糧情勢も。

帰りの関越道も、比較的時間が早かったせいか厳しい渋滞はありませんでした。集落の方々、たかった始め皆様、今回もお世話になり有難うございました。

ちなみに日本の米の生産量は、深刻な飢餓に見舞われていた戦後すぐ(1946年)は912万トンであったのに対して、現在は(2021年)は756万トン。すでに戦中戦後のレベルを下回っています。
 折しも、8月4日(金)付けに日本経済新聞には、米の国際価格がインドの禁輸により高騰しているとのニュース。さらに7日(月)には、農林水産省が2022年度の食料自給率を公表(カロリーベース38%、生産額ベース58%)。
 このまま担い手が高齢化・減少し、農地が荒れていくと、果たして、都会人を始めとする私たちの「食」はどうなっていくのでしょうか。