【ポイント】
肉類は、食料消費面、農業生産面でますます重要となっています。しかしながら、産地や生産者・事業者の方たちのことを想像することが難しいことが、根深い偏見や差別が払拭されない一因となっていると考えられます。
日本人の食生活は、1960年代に高度経済成長が始まって以来、大きく変化しました。これほど大きく食生活が変化した国は、世界にはありません。
変化の主役は、米と畜産物・油脂です。米の消費量はピーク時の約4割へと大幅に減少した一方、畜産物と油脂は数倍に増加しました。生活の急激な「欧米化」です。今回は、このなかで肉類を取り上げます。
リンク先の図284は、栄養摂取及び農業生産面における肉類の割合の変化を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2024/01/284_nikurui.pdf
国民一人一日当たりの供給熱量は、1960年度には2290 kcalだったのが1990年度には2640 kcalへと増加し、2021年度には2265 kcalへと減少に転じています。この間、肉類は63 kcal→213 kcal→230 kcalと増加を続け、供給熱量全体に占める肉類の割合は1%→6%→8%と大きく上昇しています。
同様に肉類の割合をみると、たんぱく質については4%→13%→14%と、脂質については6%→13%→16%と、いずれも大きく上昇しています。
一方、農業生産面についても、産出額全体に占める肉類(肉用牛、豚、ブロイラー)の割合は5%→13.9%→20.7%と大きく上昇しています。
このように、肉類は食料消費面、農業生産面で大きく地位を高めてきており、欠くことのできないものとなっています。
ところが現在、消費者にとってお肉とは、綺麗にパックされてスーパーの棚に並んでいる商品の一つにすぎません。肉類は、産地や生産者・事業者の方たちのことを想像することが最も難しい食材と言えます。このことが、食肉産業に携わる方たちに対する根深い偏見や差別が、現在も払拭されないことの一因となっていると考えられます。
私たちが大好きなお肉は、当然ながら、と畜・解体する人がいないと食べることはできないのです。
[資料]
農林水産省「食料需給表」(令和3年度)、「生産農業所得統計」(令和3年)から筆者作成。
https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/nougyou_sansyutu/
出典:
F.M.Letter-フード・マイレージ資料室 通信-pray for peace.
No.284、2024年1月25日(木)[和暦 師走十五日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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