【ブログ】銀座農業コミュニティ塾・第12回勉強会

2019年(令和元年)の秋も深まってきました(暦の上ではもう冬です)。
 玄関先のブルーベリーの葉も色づいています。

11月11日(月)の終業後は、東京・中央区立環境情報センターへ。「中央区の森紹介展」が開催中です。

19 時から開催されたのは、銀座農業コミュニティ塾の第 12 回勉強会
 塾生の交流を通じて自然や生命を大切にする農的社会の実現を目指し、2ヶ月に1回程度、定期的に勉強会が開催されています(誰でも参加できます)。

 前半は、塾の代表世話人である蔦谷栄一先生(農的社会デザイン研究所)による講義。
 「社会的共通資本である農業・農村の持続性と循環を取り戻す」と題するレジュメが、事前に参加者に配布されています。

 本年7月、現在の農業に危機感を抱く生産者、生産者団体など有志により「持続可能な農業を創る会」(座長は蔦谷先生)が立ち上げられ、現在、審議中の食料・農業・農村基本計画への反映を目指して提言を取りまとめ中とのこと。
 その素案の内容について紹介がありました。(文責・中田)

「成長や規模拡大ではなく、持続可能な農業が求められている。その背景には担い手 不足、地力の低下、地域コミュニティの弱体化等がある。また、災害多発の背景には水田や森林の保水力の低下があるのでは」

 「基本スタンスは、農業を社会的共通資本として位置づけること、消費者(国民)の支持・納得が得られること。また、国連のSDGs、国際家族農業の10年、小農権利宣言の具体的取組の柱としていくこと」

  「持続可能な農業を作っていくための農法・技術としては、農薬・化学肥料の抑制、 土壌の提乱を最小限にすること、多様な作物を輪作すること等が考えられる」

 「さらには、協同労働による集落営農など担い手の育成、食教育(「いただきます」)の推進、日本の多様な産直モデルの途上国等への普及・支援、潜在自然植生を生かした森作り等も重要」

そして、これらを踏まえた政策提言の骨子(蔦谷先生の素案)として、持続可能な農業の推進を農政の基本に据え、環境政策の取組の強化、有機等表示(有機、特別栽培、GAP等)の統合、地元産有機農産物を使った学校給食など地産地消の推進、コミュニティ再生による地域防災力の強化、都市緑化と都市農業の振興等の事項を紹介されました。

 忌憚のない意見をとの問いかけに、参加者からは「人類史を踏まえた農の本質等にも 触れるべきでは」「農薬の使用抑制は日本の自然条件の中で可能か」「現在の平地林等は、自然植生とは異なるのでは」等の発言があり、意見交換が行われました。

後半は、若尾健太郎さんによる「都市農業がまちづくりに貢献する役割-“みんなの畑”から生まれるもの」と題する報告。
 青年海外協力隊としてグァテマラに派遣されていた若尾さんは、帰国後、「途上国のような社会を作りたい」と思い、“農”を地域コミュニティ再生のためのフィールドに活動を始められたそうです。

 自ら育った東京・西東京市において、2013年、もう1人の方とノウマチ(西東京市農地保全協議会)を設立し、“みんなの畑”を運営されています。

750平米の宅地化農地をフィールドにした「ごしゃまぜ」 のコミュニティ畑は、高齢者など市民の「やりたい思い」を実現するとともに、障がい者や生活困窮者の就労の場にもなっているとのこと。
 2ヶ月に1回程度、イベントも開催しているそうです。

 相互に助け合い支え合う「みんな」の居場所(現代版「結・講」の場)となり、社会保障費の圧縮や持続可能なコミュニティづくりにも貢献しているとのこと。
 モデルとして、他の地域にも広げていきたいと力強く話されました。

会場との意見交換では、運営の収支、農地の調達方法など様々な具体的な質問が出されました。
 販売できるほどの生産量はないものの、様々な交付金を活用するとともに、土地については地主さんの厚意もあって運営できているとのことです。

 自分の住んでいるところから遠くないところで、ユニークな取組みが行われていることを知りました。
 一度、機会をみて訪ねてみようと思います。

終了後は、いつもの地下の餃子屋さんに移動して懇親会。23 時近くまで盛り上がりました。
 なお、次回の勉強会は1月14日(火)を予定しています。