【F.M.豆知識】減速する世界の経済成長率

昨年(2019)10月、国際通貨基金(IMF)は世界経済見通しを改訂し、2019年の世界の経済成長率を3.0%と予測しました。7月時点から0.2ポイント下方修正され、金融危機直後の2009年以来10年ぶりの低い水準となりました。
 ちなみに3%は好不況の境目とされる数値です。

 リンク先の図184は、1980年以降の世界の国内総生産(GDP、名目)と、実質経済成長率の推移を図示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/01/184_GDP.pdf


 これによると、世界のGDPは2000年頃まで順調に右肩上がりで推移し、さらに2000年代後半には年5%近い高い成長を続けました。
 これは、特に中国など新興国・途上国の高い成長率に支えられたもので、アメリカ、日本など先進国の成長率は長期的に低下傾向にあります。
 ちなみに日本については、1990年頃までは高い成長を続けていましたが、現在は世界の中でも最も低い成長率となっています。

 そして2009年にはリーマンショックを始めとする金融危機が発生し、世界の経済成長率は大きく落ち込み、その後、現在まで低迷を続けています。
 この要因について、IMFは、米中の貿易戦争の影響で世界的に貿易や投資が減速していること、先進国については高齢化や生産性の伸び悩み等の構造的要因があること、世界の経済成長を牽引してきた中国など新興国についても個人消費の低迷や緊縮財政が影響していること等と分析しています。
 
 しかし、より構造的・根本的な要因として、資源・環境制約が顕在化し、過去のような過度に化石資源に依存した経済成長が望めなくなっているという事情があるものと思われます。
[データ出典]
 IMF“World Economic Outlook Database October 2019”  https://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2019/02/weodata/index.aspx

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-No.182
 2020年1月9日(木)[和暦 師走十五日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
 (過去の記事はこちらに掲載)
  https://food-mileage.jp/category/mame/