【ブログ】ほんの1日

2020年2月22日(土)。
 この日も新型コロナウィルスの感染拡大のニュース。各地のイベント等も中止・縮小の動き。早期の終息を祈りたい気持ちです。

 好天に恵まれましたが風の強い1日。昨年より15日早い春一番だったそうです。
 東京・井の頭の「森の食卓」を訪ねました。

この日10時から開催されたのは「第32回 森の読書会」。
 参加者は主催者も含めて8名という少人数の会です。

 冒頭、主催者のエイコさんから、「特にテーマや課題本は定めず、好きな本を持ち寄って自由に話し合う読書会。ゆったりと楽しんで下さい」等の開会挨拶。

 ちなみにこれまで何回か参加させて頂いている私は、今回は主催者の1人(サポート役)に加えて下さっています。

テーブルのお茶とお菓子を頂きながら、簡単な自己紹介に続いて持ち寄った好きな本の紹介。

 千葉・松戸の野菜農家の男性はエッセイコミック『百姓貴族』を紹介して下さいました。
 著者の荒川弘(女性だそうです)の実家は北海道の酪農家で、農家ならではのリアルなストーリーに色々と感じるところがあったそうです。

 北九州出身で川崎在住の男性からは、浅井リョウ『何者』
 参加者それぞれの就活の時の苦労話で、しばし盛り上がりました。

長崎出身で教育関係の仕事をされている男性が紹介して下さったのは、藤田 田『ユダヤの商法』
 その思想が現在の経済界のトップリーダー達にも引き継がれている「伝説の名著」が、最近、復刊されたとのこと。

 私からは(例によって(汗))拙著『フード・マイレージ』を紹介。
 自らの食の選択が、地球や地域の環境と関わっていること等を説明させて頂きました。

 近隣で地域活動等に熱心に取り組んでおられる男性(この日の朝も町会の資源ゴミ回収の活動をされたとのこと)からは、多田駿『物語 夢のまほろば』。 
 縄文と弥生が交差する時代に居場所を求めて旅立った2人の物語。著者は、綿密な取材エピソードを紹介してくれる会を開催されているそうです。

近所にお住まいで森の食卓でヨガの会を主催されている女性からは、リック・ウォレン『人生を導く5つの目的』 。
 年末に行った山歩きの帰りの駅で偶然に出会ったという本に、深く感銘したとのこと。キリスト教の教えはヨガにも通じる部分が多いそうです。

 隣の駅近くに住む言語聴覚士をされている女性は『東大「ずる勉」英語』を紹介して下さいました。ご主人のホームステイ先の米国の女性に会いにいくために、英語を勉強しなおしているそうです。
 黒川 伊保子『人間のトリセツ』は、人工知能と人間の脳の取扱説明書とのこと。

最後にエイコさんからは、まずドリアン助川『線量計と奥の細道』。震災と原発事故の翌年に線量計を携えて東北から北陸を紀行した記録です。

 もう1冊は寺田啓佐『発酵道』。 酒蔵の微生物が人間の生き方を教えてくれます。
 寺田本家の日本酒(日本酒とは別のジャンル?)の美味しさについて、ひと盛り上がり。

持ち寄った本をテーブルに並べながら、自由な意見交換がさらに盛り上がります。

 本の内容だけではなく、その本を知ったきっかけ、なぜこの場で紹介したいのか等について紹介があったこともあり、興味深い対話が続きました。

 ゆったりとした時間を楽しむうち、定刻の正午を過ぎてお開きに。参加された皆様、有難うございました。

 エイコさんは3月半ばから忙しくなるそうですが、次回の開催が楽しみです。

エイコさん、マキコさん(エイコさんのお母さまで「森の食卓」オーナー)と自転車で三鷹市内へ(この日は初めて、吉祥寺駅前のレンタサイクルを利用しました)。

 美味しいパスタのランチの後は、三鷹駅近くのスズメベースへ。
 読書会で何度かご一緒したことのある方が個人で運営されている、地域図書館・まちライブラリーです。

 移転前に比べると狭くなりましたが、奥行きのある棚には文芸書、実用書からコミックまで、様々な本が並んでいます。
 2人の小学生が入ってきて、棚からお目当ての本を取り出してベンチに座って読み始めました。
 無料(!)で借りることもできるそうです。

個人でテナント料を負担し、自ら店番もされるというのはご苦労も多いかと思いますが、このような場所が各地に増えていくと楽しいだろうな、と思いました。

 運営費の足しになるかどうかは分かりませんが、販売されていた市内の有名菓子店のクッキーなどを求めさせて頂きました(美味しかったです!)。
 お近くにお越しの際は、ぜひお立寄り下さい(木曜は定休)。

 さて、先日の奥沢ブッククラブ・シゲさんの投稿で、三鷹市内にユニークな2軒の古本屋さんがあるということを知り、足を運んでみました。

一軒目は、無人(!)古本屋さん「BOOK ROAD」。
 三鷹駅北口から徒歩なら15分ほどの商店街にある建物の1階の、間口2間ほどのガラス張りのスペース。
 店内の様子は外からでもよく見えます。女性が1人、棚をご覧になっていました。

 新書を1冊、求めさせて頂きました。代金はガチャガチャに入れて、出てきた目立つ黄色のビニール袋に入れて持ち帰るというシステム。
 万引きを防ぐための工夫も色々となされているようです。

もう1軒は、吉祥寺駅北にある「ブックマンション」。繁華街のビルの階段を下りたところにあります。

 ここは、80人ほどの方がそれぞれ棚を借りて、そこで好きな本を置いて販売するというシェア型の古本屋さん。
 壁一面の棚が区分けされ、販売者のプレートが置かれています。何人かの方が熱心に棚を見ていました。

 いま、インターネットが当たり前になって本は売れなくなり、町からは本屋さんの姿がどんどん消えつつあります(ちなみに書店の減少率は農家並みです)。

 そのようななか、顔を合わせての読書会に参加し、個人で運営されている「まちの図書館」やユニークなスタイルの古本屋さんに足を運んで、心が軽く、温かくなった1日でした。

 もっとも春一番のせいで花粉の飛散が一気に本格化。悲惨な季節の到来です。