◇フード・マイレージ資料室 通信 No.187◇
2020年2月23日(月)[和暦 如月朔日]発行
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◆ F.M.豆知識 国や社会に対する若者の意識
◆ O.カレント 葛力創造舎(福島・葛尾村)
◆ ほんのさわり 駒崎弘樹『「社会を変える」を仕事にする』
◆ 情報ひろば ブログ更新、イベント情報等
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新型肺炎の早期の終息を祈りたいと思います。
時の流れを体感するため和暦の朔日(新月)と十五日(ほぼ満月の日)に配信している本メルマガ、今号は「社会を変えること」について考えてみました。
◆ F.M.豆知識
食や農に関連して、特に私たち消費者にちょっと役に立つ、あるいは考えるヒントになるデータをコツコツと紹介していきます。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/mame/
-国や社会に対する若者の意識-
日本財団は、18歳の若者が何を考え思っているかについてのインターネットアンケート調査を継続して行っています。
2019年9月下旬から10月上旬にかけで実施した20回目の調査では、国や社会に対する意識について調査しました。
対象は日本、インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカの17~19歳の各1,000人です。
リンク先の図187は、このなかの「自分の意識」についての回答結果をグラフ化したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/02/187_18sai.pdf
一見した通り、日本は全ての項目について数値の低さが際立っています。
例えば、「自分を大人」「責任ある社会の一員」と考える日本の若者はそれぞれ29%、45%と、他国の2分の1から3分の1の水準にとどまっています。
また、「国に解決したい社会課題がある」と認識している者の割合は46%と、これも各国の半分程度となっています。
「社会課題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している」(27%)は諸外国の半分程度、さらには「自分で国や社会を変えられると思う」人は18%と、さらに際立って低い水準となっているのです。
なお、一方で「将来の夢を持って入いる」若者の割合も、60%と最も低くなっています。
この結果からは、日本の若者には主体的に「社会を変えよう」という意識は、諸外国に比べて乏しいと断ぜざるを得ません。しかしながら、この結果だけから私は悲観してはいません。
なぜなら、現実には、地域において社会を変えようと積極的に活動している若い世代の方達がたくさんおられるからです。次の「オーシャン・カレント」のコーナーでは、その一例を紹介させて頂きます。
[資料]
日本財団「18歳意識調査(第20回-国や社会に対する意識)」(2019年11月)
https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2019/11/wha_pro_eig_97.pdf
◆ オーシャン・カレント-潮目を変える-
食や農の分野について先進的かつユニークな活動に取り組んでおられる方や、食や農に関わるトピックス等を紹介します。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/pr/
-葛力創造舎(福島・葛尾村)-
阿武隈山地の山間部に位置する双葉郡葛尾村(かつらおむら)は、東日本大震災前の時点で人口約1500人と、1950年代からすでに半減していました。
そこに大震災と原発事故が発生。全村避難を強いられ、居住人口は一時ゼロとなりました。
その後、2016年6月にはほとんどの区域で避難指示は解除されたものの、現在も居住人口は移住者を含めて400人程度にとどまっています。
そのような過疎・高齢化が深刻化している葛尾村において、持続可能なコミュニティづくりのために取り組んでいるのが、一般社団法人 葛力創造舎(かつりょくそうぞうしゃ)です。
地域にある資源を特定し、人材を発掘・育成しつつ、自社ブランド製品を開発して経済を循環させていくことを目指しています。
大学生スタッフが中心となったコメ作り体験や、昔ながらの「祝言式」を復活させたイベントには、全国から多くの人が集まります。また、県内外から大学生のインターンや高校生の教育旅行を積極的に受け入れており、民泊交流施設の運営も始めました。
人材育成のための葛力創造塾、地域に残る助け合いの文化・結(ゆい)の精神を学ぶ「SCHOOL OF YUI 2020」等も開催しています。
これらの活動が評価され、本年1月には地方新聞46紙と共同通信社が主催する「地域再生大賞」の優秀賞を受賞しました。
葛尾村で生まれ育ち、震災後にUターンした代表の下枝浩徳さん(34歳)は、
「震災と原発被害に苦しむ葛尾村には、今も優しさや思いやりが色濃く残っている。私はこの村の方達に寄り添いながら『コミュニティとは何か』ということを日本、世界に発信していきたい」と話しておられます。
[参考]
(一社)葛力創造舎
http://katsuryoku-s.com/
https://ja-jp.facebook.com/katsuryoku.sozo.sha/
◆ ほんのさわり
食や農の分野を中心に、考えるヒントとなるような本の「さわり」を紹介します。
(過去の記事はこちらにも掲載)
http://food-mileage.jp/category/br/
-駒崎弘樹『「社会を変える」を仕事にする-社会起業家という生き方』(2011.11、ちくま文庫)-
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480428882/
著者は1979年東京・江東区生まれ。大学在学中にITベンチャーの社長になるものの事業拡大路線に疑問を感じ、卒業と同時に仲間と袂を分かって退職。
「社会の役に立ちたい!」と強く思うもののの具体像は見つけられず、実家から勘当される等の苦しい状況のなかで留学したアメリカで見たものは、ホームステイ先の同年代のホストブラザーが、2軒先の一人暮らしのお婆ちゃんの家の前の雪かきを当たり前のようにする姿でした。
また、アメリカには「事業によって社会問題を解決する」NPOやソーシャルベンチャーがあることを知り、驚くとともに、進むべき方向を見つけたのです。
病児保育サービスというテーマに着目したきっかけは、子どもの頃に病気になった時、働いていた母に代わって「近所のおばちゃん」が面倒を見てくれていたという記憶。
そのような近所の助け合いを事業(社会的なサービス)にしようと思い立ったのです。
行政や政治家の無理解と妨害、既存の保育事業者からの反発など何度も挫折しそうになりながら、2005年4月にNPO法人フローレンスを立ち上げます。
その後も様々な苦難を経験しつつも、学生ボランティアやプロボノなど様々なサポートも得て、新しいサービスが全国に広がって行く様子が生き生きと綴られています。
また、巻末には具体的なアドバイス、ソーシャルベンチャーと参考文献のリスト、用語集も収められているなど、実用的なマニュアル本としても活用できます。
「社会起業家が行うソーシャルビジネスとは、たとえて言うと砕氷船のようなもの。小さな船が作った新しい航路を、タンカーや豪華客船(国や自治体や企業)が後から通り、規模の大きな仕事をすればいい」
「気付いた個人が事業を立ち上げ、地域から社会問題を解決できる時代になっているのだ」と著者は訴えます。
「文庫版へのあとがき」で記されている通り、2007年に出版されてからの8年間でソーシャルベンチャーに対する人々の意識や認知度は大きく変化しているとのこと。
「社会を変える」を仕事にできる時代を、今、私たちは迎えているのかも知れません。
◆ 情報ひろば
拙ウェブサイトやブログの更新情報、食や農に関わる各種イベントの開催情報等をお届します。
▼ 拙ブログ「新・伏臥慢録」更新情報
○和暦と陰陽の対話(ダイアローグ)[2/15]
https://food-mileage.jp/2020/02/15/blog-257/
○浦河ひがし町診療所~百年の夢@プラチナ庵[2/16]
https://food-mileage.jp/2020/02/16/blog-258/
○ふくしま有機ネット交流サロン in 東京2020[2/19]
https://food-mileage.jp/2020/02/19/blog-259/
▼ 筆者が参加予定または関心のあるイベント等を勝手に紹介します。
既に満席の場合等がありますので、参加を希望される際には必ず事前に主催者等にお問い合せ下さい。
○ Fec自給圏関東スタディツアー(1)
「多摩ニュータウンと里山との共生の姿を見る」
日時:3月1日(日)9:00~15:00
場所:ユギムラ牧場(東京・八王子市堀之内)ほか
主催:ECOM エコ・コミュニケーションセンター
(詳細、お問合せ先等↓)
https://www.facebook.com/events/740586733139747/
○ 農家と飲みニケーション
日時:3月6日(金)19:00~23:00
場所:ゴホウビダイナー(東京・世田谷区祖師谷1)
主催:ゴホウビダイナー
(詳細、お問合せ先等↓)
https://www.facebook.com/events/486169438729900/
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*米令寺忽々のコツコツ小咄。
「鶏の品種が違うと、卵の色もこんなに違うんです」
「カラ(殻)フルですね」
アニマルフォレストうつしの森(福島・田村市)では、色とりどり(鶏々)の「にじたま」を販売されています。
http://www.animalforest-utsushi.com/pages/sub3.html
コツコツ小咄(まとめ)は拙ウェブサイトにも掲載してあります。
http://food-mileage.jp/category/iki/
* 次号No.188は3月9日(月)[和暦 如月十五日]に配信予定です。
より役立つ情報発信等に努めていきますので、読者の皆さまのご意見、ご要望をお聞かせ頂ければ幸いです。
* 和暦については、高月美樹さん『和暦日々是好日』を参考にさせて頂いています
いつもありがとうございます。
http://www.lunaworks.jp/
* 本メルマガは個人の立場で配信しているものであり、意見や考え方は筆者の個人的なもので、全ての文責は中田個人にあります。
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◆ F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-【ID;0001579997】
発行者:中田哲也 (購読(無料)登録はこちらから)
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
発行システム:『まぐまぐ!』
http://www.mag2.com/
バックナンバー
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ブログ「新・伏臥慢録~フード・マイレージ資料室から~」
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