【ブログ】ふくしま有機ネット交流サロン in 東京2020

2020年2月15日(土)は快晴。午後から東京・神保町へ。
 イベントスペースで15時から開催されたのは、ふくしま有機ネット交流サロンin東京2020

定刻の15時過ぎに開会。
 主催者のふくしま有機ネット(NPO福島県有機農業ネットワーク)代表の浅見彰宏さんからの開会挨拶(以下、文責は全て中田にあります)。

 「東日本大震災から間もなく丸9年。まだまだ復興が進んでいない地域もある。
 そのような現状を首都圏の方に知ってもらい、交流のきっかけになるような場づくりを続けていきたい」

この日は、福島から3名(3組)のゲストが来られ、現地の現状や取組みについて話して下さいました。

 最初は吉田睦美さん(田村市・アニマルフォレストうつしの森)から「羊と鶏+ヒトの自然な牧場を」と題する報告。

 「自分は浪江町出身で、川内村の農家に嫁いだ後に東日本大震災が発生。
 ボランティアとして被災した羊やヤギを飼養管理しつつ、一時全村避難を強いられた川内村での牧場再開を検討していたものの断念、2016年に現在の田村市移(うつし)地区に移転してアニマルフォレストうつしの森を始めた」

「主力商品の一つ『にじたま』は、白色レグホン(白)、会津地鶏(赤)、烏骨鶏(黄)、アローカナ(青)の卵の詰め合わせ。
 いずれも平飼いの有精卵で、デザインコンペで受賞したり、雑誌で取り上げられたりしている」

 「2018年からは牧場を生かした様々なイベントも始め、今後は動物ふれあいスペースやキャンプサイト、会員制度も始める予定」

 「かつて羊の飼養頭数が全国1位だった福島の羊文化を守っていきたい。牧場として、守れる文化を守っていきたい」等と力強く語られました。

2組目は浪江町の「なみえファーム」(浪江町)。

 登壇された和泉 亘さんと大高 充さんは、いずれも1992年白河市生まれの27歳。
 小学生からの同級生で高校卒業後は別の道を歩んでいましたが、現在は2人とも浪江町に移住して農業を中心とした地域づくりに取り組んでおられるとのこと。

 「浪江町は原発事故で全村避難。2017年3月に一部解除されたものの、現在も8割の地域に避難指示が出されている。
 空き屋や管理できていない農地が多く、多くの分野で担い手が不足するなか、移住者を中心とした男女6名(農業大学出身者、主婦等)で任意団体なみえファームを立ち上げた」

「すべての状況を変えられる訳ではないが、自分たちのできることをしていきたい。
 例えばなみえ農業についての情報発信(視察等の受け入れ、ネットラジオ等)、体験・コミョニティ農園の整備(農家民泊を準備中)、軽トラ市等マルシェの開催など」

 「将来は浪江町に移住定住を考える人や農業に挑戦したい人をサポートする事業も立ち上げたい」

 4月発売予定の新商品のふりかけ(黒エゴマと唐辛子、白ゴマと海の幸)の紹介もあり、後ほど会場で試食させて頂きました。

ゲストトークの最後は、葛力創造舎(かつりょくそうぞうしゃ)の大学生スタッフ・鈴木彩乃さんと斎藤郁也さん。

 葛尾村(かつらおむら)は阿武隈高原の山間部にある人口300人ほどの小さな村で、福島県内でも知名度は低いとのこと。

 「葛尾村の地域づくりで見えてきたことは、目に見えない価値が理解されない社会になっているということ。
 地方には文化は残っているが人がいない一方、都市には人はいるが文化はない。都市と農村は学びあうことができるのではないか」

 「葛力創造舎は、地域の力を引き出した持続循環する地域モデル作り(地域の資源やプレイヤーの発掘・育成、収益事業作り、基金の設立等)に取り組んでいる」

「ある学生スタッフは、『葛尾村には何もないかも知れないけど、それが魅力。何事もゼロベースで挑戦できる』と語っている」

 「本年2月には、第10回地域再生大賞の優秀賞も受賞。
 今後も、村の自立・持続に向けて若者の移住を促すための仕事をつくり、民泊事業や商品開発などにも力を入れるなど、持続循環する地域モデルをつくっていきたい」

 交流事業で獲れたお米と、それを使ったお煎餅も紹介して下さいました(これも後に試食)。

後半の交流会に先立ち、今回もおむすびを準備して下さった山田みきさん(笑むすび∞ 、喜多方出身)から、この日のラインナップの紹介がありました。

 会津の山塩を使った塩むすび、りょうぜん漬けアーモンド、ふきみそクリームチーズ、 ごぼうチーズ、ゆかりくるみブルーチーズ(蜂蜜トッピング)等々。
 ご実家のお米を使った小ぶりのおむすびです。

 「おむすびで『人』と『笑い』をむすんで、地球を元気にしたい」と話されました。

 テーブルには、山田さんの米油のから揚げ、浅見さんちのポテトサラダ、いか人参、お漬物等が並べられました。

 窓際は 「日本酒BAR」に 。
 福島は、全国新酒鑑評会金賞受賞数が7年連続日本一の県。そのなかから、ふくしま有機ネット一押しのお酒が並べられています。
 浅見さん達が棚田のお米で作られている「上堰米のお酒」も。

 なみえファーム新製品の2種類のふりかけ、葛力創造舎のお煎餅も試食させて頂きました。いずれも、なかなか美味です。
 アニマルフォレストうつしの森の「にじたま」等も求めさせて頂きました。

 会場は、福島から来られた方と首都圏を中心とする参加者(徳島の知人の姿も!)との間で懇談の輪が広がります。

東日本大震災の被災地の中でも、原発事故の被害を直接こうむった福島・浜通り地方の復興は、全体的に遅れていると言わざるを得ません。

 そのような地域で、若い世代の方たちが活動されている話を直接伺うことができたこの日の会合は、大きな意義がありました。感動さえ覚えました。
 もっともっと多くの人たちに、この日のお話を聞いてもらいたいと思いました。

 というのは、残念ながら、この日の参加者は前年に比べると少なかったのです。昨年11月のふくしま有機ネットの現地ツアーも、首都圏からの参加者は少数でした。

 間もなく東日本大震災から丸9年。日本各地で災害が多発する中、東日本大震災の記憶と被災地への関心が薄れるのは仕方ないのかもしれません。

 被災地だから、可哀想だからという同情や共感(失礼)だけではなく、浜通りで始まっているユニークで先進的な地域づくりの取組み自体に、これからは注目していく必要があるのかもしれません。
 この日報告頂いた3組と山田さん始め、これまで現地等でお会いした方々の活動に、これからも注目し、学ばせて頂いていこうと思います。

 主催者及びコーディネータの皆様、有難うございました。