【ブログ】銀河鉄道バス、走る!

新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に収束せず、世の中には何とも不穏な空気に覆われていま す。
 休日はほとんど外出もせず。最近は少しペーパークラフトにハマっています。

 (昔の街並みと、中東に派遣中の護衛艦たかなみ)

しかし人々の思惑にかかわりなく、季節は移ります。
 ひと雨降る毎に春が本格化し、雪まで降った3月14日(土)には、観測史上最も早く、東京で桜の開花宣言も出されました。

 2020年3月17日(火)。
 私の地元・東村山市でも桜が開花しています。もっとも写真はソメイヨシノではなく、開花が早い彼岸桜。濃いピンクの花弁が青空に映えます。

朝の6時半前。
 西武新宿線・東村山駅の東口ロータリーには、一台の大型観光バスが停車していました。地元のバ ス会社・銀河鉄道が運行する「らくらく通勤バス」です。

 混雑する通勤電車にも感染拡大のリスクが懸念される中、3月12日(木)に運行を開始したという ニュースが、先週のNHK ラジオで流され、知りました。

 1日2便(東村山6時発、6時30分発))の運行で、到着地は新宿駅西口と東京駅丸の内口(6時30 分の便は新宿駅まで)。
 ちなみに運賃は無料(!)ですが、インターネット等で事前予約が必要です。

 山本宏昭社長さん(たぶん)が駅に向かう人たちに声をかけ、案内チラシを配っておられます。

受付等の社員の方も3名ほど。事前予約の名簿をチェックして、消毒液を手に噴霧して下さり、「だ いじょうぶだぁ地蔵尊」のお守りを頂いて乗車。

 入り口脇に設置された加湿器は、常時、次亜塩素酸を噴霧しているそうです。座席も2シートを1 名ずつで利用することなど、感染拡大防止に配慮されています。
 この日は前後も空いていたので、ゆっくりとリクライニングを倒すことができました。

 定刻6時30分ちょうどにドアが閉められて出発。
 若い男性の運転手さんから案内とシートベルト着用の注意があり、車内テレビではニュース番組が放映され始めました。
 見慣れた街の風景も、観光バスの高い位置から眺めると新鮮です。

府中街道から青梅街道に出て左折、まっすぐ新宿に向かいます。
 ところが交通量は多く渋滞気味で、 新宿駅西口に到着したのは予定より20分ほど遅い8時35分頃。乗車してから2時間強なので、西武 新宿線(急行で45分ほど)の倍以上かかったことになります。

 それが乗車客の少なさに表れているのかも知れませんが、時間に余裕があればゆったりと座って(居眠りしながらでも)、安心して通勤できるので、 メリットは大きいと思われました。

このような無料通勤バスの運行を始められたのは、山本社長の「通勤客の不安を少しでも減らした い」との思いからだそうです。
 ホームページにも「地域の皆様が安心して職場に通えるよう、万全の 運行管理体制のもと運行いたします」と決意が記されています。

 そのホームページ等によると、山本社長は1963年、東村山市青葉町(ご近所です)のお生まれ。
 幼 い頃から家の前を通るバスが大好きで、バスの運転士になりたいという夢を大人になっても持ち続け、 ついに自らバスを購入して会社(銀河鉄道(株))を起こされたという方だそうです。

 (写真は銀河鉄道ホームページより)

「儲かるかどうか」ではなく「皆様のお役に立つかどうか」を大切にされているとのこと。
 大手が撤退、あるいは長年陳情してもバスが走らなかったような地域に路線バスを運行し、運転免許を返納したシニア向けには格安定期券を販売。

 東日本大震災の時には、2000人の学生ボランティアを支援物資とともに無償で被災地に運び、社長 ご自身も現地での復興作業に当たられたそうです。

 また、宮沢賢治の誕生日である8月27日は、賢治の本を持参すれば無料で乗れるという「遊び心」も。

 (写真は銀河鉄道ホームページより)

いずれも採算は度外視、今回の通勤バスも、これらの取組みの延長線上にあるようです。

 社長さんとは全く面識はありませんが、このような地域密着型の小さなバス会社が地元で活躍していることを 思うと、誇らしい気持ちを禁じ得ません。