-朱川湊人『花まんま』(2005.4、文芸春秋)- https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163238401
著者(しゅかわ・みなと)は1963年大阪府生まれ。出版社勤務を経て作家デビュー、本書で第35回直木賞を受賞されています。
主人公は大阪の下町に住む小学生中学年の男児。
4歳違いの妹が生まれた時は、お父さんと一緒に病院の前で万歳を叫びました(お父さんはその後、交通事故で死去)。
そんな可愛いがっていた妹が小学生に上がった頃、ある日突然、自分はある人の生まれ変わりだと言い出したのです。しかもかなり詳しい夢を見ているようです。
妹に懇願され、幼いきょうだいは電車に乗って女性が住んでいた彦根に向かい、女性の家族と会います。そして女性の父親が、娘を事件で亡くして以来、いっさい食事をとっていないことを知ります。
そして、妹に託されて父親に届けた弁当箱のなかには・・・。
サスペンスやホラー小説の香りをまといながら、鮮やかな花の色が想像されて心に沁みる、珠玉の小品です。
花には、時空を超えて、人の心を結びつける力があるのかも知れません。
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
No.189、2020年3月24日(火)[和暦 弥生朔日]
(過去の記事はこちらに掲載)
https://food-mileage.jp/category/br/