【ブログ】ご挨拶(新年度に思うこと)

前略 陽春の候、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 さて、私こと、3月末に農林水産省を定年退職しました。公私にわたり、これまで支えて下さった多くの方々に感謝申し上げます。
 4月以降、当面は同じ農林水産省統計部に再任用いただきお世話になっています(勤務は水~金)。
 引き続きご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いします。

時候は正に陽春。
 和暦では弥生(草木がいよいよ勢いよく生い茂る「いやおい」の月)も半ば。二十四節気の清明(せいめい)です。

 ソメイヨシノから主役を奪うように、近所でも八重桜や弁慶桃が咲き誇っています。
 妻は(本来、花粉症のためにの)マスクを手作りしてくれました。生地は娘が幼い時に体験した藍染めです。だそうです。

一年でもっともわくわくとする季節のはずですが、新型コロナウイルス禍の感染拡大が続いています。

 地元のヒーロー・功労者である志村けん先生の訃報には驚き、深い悲しみを覚えました。西武新宿線・東村山駅前の広場には献花台が設えられ、手を合わせる多くの方たちの姿も(長時間、密集しないようにとも看板も)。

この週末も外出は自粛。
 近所に散歩や買い物に出かけただけで、ほとんど自宅で過ごしました。
 最近、凝り始めたペーパークラフト作りで時間はいくらでも潰せます(ほかにやるべきことがあるような)。

 ちなみに左から伊予松山城淡路交通(バス)福良営業所伊勢赤福・五十鈴茶屋本店(いずれも型紙は無料でダウンロードできます)。

ここまで書いたところで、安倍首相が緊急事態宣言の意向を固めたとのニュース。
 新型コロナウィルスとの戦いも、いよいよ本格化する様相を呈してきました。世界的な社会や経済への甚大な影響が懸念されます。

 ここから食べ物の話。
 一時のパニック的な買いだめの動きは収まりましたが、食料自給率の低さ等から、食料供給への不安感は払拭できていないかも知れません。

 農林水産省のホームページによると、食料品は十分な供給量が確保されており、生産現場が止まることはなく、輸入が滞っていることもないとのこと。
 また、備蓄や在庫についても、例えば米については政府備蓄が約100万トン、 民間在庫が約270万トンと、年間需要量の半分以上が確保されているそうです。

 農林水産省は落ち着いた購買行動を要請するとともに、家庭での備蓄も推奨しています(あくまで平時からの計画的な取組みです)。

そのようななか、またも農業ジャーナリストの小谷あゆみさんが、示唆に富むノートを公開されています。
 そのタイトルは「コロナという戦禍で人々は世界中で食料をつくり始めた Dig for victory(勝つために掘れ) 」。

 ロックダウン(都市封鎖)の始まっている世界各国で、 自分で食料を自給しようとする動きが始まっているとのこと。
 イギリスの市民農園は、第二次世界大戦時に政府により推進されたもので、“Victory garden(勝利の庭)” とも呼ばれていたそうです。

 ほかにも、オーストラリアの種苗店には家庭菜園用の種苗を求める消費者が増えていること、コロナ禍以前から世界では都市農業の価値が見直されていること等についても幅広く紹介されており、大いに参考になります。います。

私としては、食料自給や農本主義といった言葉は、歴史的に戦争や軍国主義と親和性の高い言葉であることから、これまで正面から使用することにある意味、躊躇する思いを禁じ得ませんで下。ありました。
 (藤原辰史先生は、ナチスが食料自給、地産地消、食育等を強力に推進していた事実を様子を明らかにされています。)

 しかし、現実に「戦時」とも呼べる時代を迎えてみると、食料を自給すること、身近に生産者や食料供給に携わる事業者の皆さんがおられることの重要性を、改めて実感しています。

 小谷さんの
 「わたしたちは、このままの消費者でよいのでしょうか。 いまの買い占め行動を見ていると、あらためて『消費』の脆さと、 「生産』的なライフスタイルへのシフトチェンジの必要性を感じます」
との言葉には、私も1人の消費者として、強い共感を覚えます。

毎朝、radicoで聴いている熊本のラジオ放送では、パーソナリティの方が「今年の桜は格別にきれいに見える」と話されていました。
 こちらも全く同感です。

 1日も早く、平穏な世の中が戻ってくることを心から祈ります。