【豆知識】第一次産業と感染者密度

去る5月25日(月)、新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態措置は解除されましたが、現在も東京都や北九州市では毎日新たな感染者が確認されており、油断のできない状況が続いています。
 感染拡大防止のためには、いわゆる「三密」を避けることが重要です。
 現に人口密度が高い都道府県ほど感染者数が多いことは本メルマガNo.191(4/23配信)でも紹介しました。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/04/191_kansen.png

 また、このようななか、農林業や農山村地域を見直す動きも出てきています。
 リンク先の図194の横軸は、県内総生産に占める第一次産業(農林漁業)のシェアを表したもので、第一次産業の経済的なシェアは全国平均では1.1%程度ですが、青森や宮崎・鹿児島では5%を上回っています。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2020/06/194_itiji.pdf

 一方、縦軸は感染者密度(100平米当たりの新型コロナウイルスの感染者数)で、全国平均では4.4人ですが、東京都(241人)、大阪府(94人)、神奈川県(57人)は突出して多くなっています。
 なお、グラフは両軸とも対数目盛で表示しており、明らかに負の相関(右肩下がりの形)を示しています。

 むろん、このグラフだけから、農林漁業が新型コロナウイルス感染拡大を抑制する効果があるといった因果関係を説明することはできません。単に人口密度が低い都道府県では感染者数が少なく、同時に比較的農林漁業が盛んであることを示しているに過ぎないのかも知れません。
 しかし、感染症というリスクと一次産業や農村地域の価値との関係という視点については、引き続き大事にしていきたいと思います。

[資料]
 内閣府「県民経済計算」
 https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sonota/kenmin/kenmin_top.html
 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(2020年6月4日版)」より
 https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000636974.pdf

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
  No.194、2020年6月6日(土)[和暦 閏卯月十五日]

 (過去の記事はこちらに掲載)
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