【ブログ】コロナと農、食

なかなか梅雨が明けず、農作物への影響が懸念されています。すでに野菜は値上がりしています。
 そのようななかでも、自宅近くに一画を借りている市民農園では、今年は枝豆が豊作。
 毎日のように畑で収穫してきて、風呂を浴び、茹でたての枝豆とビール。至福の時間。

時々虫食いがあるのですが、この日ついに犯人を発見。鞘に潜り込むようにして食い荒らしていたのはヤスデでした。
 現行犯でしたがそのまま釈放。

 ナスやトマトに裂果が目立ってきたのは、雨が多いせいかもしれません。
 小玉スイカは3個できているうちの1個を初収穫。楽しみです。

 玄関脇のプランタのビオラを旺盛に食べていたツマグロヒョウモンは、サナギになっていました。体長20mmほどと幼虫の時より小ぶりです。3頭を確認していますが、連日の大雨の影響がないか心配です。(本当に酷い一夜は傘を立てかけてやりました)。

2020年7月26日(日)の午後は、環境・平和研究会のオンライン研究会に途中から参加。
 コロナウイルスの感染拡大以来、リアルのイベントだけではなくオンラインの研究会等もほとんど参加していませんでしたが、講師の方のお名前にひかれて申し込みをしていたのです。

 前半(セッション1)は研究進捗・近況報告。
 宮城・気仙沼での「屋号電話帳」、滋賀県における「伊勢講勧進帳」など研究会の名称からは意外な内容でしたが、興味深い報告でした。
 新教科書『平和学のいま』の刊行報告も。

セッション2のテーマは「コロナ危機にどう向き合うか」。
(なお、以下の文責はすべて中田にあります。誤解、曲解があるかも知れません)

 最初は、古沢広祐先生による「アフタ/ウイズコロナ時代の世界動向~シナリオ分析を中心に」。
 事前にメールで関連する論文「コロナ危機が問う自然・人間・文明」「気候変動と感染症」を送って下さっています。
 また、参考文献として『新型コロナ19氏の意見−われわれはどこにいて、どこへ向かうのか』(農文協編ブックレット、2020年)を紹介されています。

ご報告のうち、特に印象に残ったのは以下のような箇所でした。

「新型コロナは氷山の一角として現れた減少。自然破壊や温暖化が進み、危機が複合化するなか、自然・人間関係の根底的な見直しが必要とされている」

「複合的危機への対処のためには、欧州で提起され始めている『グリーン・リカバリー』の実現が必要。脱都市化と農山村が再評価され、ローカル性と相互信頼のネットワーク、生協など自立・協同的な営みの重要性が見直されている」

「自治・分権化と同時に、国際協調・連携の強化(グローカル化)も不可欠。自分たちだけの安全・健康は成り立ちえないのが世界の現実」

 先日、拝読し拙メルマガでも紹介させて頂いた『食・農・環境とSDGs−持続可能な社会のトータルビジョン』(2020.2、農文協』も、大いに参考になりました。

後半は、中野佳裕先生による「いまこそ<健全な社会>へーコロナとともに考えるトランジション・デザイン」。
 岩波書店『世界』8月号に寄稿されたものがベースになっているようで、事前に参考となる記事を送って下さっています。

 特に印象に残ったのは以下のような点でした。

「コロナ「危機」の背景には、グローバル化の流れの中で長年蓄積されてきた要素(格差拡大と地球環境破壊等)がある」

「「豊かさ」(wealth)の本来の意味に立ち返り、「地球の健康」(planetary health)の視座から「健全な社会」(healthy society)をデザインしていくことが必要。ローカリゼーションによるコモン(common)の再構築が戦略となる」

「コロナ下の世界では、フランスの産直連携運動(AMAP)、イギリスにおける家庭菜園の増加など、様々な食や農にかかわる実践が行われている。ウガンダ西部の農村地帯でパーマカルチャーに取り組んできた団体は、地域での技術普及に取り組み始めた」

お2人の講演に共通していたことは、次の2点と感じました。
 一つは、今回のコロナ「危機」を新しく出てきた現象と捉えるのは適切ではなく、歴史的なグローバリゼーション(それに伴う格差の拡大と気候危機)の流れの中で捉える必要があるということ。
 そして、持続可能な未来をデザインしていくに当たっては、食や農の役割がますます大きくなっている可能性があるということです。

ところで、事前に読んでおくべきだった『世界』8月号を求めようと近隣(多摩地区の田舎です。)の書店を4軒ほど回りましたが、1店は売り切れ、残りの3店では取り扱ってもいないとのこと。
 かつて社会問題等に関心のあった人には「必携」ともされた雑誌が売れなくなっていること、なにより地域の書店が大きく減っていることを実感した次第。

本日(2020.7/28)付け日本経済新聞の文化面(最終面)では、大竹道茂さん(江戸東京・伝統野菜研究会)の「江戸東京野菜、現代に復活」との記事が大きく掲載されていました。
 大竹さんのご新著も、各紙の書評欄で取り上げられるなど、好評のようです。

 都市部を含め、地元にある伝統野菜等を復活する取組みは、SDGs実現の方向にも沿ったものと思われます

 撮影地:東京・日比谷公園(2020.7/22)

記事とは無関係ながら、東京・日比谷公園ではユリの花が満開。今年が初めてで、冬の間からずっと手入れされてきたものです。
 写真は先週のものなので、盛りは過ぎつつあるかもしれません。