【オーシャン・カレント】土用の丑の日

土用とは、四立(しりゅう;立春・立夏・立秋・立冬)の直前の約18日間のことで、この間に12日周期で割り当てられる十二支の「丑」と重なるのが「土用の丑の日」です。2020年は春、夏、秋、冬合計で7日あり、このうち夏は7月21日(火)と8月2日(日)の2日あります(一の丑、二の丑と呼ばれます)。

 土用はいずれも季節の変わり目に当たりますが、特に夏の土用は夏バテを解消するため、ビタミンAなど栄養豊富なウナギを食べる習慣があります。

 夏の土用の丑の日にウナギを食べる習慣は、平賀源内が流行らせたという通説の真偽はともかくとして、江戸中期に始まりました。もっともウナギが夏バテに効くことは『万葉集』の時代から知られており、ウナギは歴史的に日本の季節や風土と密接に結びついた食文化の一つなのです。

 また、ウナギを食べるのは日本だけではありません。
 古代ギリシアのアリストテレスは「ウナギは泥の中から自然発生する」と書き遺し、15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチは「最後の晩餐」の中央のテーブルにウナギ料理の皿を描いています。強靭な生命力と高い栄養、謎に満ちた生態等に、人類は魅せられてきたのです。

 一方、日本人のウナギ消費が(とりわけ土用の丑の日に集中していることが)、世界のウナギ資源に大きな負荷を与えているという指摘もあります。ウナギに関するマスコミの報道もこの時期に集中します(このメルマガまで!)。
 習慣や歳時記は大切にしつつも、地球資源の持続可能性にも心を配る必要がある時代になっています。

[参考]
 塚本勝巳編著『ウナギの科学』(2019.6/15、朝倉書店)
 http://www.asakura.co.jp/books/isbn/978-4-254-48502-8/

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【出所】
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
 No.197、2020年7月21日(火)[和暦 水無月朔日]

 (過去の記事はこちらに掲載)
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