【ブログ】西伊豆満喫ツアー(農商工連携サポートセンター)

2020年9月26日(土)~27日(日)は、NPO農商工連携サポートセンター主催の「西伊豆満喫ツアー」へ。

 生憎の雨模様のなか9時半頃にJR東京駅に到着。
 19番線ホームの端に立食い蕎麦屋さんがあるとは知りませんでした。アルコール消毒して入ると、1席毎にビニールカーテンで仕切られています。肌寒かったこともあり、熱いタヌキ蕎麦は美味でした。

 東京駅9:57発のこだま715号は空いています。
 新幹線に乗るのも、県をまたいで移動するのもコロナ禍以降、初めてです。

11時前に三島駅に到着。空は暗いままですが、何とか雨は落ちていません。
 参加者9名が集合しバスに乗車。感染症対策もあって席はゆったり。

 マスクをした主催者の大塚洋一郎さんから、挨拶とスケジュール等の説明がありました。
 西伊豆町(にしいずちょう)は人口約7500人。駿河湾に面し、背後は天城山地という自然に恵まれた「『ふるさと』と言いたくなる夕日の町」。
 地域活性化活動も盛んで、大塚さんは数年前から何度も訪ねておられるとのこと。
 先月21日には「オンラインちょい飲み」が開催されたばかりで、私はイベントの時間には参加できなかったものの、食材は取り寄せて美味しく頂きました。

その西伊豆町をリアルに訪ねようという今回のツアー。
 大塚さんが配って下さった資料は「ご参加ありがとうございます!」という言葉から始まっていました。
 年に何回も地域を訪ねるツアーを開催されている大塚さんにとっても、コロナ禍以降、初めてのツアーだそうで、大塚さんの嬉しい気持ちが伝わってきます。
 ちょうどこの日から伊勢海老漁が解禁になったという嬉しい情報も。

伊豆中央道、西伊豆バイパス等を経由して西伊豆町に到着したのは13時頃。雨は上がりました。

 ツアー最初のプログラムは、大田子海岸でのシーカヤック体験です。
 NPO伊豆自然学校の校長兼インストラクターの鈴木達志さんが出迎えて下さいました。明るく気さくな話しぶりから、体験前から楽しい雰囲気が醸し出されます。

私は体力に自信がなく見学だったのですが、私以外の参加者(ツアー以外からも4名)もほとんどがビギナーの様子。

 鈴木さんがパドルの使い方や注意事項を分かりやすくレクチャーしてくれます。
 ちなみに転覆するなどの事故は、これまで一度もないとのこと。

そして2人ずつ乗った6艇が、次々と海へ。
 皆さん上手でどんどん進み、鈴木さんの先導で、間もなく船団は水平線の彼方に見えなくなってしまいました(あんな遠くまで行くんだ~)。

私の方は、潮風を感じながら突堤や浜をぶらぶらしたり、読書をしたり。ごくたまにぽつぽつと細かな雨が落ちてきます。
 サギなどの野鳥の姿。美しく響く鳴き声はやイソヒヨドリでしょうか(?)。
 海をのぞき込むと、体長20cmほどのヤガラの群れも。

そして約2時間後、無事に船団が帰還。
 日差しも風も波もなく、漕ぐのも思ったより軽かったとのこと。沖の島に上陸したり、洞窟をくぐったり、シュノーケル体験して熱帯魚を見たりと、本当に楽しかったようです。
 鈴木さんは「次回は参加して下さい」と声を掛けて下さいました。

 ちなみにこの鈴木さん、後に大塚さんに伺ったところによると、会社員として中東駐在中にイラクに強制連行された経験から、具体的な野外活動のノウハウを伝える活動を始められたとのこと。
 改めて話を伺ってみたいと思った次第。

 なお、近くには夕日展望所も設けられており、島々や奇岩の向こうに沈む夕日は絶景だそうです。

この日の宿である温泉ペンション・たーこいずぶるー(仁科地区)に到着したのは16時半頃。
 新しくて快適な館内。自由に飲めるコーヒー、浴衣、アメニティ等も充実しています。交代で入ったお風呂は、熱めで気持ちのいい天然温泉です。

 そして18時から夕食。
 実はここのオーナーは漁師さんで、ご自身が釣った魚を手ずから調理して下さったという贅沢さ。奥様ともども、米や野菜も作っておられるそうです。

一人1尾ずつの伊勢海老お造り、マグロかま、鯖塩焼き、海藻の小鉢など。
 大きなサザエに刺身の盛り合わせ(ちなみに右の写真は3人分)。

 そして乾杯、いただきます! あまりの美味しさに完敗。とても食べ切れそうにありません。

 後半は、ツアーに申し込めなかった方など東京の西伊豆ファンの方たちとZoomでつないだ交流会。楽しかった体験や料理の様子を伝え、大いに羨ましがらせてしまいました(ぜひ、次の機会に)。

翌日は6時前に起床。曇りで涼しく、時折り細かな雨が落ちてきます。
 宿の方に釣り竿やエサ(小エビ)をお借りして、参加者有志ですぐ近くの漁港へ。大きなエイが泳ぐ姿も目撃。

 詳しい方に教えてもらって船の間に釣り糸を垂らすと、次々と小魚が集まってくるのが見えます。最初のうちはエサだけ取られていましたが、コツを覚える(最初の当たりで合わせる)と、初心者にも面白いように釣れました。
 ほとんどは小さくて模様が綺麗なショウサイフグで、釣り上げられると膨らんでキュッキュと鳴きます。

 マダイの稚魚2尾を釣り上げた女性、メジナの稚魚1尾を釣り上げたベテラン男性も。 

通りかかった家族の小さい子どもたちに見せてから(大喜びでした)、バケツの釣果は海に帰してペンションへ。
 そして朝食も豪華。みそ汁には伊勢海老が丸ごと。昨夜のお刺身はヅケにして出して下さいました。

 宿の方にお礼を言って9時に出発。
 ちなみに長男の方は東京・神田、次男の方は吉祥寺で料理人をされているとのこと(機会があれば、西伊豆直送の魚を頂きに行ってみたいと思います)。

バスは仁科川に沿って上流に向かいます。釣り人の姿も。彼岸花が綺麗です。
 陽が射してきたころ、この日の最初の目的地である堤農園に到着。長靴をお借りして、わさび沢に向かいます。

 奥様とともに出迎えて下さった堤 圭祐さんは埼玉県出身、金融関係のSEを経て昭和3年創業の農家に4代目として婿入りされたそうです。

 世界農業遺産にも認定された畳石式栽培は、施肥は行わず、天城山系の湧水等の栄養分だけで育てているとのこと。一方、モンシロチョウの食害(この日もたくさん飛んでいました)が課題だそうです(畔には虫取り網が置かれていました)。

 なお、種採り、播種、わさび沢への苗の植え付け等は、すべて圭祐さんを中心とした手作業とのこと。

そして、いよいよ沢に入っての収穫体験。
 堤さんが、手で根元を探り、小さな鍬のような道具で土を掘り返して収穫する作業を実演されるのを見て、参加者も一人ずつ一株を収穫。
 脇の株、葉、根を落として湧水で洗います。冷たい水が心地よく感じられます。
 収穫後は、わさびのおろし方、保存方法等についても教えて下さいました。

堤さんご夫妻にお礼を言ってバスに乗車。
 天気はすっかり回復し、車窓から堂ヶ島の美しい景観を眺めているうち、昼食会場の堂ヶ島食堂に到着。

 ここでは堤農園で収穫したばかりのわさびを自分たちでおろし、これも自分たちで削った鰹節とともにご飯に乗せて醤油を少し垂らし、まずはわさび丼として頂きました。
 教えてもらったとおり、わさびは上の方からおろします。上の方は爽やかで、根に近い方は辛さが強くなります。1本のわさびから、何通りもの香りと味を楽しめました。

ご飯の残り半分は(食べられる人はお代わりして)、伝統食材である干し塩鰹を薬味とともに乗せ、だし汁をかけて塩鰹丼として頂きました。2種類の西伊豆の名物丼を堪能。
 ちなみに、ところてん(黒蜜と酢醤油)は食べ放題でした。

 そして最後の訪問地、はんばた市場へ。
 はんばた(浜端)という名前のとおり海のすぐそばに、今年5月にオープンしたばかりの町営の直売所です。
 大勢の地元の方、観光客で賑わっています。

防水エプロン姿の松浦城太郎さんが、魚をさばく手を休めて説明に出てきて下さいました。
 西伊豆町役場のまちづくり課職員で、はんばた市場の担当もされている方で、大塚さんによると、西伊豆町で地域活性化に取り組むキーマンのお一人とのこと。

 ちなみに活きた伊勢海老は1尾千円、早速参加者のお一人が求めておられました。発泡スチロール箱や保温材も準備されています。
 私は鰺の干物やキンメダイ、塩鰹丼の素などを求めさせていただきました。

店内には「ツッテ西伊豆」というポスターも。
 釣り人が遊漁船等で釣った魚をこの市場に持ってくれば、地域通貨で買い取ってもらえるサービスだそうです。

 これで全てのプログラムは終了。帰りのバスの中では、充実した内容のツアーだったねと声が交わされます。渋滞もなく1時間半ほどで三島駅に到着。
 ところが13時過ぎに発生した静岡県西部を震源とする地震のせいで、新幹線のダイヤは乱れています。ホームで電車を待つ間、2日間体験した西伊豆町の姿が蘇ってきました。

写真は太田子海岸のメガネッチョ岩と、清流が途切れることのないわさび沢

たくさんの宝物に接することができました。
 しかし美しい景観も美味しい食事も、そこに住んでいる方が守り、育んで下さっているからこそ、私たちは出掛けて行って楽しむことができるのです。有難いことです。

そのことを再認識できたツアーでした。
 西伊豆町の皆様はもとより、主催者して下さった大塚さんに感謝申し上げます。一緒に楽しい時間を共有できた参加者の皆さんにも。