【豆知識】有機農業と生物多様性

多くの消費者にとっての有機農業のイメージとは、農薬を使用しない安全で安心できる食品を生産する農法と捉えられる場合が多いですが、有機農業にはそれ以外の多くの特徴や役割があります。
 その一つが、生物多様性の保全です。
 リンク先の図209は、水田の農法と生物多様性保全との関連を示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/01/209_tayousei.pdf

この図は、有機栽培、冬季湛水、IPM(総合的病害虫・雑草管理)を実施した水田(実施区)と、していない水田(対照区)におけるトンボやカエルの個体数を調査し、その結果から「生物多様性が非常に高い」「高い」「低い」「非常に低い」の4段階に分け、その構成割合を示したものです。
 これによると、有機栽培を行った水田については生物多様性が「非常に高い」、あるいは「高い」水田が65%となっているのに対し、有機栽培を行ってない水田では「低い」「非常に低い」水田が58%となっています。
 このように、有機農業は、冬季湛水やIPMと同様、取り組むことによりトンボやカエル類の保全に有効であることがデータからも明らかとなっています。

[資料]片山直樹、馬場友季、大久保悟(農研機構)『水田の多様性に配慮した農法の保全効果』(日本生態学会誌70、2020)
  https://www.jstage.jst.go.jp/article/seitai/70/3/70_201/_pdf/-char/ja

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
 No.209、2021年1月13日(水)[和暦 師走朔日]
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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