−大江正章『有機農業のチカラ−コロナ時代を生きる知恵』(2020.10、コモンズ)−
http://www.commonsonline.co.jp/new_books/2020/09/04/yukinogyopower/
著者は1957年神奈川県生まれ。
学生時代から市民運動に積極的に関わり、いったん中堅出版社に就職したものの退職して自ら出版社「コモンズ」を立ち上げ、編集者として、あるいは自らライターとして、多くの良質かつ問題提起的な本を出版されてきました。
その大江さんは、肺がんとの10か月に及ぶ闘病生活の末、昨年(2020)12月15日に逝去されました。享年63歳、早過ぎました。
本書はコロナ禍の中、10年間の論調を改めてまとめられたもので、図らずも著者の思想と実践の集大成となり、ご遺稿ともなってしまいました。
著者は、コロナ禍に打ち勝つためには、持続可能な社会への転換(経済成長ばかり追い求めず、脆弱な都市型社会の過剰な便利さを見直す)と、第一次産業を重視し、(国、地域、個人など様々なレベルでの)食の自給を目指すことが必要としています。
その軸となるのが「環境を破壊せず、いのちを大切にし、地域を元気にする」有機農業とのこと。有機農業には、食の安全の確保だけではない幅広い「チカラ」があるのです。
また、「カネはなくてもモノと人間関係があれば生きていける」とも喝破されています。
有機農業は、提携運動など、人間関係をつくる(人と人とをつなぐ)面でも大きなチカラを発揮します。
そして何より大江さんご自身が、人と人とをつなぐネット─ワークの中心におられた方でした。私自身も、様々なセミナーや福島へのスタディツアーの場において、直接多くの学びを頂きました。
大江さんの志を、たとえその一部でも担っていきたいと決意しています。
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.209、2021年1月13日(水)[和暦 師走朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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