【豆知識】水稲の生産/消費量の推移と人口予測

1993(平成5)年は記録的な冷夏と日照不足のため米は大不作に。需要を大幅に下回ることが明らかとなり、消費者の買いだめが広がるなどパニック的な「平成の米騒動」が発生しました。
 リンク先の図215の青い棒グラフは、1960年以降の米の生産量(水稲の収穫量)を表しています。
 1970年代には1300万トン前後の年もあった生産量は、豊凶の影響を受けつつも右肩下がりで推移し、「米騒動」の1993年には761万トンと大きく落ち込みました。その後も減少が続き、最近3年は1993年の生産量を下回っているのです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/04/215_kome.pdf

それにもかかわらずパニックが全く起こっていないのは、米の消費量が大きく減少しているためです。1960年代には1人年間120kg近くあったのが現在は50kg台前半と、実に4割近くの水準となっています(赤い折れ線)。
 これは畜産物や油脂を多く消費するという食生活パターンの変化を反映してたものですが、最近はコロナ禍により家庭内消費は増えたもののそれ以上に外食需要は減少しており、米消費量の減少ペースは加速しているのです。

さらに将来、人口が減少することは自明とされているなか(緑の折れ線グラフ)、米消費量の減少傾向はさらに加速するものと予想されます。
 国内における米の生産は、主要食糧の供給にとどまらず、資源・環境保全や地域の定住の促進など多くの役割を担っています。米の生産や消費のあり方について(輸出も含め)、国民的な議論が求められます。

[資料]
 農林水産省「作物統計」「食料需給表」、総務省「人口推計」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」
 https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sakumotu/sakkyou_kome/index.html#r
 https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/
 https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2.html#series
 http://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2017/pp_zenkoku2017.asp

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
 No.215、2021年4月12(月)[和暦 弥生朔日]
 https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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