【豆知識】カロリーベース食料自給率の推移

日本のカロリーベース食料自給率が諸外国に比べて低いことは、よく知られていますが、過去から低かったわけではありません。
 リンク先の図216は、カロリーベースの総合食料自給率について、1965年と2019年の数値の推移を、品目別に示したものです。
 https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/04/216_jikyuritu2.pdf

図の緑色が国産(自給)分、橙色が輸入分を示しています。また、黄色は輸入飼料によって国内で生産された畜産の分で、これは計算上、輸入に算入されます。
 四角形の面積に占める緑色の面積の割合が、自給率に相当します。

1965年度の自給率は73%あったのが、2019年には38%へと大きく低下しています。一見して緑が縮小し、橙(及び黄)が拡大していることが分かります。
 品目別にみると、緑が最も大きく縮小しているのが米です。かつて総供給熱量の半分近くを占めていた米は100%自給しており、現在もミニマムアクセス米を除いてほぼ自給しているものの、供給割合(消費量)が半減したため緑が大きく縮小しました(前号で紹介したとおり、米消費は現在も減少のペースを早めています)。
 米の消費減少を補うように大きく増加したのが、畜産物と油脂類です。畜産物は国内でも大きな部分が輸入飼料により生産されており、油脂類の原料(大豆、菜種等)もほとんど輸入に依存しています。このため、これら2品目の需要の急増(橙、黄の増大)が、全体の食料自給率の低下につながっているのです。

これは食生活の洋風化を反映したものとされていますが、この「通説」については平賀緑先生が興味深い検証をされています(「ほんのさわり」欄参照)。

また、前号でも述べたとおり人口減少が予測されているなか、自給率維持だけではなく国土保全等にも重要な役割を果たしている米(水田農業)の消費減少に歯止めをかける必要もあります。

[資料]
 農林水産省「食料需給表」
 https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/fbs/

出所:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
 No.216、2021年4月26日(月)[和暦 弥生十五日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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