【ブログ】湾岸のオリンピック会場を歩く

2021年6月27日(土)は曇り空。南方から接近している台風の影響はまだありません。
 10時30分にりんかい線・東京テレポート駅の改札で待ち合わせ。エスカレーターも五輪仕様です。

 この日開催されたのは、NPO市民研主催の「湾岸のオリンピック会場を歩く」。
 一か月後に迫った東京五輪の臨海副都心地区にある会場を、雑誌『散歩の達人』に「東京オリンピックを歩く」の記事を連載されている眞鍋じゅんこさん(フリーライター)の案内で、歩いて回ろうという企画。
 本当に久々のリアルなイベントです。

 緊急事態宣言は解除されたものの、まん延防止等重点措置は継続中。
 広く募集は行わず、参加者は眞鍋さんを含めて市民研会員の5人のみ。準備して下さった詳しい資料の冒頭にも、マスク着用と手指消毒のお願いが。

眞鍋さんが足を痛められていることもあり、この日は都営バスやゆりかもめでの移動が中心です。

 まずはバスを待ちながらオリエンテーション。江戸時代~昭和の地図で、この地域の成り立ちと歴史を教えてくださいました。
 江戸末期の地図では隅田川河口に佃島がぽつんとあったのが、築港のために浚渫した土砂や関東大震災のがれき等も使って埋め立てが進み、さらには廃棄物処理のための陸地が沖合に広がっていったとのこと。

 東京都の合同庁舎(廃棄物埋立管理事務所)のある中央防波堤へ向かうバスに乗車。
 すぐに3×3バスケットボールやスポーツクライミングの会場(青海アーバンパーク)が見えました。海底トンネルを通って中央防波堤の内側埋め立て地に入り、合同庁舎前で下車。

中央防波堤に沿った道を歩きます。土曜日ですがダンプなど大型車両がひっきりなしに通ります。
 ボート競技が行われる海の森水上競技場(下左の写真の左側)はフェンスで囲われ、近づくこともできません。

 馬術のクロスカントリー会場を遠望(写真市右)。
 廃棄物を埋め立てた場所で、強風のため高い樹木は育たないこともあって熱暑が予想されており、馬のためにエアコン付きの施設も設置されるとのこと。
 この日は曇り空で助かりました。

バスでテレコムセンターまで戻り、吹き抜けの広々としたロビーで昼食。土曜日のためオフィスビルは閑散としていますが、コンビニやレストランは営業中です。

 向かい側の青梅フロンティアビルの20Fにあるのが、東京臨海部広報展示室(TOKYOミナトリエ)。
 東京港や臨海副都心の埋め立ての歴史や現在の姿が、パネル、ジオラマ、タッチパネル等で分かりやすく展示されています(実際に入港している船舶のリアルな情報、コンテナの仕組みなど、なかなか興味深い内容です)。

地上100mからの眺望も見事です。
 コンテナ埠頭では巨大なガントリークレーンが稼働中。先ほどバスの車窓から見た3×3バスケットボール等の会場も見下ろせます。実物(?)大のガンダム像も。
 船の科学館敷地内にある新型コロナウイルスの療養施設も見えました。
 当面、開館は18時までのようですが夜景も素晴らしそうです。花火も見えるかも。

ゆりかもめに乗ってお台場海浜公園で下車。
 なかなかの人です。ホテルのホールでは披露宴が開かれていました。

 海上には、台船に載せられた巨大な五輪のエンブレム。
 この辺りはトライアスロン等の会場で、水質浄化のために設置されている水中スクリーンの様子も見ることができます。実は、この地では2001年から毎年トライアスロン大会が開催されているとのこと。
 また、近隣の潮風公園はビーチバレーボールの会場です。

 今も残るお台場砲台跡(国指定史跡)は、ペリー来航後、江川太郎左衛門の指揮の下、江戸湾防御のために1年4か月ほどの突貫工事で完成させ、黒船の西洋人たちを驚かせたとのこと。
 五輪以上の国家プロジェクトだったようです。

再び、ゆりかもめに乗って逆方向へ。
 東京ビッグサイトはIBC(国際放送センター)、MPC(メインプレスセンター)として活用されるそうです。

 有明テニスの森駅で途中下車し、車窓から見える施設等について説明して下さいました。
 有明テニスの森はテニスの会場。有明アーバンスポーツパークでは、自転車競技のBMXレースやスケートボードの会場設備が進められていました(写真下右)。

 有明アリーナはバレーボールの会場。有明体操競技場(写真下左)ではトランポリンや新体操も行われます。
 この辺りは、かつては貯木場だったそうです。

東雲運河を渡ると豊洲地区。さらにその向こう側の晴海地区には選手村が置かれます。
 実はこの場所は、招致に成功した1940年東京大会と同時開催する万国博覧会の予定会場だったそうです。いずれも戦争で中止となりました。

 15時過ぎに豊洲駅に到着。
 駅前の眞鍋さんおススメのパン屋さんに入り、名物のクリームパン(と、私はパン酵母飲料!)で、本日の振り返り。
 久しぶりのリアルなまち歩きイベントを、皆さん、楽しまれたようです。

何より単なる会場の見学に留まらず、この地域の江戸時代からの成り立ちや、都や組織委員会の方たち(大変なご苦労があるようです)にインタビューし記事にしてきた眞鍋さんの説明を伺いながらのまち歩きは、本当に充実した内容でした。

その眞鍋さんに、五輪開催自体をどう思っているか聞いてみたところ、自分のテーマは「会場と街の変遷」の記録なので、開催の可否そのものについては特に意見はないとのこと。

 食と農の市民談話会でも、生産者や産地のことに想像力を及ぼすことの大切さを主張している私としては、正直、ちょっと肩透かしを喰らったような気がしました。
 しかし一方で、取材対象に感情移入し過ぎない眞鍋さんのライター魂を垣間見ることができたような気がした瞬間でもありました(私の勝手な思い込みかも知れませんが)。 

久しぶりにモニター越しではない、実際にまちを歩きながらのイベント。本当に楽しい一日を過ごすことができました。
 眞鍋さん、今回もお世話になり有難うございました。次の機会を楽しみにしています(それまでに足を治して下さいね)。