地球環境問題への意識が高まる中、できるだけ肉食は避けるべきとする議論があります。
令和3年版環境白書(p.81)によると、世界の食料部門 (生産、加工、流通、消費等) における温室効果ガスの発生量は全体の21~37%を占め、さらに日本人の食事のカーボンフットプリントのなかで肉類及び乳製品は約1/3を占めているとのこと。
食料部門、とりわけ畜産の環境負荷が大きいのは事実で、大豆ミートなど代替肉の開発や普及も期待されています。
一方で、豚肉生産における温室効果ガス排出量の内訳(ふん尿処理及び消費段階を除く)をみると、飼料の生産と輸送(輸入トウモロコシ等の生産、輸出国内及び日本への輸送等)が60%、飼養管理が34%、と畜・加工が6%という研究成果もあります。
つまり、長距離輸送されてくる輸入穀物ではなく国産の飼料で飼養された食肉を選択することによって、相当程度、食肉消費に伴う温室効果ガスの排出量は削減されることとなるのです。
さらに国内畜産(特に放牧)には、未利用の草資源を有効利用すると同時に、地域の環境や景観を保全するという役割もあります。
[資料]
令和3年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書
https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r03/index.html
菱沼竜男「LCA 手法を用いた豚肉生産システムに伴う温室効果ガス排出量の推計」『環境情報科学学術研究論文集29』(2015)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ceispapers/ceis29/0/ceis29_159/_pdf
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.221、2021年7月10日(土)[和暦 水無月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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