
この国の最大の問題は、バランスを欠いていること−すなわち、東京一極集中ではないでしょうか。
わずか0.6%の面積しかない東京都に、人口の11%、経済活動(GDP)の20%が集中しており、遠隔地から輸送されてきた大量の食料、工業製品、エネルギー等が消費されています。
リンク先の図223は、人口と農業生産について、全国に占める東京都のシェアの推移を示したものです。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2021/08/223_Tokyo.pdf
全人口に占める東京都のシェアは、1970年代から90年代にかけて10%を下回るまで緩やかに低下しました。経済が高度成長を続ける中で、人口の地方分散が進みかけていたのです。
ところが2000年代に入り、再び東京都への人口集中が進んでいます。
これに対して、全国の農業生産額(統計用語では「産出額」)に占める東京都のシェアは、1960年代でも1%程度に過ぎず、近年は0.3%を下回る水準に低下しています。野菜については比較的高いものの、それでも0.6%弱にすぎません。
このため、東京都のカロリーベースの食料自給率は、1%程度という極めて低い水準となっています。
むろん、人口の多い都市部において食料を100%自給する必要はありませんし、人口や経済が集中することのメリットもあります。
しかしそれでも、あまりにも私たちの国のカタチは、バランスを欠いていると言わざるを得ないのではないでしょうか。「国土の均衡ある発展」という言葉は、あたかも死語となりつつあるようです。
私たちの社会がウィズコロナという新たなステージに移行する(強制的に移行させられる)なか、私たちはどのような国のカタチを目指すのでしょうか。、
[資料]
総務省「人口推計」(各年10月1日現在)
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/2.html#annual
農林水産省「生産農業所得統計」
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/nougyou_sansyutu/
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.223、2021年8月8日(日)[和暦 文月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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