【ブログ】安藤昌益の「ご縁」

最近、静かなマイブームとなっているのが安藤昌益(あんどう・しょうえき)です。

 昌益は、現在の秋田・大館市に生まれた江戸中期の医師、思想家。かつては「忘れられた思想家」と呼ばれていたこともあります。
 その思想は絶対平等主義と徹底的な平和主義(武力・暴力の全廃)であり、農業労働などの「直耕」を尊重する一方、自ら生産しない聖人や為政者を「不耕貪食の徒」として痛烈に批判するというものです(封建制の江戸中期の思想家であることに驚きを覚えます)。

昌益に関心を持ったきっかけとなったのが、NPO市民科学研究会(市民研)主催の2つのオンライン講座(9月10日の「連続講座・日本の市民科学者」の最終回と、10月11日の「市民科学入門講座)における、石渡博明さん (「安藤昌益の会」事務局長))のお話でした。

写真は市民科学入門講座(2021.10/11)の動画アーカイブより(市民研HP)。

特に入門講座の時には、事前にメールで送って下さっていたレジュメに沿って詳細な説明を頂き、参加者からの質問にも一つひとつ丁寧に答えて下さいました。
 ちなみにこれらの動画アーカイブは市民研のウェブサイトから視聴することができます (市民研正会員の方以外は有料)。

その間、昌益の思想についての入門書的なものがないかと探していたところ、10月4日(月)に農山漁村文化協会(農文協)の農業者センター(東京・神保町)で出会ったのが、正に石渡さんご著書『いのちの思想家』でした。

 本書は、昌益の没後250年、明治期に昌益を「発見」した狩野亨吉の没後70年の2012年に、『北鹿新聞』(昌益と亨吉の出身地である北秋田の地域紙)に連載された記事をベースとしたもので、昌益の思想や人となりが分かりやすく解説されています。

また、石渡さんが市民研入門講座の際に、希望者には 「安藤昌益の会」 の機関紙『直耕』を送ると仰って頂いたので、厚かましくもお願いしたところ、さっそく直近の3冊を送って下さいました。

特にNo.41 には、九州農政局(熊本市)在勤中等に色々と指導頂いた宇根 豊さん(農と自然の研究所、福岡・糸島市)の論文が掲載されており、懐かしく、また、大いに参考となりました。

話は、石渡さんのご著書を求めたときに戻ります。
 偶然、カウンターにおられたA店長さんに昌益の入門書的な本を探していると話したところ、店長さんはご自身も昌益に強い関心があるとのことで、わざわざ倉庫の段ボールから資料を探し出して教えて下さいました。
 それだけではなく、後日、それらをコピーして郵送までして下さったのです。大変なご厚意に一方的に甘えてしまいました(感謝です!)。

送って下さったのは、農文協の雑誌『自然と人間を結ぶ』の安藤昌益特集号(No.156、200年4月)と、 農文協『安藤昌益全集』 の解説パンフレットです。

前者は、当時の昌益研究の第一人者の方々による座談会の記録等で、読みやすく、人によって解釈が異っているなど興味深い内容です。
 後者には各巻(全21巻)の構成や内容が詳細に紹介されており、さっそく、このパンフレットを基に地元の図書館から数冊借り受けました(ちゃんと全巻が所蔵されていました)。
 そしてページをめくってみると、原文(書下ろし)、現代語訳、要約と解説がセットとなっているという親切な構成で、これなら自分でも読めそうです。

 いずれにしても大変な労作で、1988年度には毎日出版文化賞「特別賞」を受賞されているそうです。

まずは、3冊ほど注文させて頂くことにしました。
 昌益の主著である『自然真営道』の大序巻・真道哲論(第1巻)、私法世物語等(第6巻)、同 稿本(第16巻)です。

農文協・農業書センターが運営するネット販売サイト「田舎の本屋さん」を利用することにしました。会員になると送料無料とのこと。
 これまで書籍のネット注文は主にA〇azon を利用していたのですが、グローバル多国籍企業のサー ビスに依存することの紐恨たる思いが紛れると思えば、年会費1100円は高くありません。

 奇しくもこの2か月ほどの間で、江戸時代の思想家・安藤昌益を仲立ちとして、石渡さん、宇根豊さん、農業書センターのA店長という方たちと、新たに(再び)縁を紡ぐことができました。
 届いた3冊を、ゆっくりと、少しずつ、楽しみながら読み続けていこうと思っています。