【ブログ】巻き寿司やさん・節分の巻

2022年1月30日(日)は東京・八王子へ。
 JR中央線の西八王子駅を降り、東に10分ほど歩いた辺りの地名は追分町。甲州街道(現・国道20号)と陣馬街道(北大通り)とが分岐するところ。
 千人同心の一人・石坂弥次右衛門の墓の案内板(興岳寺)、高尾・案下(陣馬)への道標、八王子千人同心屋敷跡の碑などがある、歴史の舞台です。

その追分の地の一画で、月1回、テイクアウト専門で開店するのが巻き寿司やさん
 オーナーで巻寿司特任大使でもある八幡名子さんは、生産者の思いを食材とともに巻き寿司に巻き込んで多くの人に届けようと、昨年1月、このお店をオープンされました。

それから1周年目(おめでとうございます!)の今回のテーマは、「節分の巻〜巻き寿司を食べて福を呼ぼう!」。
 しかもこの日は、岩手で「南部片富士印の秘伝大豆」を生産されている加藤 淳さんが来店され、お話会も行うとのこと。

広くはない店内に入ると、ポスターが張られ、秘伝豆の実物と鞘付きの枝、写真等が展示されていました。
 すぐに加藤さんが出て来られて、秘伝豆を煮てサツマイモと和えたものを試食させて下さいました。あっさりとして美味です。

13時過ぎ、来訪されたお客さん4名を前に加藤さんのお話が始まりました。
 ご自身で撮影された畑や作物、岩手山(南部片富士)の四季の写真を見せて下さりながらの説明は、「岩手山麓に棲む妖怪豆じじい」と自称されている通り、軽妙で面白く、かつ興味深い内容でした(以下、文責中田)。

「自分はもともと農家ではなく、東日本大震災をきっかけに自ら食べものを生産しようと思い、大豆の有機自然栽培を始めた。
 農薬や化学肥料だけではなく、小さな耕うん機以外は機械も使わない。手作業は非効率で時間もかかるが(枝豆の出荷期には4時間ほどしか寝られない)、手で作業することで、作物や土の微妙な変化を感じ取ることができる」

「自分は、ただ土づくりをして、大豆が自然の営みの中で育つのをお手伝いしているだけ。ゾウムシに食い荒らされることがあっても、大豆は新しい葉を伸ばす。いつも『あきらめるな』等と教えてもらっている」

持参して下さった大豆の鞘を、私達も手に取らせて頂きました。
 ぱちんと鞘が割れると、中から緑色の美しい秘伝豆が現れます。

加藤さんは、国際機関からPGS(参加型有機保証システム)の認証グループとして認定されているオーガニック雫石に参加されているそうです。

 PGSとは、有機JASのような第三者認証のシステムとは異なり、消費者や流通業者も含むグループ内で(お互いの顔を見ながら)調査・認証する仕組みとのこと。さらに加藤さん達は、生産者と消費者等の距離を格段に縮めるなど、地域づくり活動として位置づけておられるそうです。

直接、生産者の方からお話を伺うことができ、活字やモニター越しでは伝わらないことまでが伝わってくるような気がしました。
 まん延防止等重点措置が実施されるなかでのお話会は、加藤さん、名子さんには逡巡もあったかも知れませんが、貴重な機会となりました。

さっそくその日の夕飯に、秘伝豆の巻き寿司を頂きました。
 今回も、詳しくて楽しい「お品書き」が添えられています。エビや卵焼きの太巻き、マダコやヤリイカの海鮮巻き、ゴボウや油揚げの味自慢巻き、それに桑の実パウダーで色づけしたご飯で巻いた秘伝豆巻きの4種類。
 いずれにも、枝豆感覚の秘伝豆が入っています。

加藤さんの生産者カードも。
 南部片富士から吹いてくる風が感じられるような、優しい巻き寿司でした。
 加藤さん、有難うございました。機会があれば(コロナ次第ですが)ぜひ、お伺いしたいと思います。
 名子さん、今回もご馳走様でした。

なお、次回の巻き寿司やさんは2月27日(日)12時から15時、静岡「石垣いちご」のデザート寿司(!)とのことです。