
2021年に日本は513万トンの小麦を輸入していますが、ウクライナ、ロシアからの輸入はありません。また、とうもろこし(飼料用)についても、輸入量1,524万トンのうちウクライナからの輸入量は400トン(0.00%)、ロシアからは7,600トン(0.05%)とごくわずかです。
なお、いずれの品目もアメリカからの輸入が大きな割合を占めています(リンク先の図237の左側の2本の棒グラフ参照)。
https://food-mileage.jp/wp-content/uploads/2022/03/237_Ukraine.pdf
このことからは、今回のロシアによるウクライナ侵攻が日本の穀物輸入に直接影響する恐れはないとも考えられます。
一方、図の右の2本の棒グラフは、世界の輸出量全体に占める各国のシェアを示したものです。
これによると、小麦についてはウクライナ12%、ロシア17%と、両国で実に世界の輸出量全体の約3割を占めています。また、とうもろこしについては、ロシアのシェアは2%程度ですが、ウクライナは17%と大きなシェアを有しています。
このように、世界の穀物市場においてウクライナ及びロシアは大きな地位を占めていることから、今回の武力侵攻は世界の穀物需給に大きなリスク要因となっており、シカゴにおける穀物の先物相場は大きな変動を伴いながら高騰しています。
日本は両国からの輸入はないとはいえ、国際市場の混乱は、日本の安定的な穀物輸入の確保に大きな悪影響を及ぼすことが懸念されます。
[資料]
財務省「貿易統計」
https://www.customs.go.jp/toukei/info/tsdl.htm
USDA(アメリカ農務省)“Grain: World Markets and Trade”(February 2022)
https://apps.fas.usda.gov/psdonline/circulars/grain.pdf
出所:
F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
No.237、2022年3月3日(木)[和暦 如月朔日]
https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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