【ブログ】2022年3月前半。ウクライナ。

2022年も3月半ば、春も本番。河津桜やミツマタの花が満開です。

3月11日(金)。東日本大震災から11回目の「3.11」です。
 区切りの10年を過ぎたということか、今年から政府主催の追悼式は行われず、地元(東京都・東村山市)でのサイレンも鳴らず。
 まだまだ忘れてはならないことは数多あるのですが、実は私自身も、今年の3.11は、静かに、厳粛に迎える気持ちではありませんでした。

2月24日(木)に始まったロシアのウクライナへの武力侵攻のせいです。
 銃爆撃や避難民の様子を伝える連日の報道には、自らの無力さを思い知らされることも含めて、胸が悪くなります。
 週3日、FBに投稿していた小咄を考える気にもならず、ブログも久しぶりの執筆となりました。

メディアやネットでは、毎日のように緊急の特集番組やプログラム。
 3月3日(木)17時からは緊急シンポジウム「ロシアのウクライナ侵攻-平和への道を考える」。明治学院大学国際平和研究所(PRIME)とピースボートの共催です。

 川崎 哲さん(ICAN国際運営委員、ピースボート共同代表)、阿部浩己先生(明治学院大学国際学部教授、PRIME時期所長)、メリ・ジョイスさん(ピースボート国際コーディネイター)の方々から、分かりやすい説明がありました。

国際法との関係では、武力不行使は国際法秩序を支える最も重要な原則(国連憲章2条4項)であること、自衛権の行使にも当たらないこと、国際人道法(軍事目標主義、無差別攻撃禁止等)にも違反していること等の解説。
 また、武力行使を回避するための条件整備に真摯に向き合うこと(ヘイトスピーチの法律での禁止等)が重要であること、ロシア国内を含めて反戦の声を上げることは市民の責務であり、大きな抑制力になる等の説明もありました。

3月10日(木)には、緊急開催「ロシアのウクライナ侵攻~私たちに今できることは」(毎日新聞×TBSラジオ「荻上チキ・Session」)。
 こちらでは、毎日新聞前モスクワ支局(現カイロ支局長)の記者やニューヨーク特派員から、現地や国連の状況等についての報告。
 「自分の目で見たことが全てではない」「国家対国家ではなく、その国の友達がいるかどうかが大事では」等の言葉が印象に残りました。 

3月14日(月)に開催された奥沢ブッククラブには、ご主人がウクライナ人という方が初参加されたこともあって、ウクライナの話題が多く出ました。

前半のおススメ本紹介のコーナーでは、私からはアレクシエーヴィチら『アレクシエーヴィチとの対話』と、アンドレイ・クルコフ『大統領の最後の恋』を紹介。
 せめて、今までほとんど何も知らなかったウクライナのことを知ろうと、図書館で探して借りてきた二冊です。

前者(写真中央)は、ウクライナ人の母、ベラルーシ人の父のもとで西ウクライナで生まれ、ベラルーシで育ったスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチの、ノーベル文学賞受賞講演、NHK番組ディレクターによる同行取材記、作家との対談等によって構成されている本。

 アレクシエーヴィチが聞き書きして記録した第二次世界大戦やアフガン戦争の凄惨で残酷な状況が、今また、ウクライナで再現されていると思うと胸が苦しくなります。

後者(写真左)はウクライナ出身の作家による長編小説(ロシア語で書かれているそうです)。
 主人公(ウクライナ大統領)の、青年、壮年、現在の物語が同時進行します。二度の死産による離婚、心臓移植、謀略を含む政争の様子などが、ユーモアを交えて綴られています。最後のハッピーエンドに胸をなでおろしました。
 ブッククラブの最中に、幹事のNさんがクルコフのツイッターを見つけてくれました。無事で山間部に疎開されているそうです。

写真右、ラチョフ『てぶくろ』は、Uさんがこの日の朗読のために準備して下さっていたウクライナ民話(事情により朗読はできませんでしたが)。
 おじいさんが森の中に落としていった片方の手袋に、ねずみ、かえる、うさぎ、きつね、それにおおかみ、いのしし、くままでが一緒に入るのです。ぎゅうぎゅうです。狭い空間を分け合う動物たちの楽しそうな表情。

映画も少し観ました。
 現在、全国で緊急上映されている「ひまわり」は、1970年の公開(イタリア、フランス、ソ連、アメリカによる合作)。地平まで続く印象的なひまわり畑は、ウクライナ南部のヘルソンで撮影されたそうです。第二次世界大戦のロシア戦線で行方不明になった夫を探し歩く主人公に、現地の女性は「ひまわりの下には多くの戦死者や捕虜が眠っている」と告げます。
 人々を切り離す戦争の悲劇と残酷さ。

 3月15日(火)には、そのヘルソン地方をロシアが制圧したとのニュース。

左は映画『ひまわり 50周年HDレストア版』公式サイトより。http://himawari-2020.com/

同じくAmazon Primeで見つけた「バンデラス-ウクライナの英雄」は、2018年製作のウクライナのアクション映画。分離独立を目指す親ロシア派とウクライナ政府軍との間で繰り広げられる、住民も巻き込んだ凄絶な戦闘の様子が描かれています。

3月16日(水)正午現在、和平協議が並行して行われつつも、戦闘は継続しています。
 ロシアは外国人や民間傭兵を投入するとの情報もあり、首都・キエフには外出禁止令が出されています。
 一方、ロシア国営放送では、スタッフの女性が生放送中に反戦のプラカードを掲げるという「ハプニング」も。今朝の朝日新聞には和平を願うクルコフの手記が掲載されていました。

 一刻も早く戦闘行為がやむことを、祈ることしかできません。