【ほんのさわり】アキノ隊員『ぼくたち、ここにいるよ』

−アキノ隊員(写真・文)『ぼくたち、ここにいるよ−高江の森の小さないのち』(2017.8、影書房)−
 http://www.kageshobo.com/main/books/bokutachikokoniiruyo.html

作者の宮城秋乃さんは、沖縄・うるま市の浜比嘉島出身のチョウ研究家(日本鱗翅学会・日本蝶類学会会員)。
 本書では、県北部・やんばる地方(2021年、世界自然遺産に登録)の森にくらす生きものたちの姿が、美しい写真と分かりやすく楽しい文章で紹介されています(子どもでも読みやすいように、ルビも振られています)。

日本最小クラスのチョウであるリュウキュウウラボシシジミの交尾、産卵、ふ化、羽化などの連続写真は、息をのむような繊細な美しさがあります。オキナワカブトムシ、オオシマゼミ、ナミエガエル、オキナワハイ(色鮮やかな毒蛇(怖い!))など、次々と珍しい生きもののたちが現れ、ページをめくるのが楽しみになります。

ところが本の終わり近く、突然、木々が切り倒された空間の写真が現れショックを受けました。米軍ヘリパッドの建設現場で、森の上を低空飛行するオスプレイの写姿もあります。
 作者は仲間とともに周辺の生物分布を調査したところ、希少なチョウやカエルの生息地が破壊されていることが判明したとのこと。また、返還された訓練跡地に、不発弾や化学物質が入ったドラム缶が廃棄物として放置されたままになっていることも発見します。

 反基地運動にも参加し、基地ゲート前に廃棄物を並べたことで在宅起訴までされているとのことで、裁判を支援する市民団体もできているそうです。アキノ隊員は「早くチョウチョの研究に戻りたい」と悲痛な声を上げておられます。

(参考)
 ブログ「アキノ隊員の鱗翅体験2」
 https://akinotaiin.blog.fc2.com

出典:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
 No.242、2022年5月15日(日)[和暦 卯月十五日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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