【ほんのさわり】塩見直紀ほか『半農半X』

−塩見直紀、藤山 浩、宇根 豊、榊田みどり編『半農半X−これまで・これから』(2021年11月、創森社)−
 http://soshinsha.sakura.ne.jp/bookdetail.php?id=420

「半農半X」(はんのう・はんエックス)とは、農ある小さな暮らしをベースに、その人ごとの天与の才(天職、生きがい)を世に活かすという生き方。言い換えれば、農業を営みながら、自分の好きなやりがいのある仕事に携わるというライフスタイルのことです。

編者の一人・塩見直紀さん(半農半X研究所、京都・綾部市→山口・下関市)は、半農半Xというコンセプトを提唱して四半世紀余、常に「追い風」を感じていたとのこと。他の命を頂かないと生きていけないという生命としての宿命(農の大事さ)と、人には「生きる意味が必要」ということが、海外を含めて半農半Xが普遍性を持ちえた理由であるとしています。

藤山 浩さん(持続可能な地域社会総合研究所、島根・益田市)は、「地元関係図」で地域の生態系を描きつつ、ローカルなレベルで循環型社会を創り直すことための半農半X的アプローチを提唱しています。
 宇根 豊さん(農と自然の研究所、福岡・二丈町)は、農の本質(「いのち」の引き継ぎ)から説き起こし、自らの「X」は思想表現であるとしています。
 榊田みどりさん(農業ジャーナリスト)は、半農半Xは、近年、国の農政や自治体の事業においても評価されており、今後の脱炭素など持続的な食料システム構築の上でも大きな可能性を有することに注目しています。

そして何より、それぞれの地域で半農半Xを実践されている20名以上の方々の実践報告(口絵としてカラー写真も掲載)が、半農半Xが単なる個人のライフスタイルではなく、これからの地域づくりにおいて重要な役割を果たすことが力強く示唆されています。

出典:
 F. M. Letter -フード・マイレージ資料室 通信-
  No.247、2022年7月29日(金)[和暦 文月朔日]
  https://www.mag2.com/m/0001579997.html
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